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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.14 お客様事例

PDMへの取り組みとその効果

株式会社ニチダイ様は、他メーカに先立って「自動車部品の精密鍛造化」を進められ、世界レベルでの実績をあげられています。あらゆる製造業から注目されており、部品製造のあり方を革新、地球環境保全にも貢献され、応用技術では焼結金網フィルタで宇宙ロケット・原子力分野にも採用され、幅広い分野でご活躍されています。今回は、PDMの導入の背景、取り組み、導入の効果、今後の課題などを中心に、技術部 部長 佐々木様にお話をお伺いしました。

事業内容について

当社の事業内容としては、精密金型の設計・製造・販売、鍛造品の成形・販売、焼結金網フィルタの製造・販売の3つからなっています。主な事業である金型に関しては、お客様から製品図をいただいて製造するだけでなく、部品開発や工程設計の段階から関与して、CAEなどの解析結果から最適な鍛造方法を割り出して提案・提供するサービスも行っています。

また、自動車部品で鍛造以外の方法で製造されていた製品を鍛造で成形することによって強度を上げ、コストを下げるという成果を出しています。焼結金網フィルタとは、ステンレスの網を焼結したもので数ミクロン単位までろ過することができ、ロケットの燃料フィルタやビール・飲料水のフィルタなど錆びが出ては困るような箇所に利用されています。

人物写真
技術部
部長 佐々木 様

海外事業はアメリカに事務所があり、3人のスタッフで営業を行っています。営業品目としては金型が主で日本国内で製造して、輸出するようにしています。

当社は日本国内でも珍しい金型の専門業種で、その中でも図面製作、試作、トライなどの技術開発を一貫して行っていまして、この業種ではトップメーカです。ですから、お客様には情報提供も含めたサービスをしていく「総合製造サービス業」ということを掲げています。

PDM導入の背景について

設計部門では、新規図面を1ヶ月に平均50セット、年間で600セット作成していて、それに伴い修正・変更が出てきます。図面の枚数でいいますと1日に120~150枚の図面を新規作成・修正・変更していることになります。

以前は、紙の図面をファイル棚に入れて管理していました。ユーザコードで図面を選び出していたのですが、探している図面が持ち出されているのかどうかが分からなかったり、探し出すまでに時間がかかったり、紛失したりといろいろな問題を抱えていました。

年々増加していく膨大な数の図面を紙で管理することに限界を感じ、PDMのシステムを検討しはじめました。検討の際には、HZSのInfoDesk以外にも他メーカの製品も比較検討を行いました。

しかし、当社の図面の入出を考えると大型なシステムを構築することになるので、内情を説明して理解してもらうには時間がかなりかかります。

HZSは、CAD/CAMも含めて当社のいろいろなシステムに携わっていますので、業務の内容について理解していただいています。最終的には短期間で当社に合ったPDMシステムを構築できるということがHZSのInfoDeskを導入する決め手になりました。

設備構成について

1996年12月にInfoDeskを1セット導入しました。CAD/CAMの部分は全てHZSのシステムで、GRADE DASH/DRAWが21台、GRADE/CUBE-NCが3台あり、CAEに関してはGRADE/Forgeが1台あります。設計者がGRADE DASH/DRAW、CAMの担当者がGRADE/CUBE-NCを使っています。

現在の金型業種の善し悪しは、CAD/CAM/CAEなどのコンピュータ機器に依存している状態と言っても過言ではありません。そうなるとどうしても設備投資をしていかないと遅れてしまいます。その中で、当社は他社に比べコンピュータだけでなく、工場内の機械についても積極的に設備投資に取り組んでいます。

CAD室
CAD室

以前は図面の紙折りなどは手作業で行っていましたが、最近では量が多く手作業では追いつかなくなってきました。そうなると、作業者の負担が大きいなどの声が現場から上がりましたので、自動紙折りのコピー機などの比較的高価な物でも早くに導入しています。

PDMへの取り組み

InfoDeskの前身であるORANGを導入していましたので、1989年以前の図面は紙として、それ以降のものはすべてデータとして保管しています。

図面データは年度単位で保存していますので、試作年月日から保管場所がわかるようにしています。また、図面番号から試作年月日を割り出せるような番号の付け方をしていますので、その図面は紙なのかデータなのかを判別することもできます。設計者が図面を描いて保存すると、営業、CAM担当者用の図面とお客様用の図面をプリントアウトし、お客様にはその図面をお送りします。

その後、注文が入ってきたら生産管理の担当者がInfoDeskのデータベースから図面データを取り出して製造の工程に送るという流れになっています。紙だけしかない図面の変更依頼が入った場合でも紙上だけで変更をするのではなく、CADで描き直した図面を新たにデータとして保管するようにしています。

この工程は、新入社員の担当にしています。図面が読めるかどうかについては半年程度かかりますが、同じ図面を描くのであれば難しいものにはなりませんし、2次元CADであれば操作自体は比較的簡単なものになり、1~2ヶ月で覚えてしまいますので教育の一環として行っています。

既存の図面に修正・変更が入ると図面番号の他に変更番号を付けていますので混乱せずに管理できます。InfoDeskのデータベースにアクセスしているのは技術部で26名、生産管理の工程で4名で、計30名ほどです。図面の管理については、基本的には10年間保存することにしています。紙の図面に関しては生産打ち切りと同時に廃棄しますが、10年前の図面で製作を依頼されることもありますので、実際はすべて永久保存しています。

PDM導入の効果

今では社内のどの端末からでもInfoDeskのデータベースにアクセスし、図面データを探して引き出すことができるようになりました。以前は図面を探し出す際に、過去の業務に携わっていた経験者に比べ、経験の浅い新人などは時間がかかっていました。

ですが、今では人によって探す時間が違うことはなく、ユーザコードや図面番号さえ判れば誰でも同じように簡単に図面を出すことができるようになり、作業担当の人数も3人から1人に減り、非常に効率が良くなりました。InfoDesk導入前は、GRADEで描いた図面データの保存についてはテープ装置などを利用していました。

データの出し入れにはテープの番号と台帳の番号を人間が目で確認して探し出していました。また、テープの中のデータを探して読み込むまで5~10分かかることもありました。図面データの保存・管理については、InfoDesk導入以前と比べ、格段の差があります。というよりも、今現在このシステムがなければ月3,000枚単位で増えていく図面を管理していくことは到底不可能です。

図面
図面Ⅰ(例)
図面
図面Ⅱ(例)

今では図面の数は100万枚以上になり、ディスクは約38GB使用していますが、導入後はデータが分散することも無く一括して管理できているので、ファイリングの効率化とコスト削減、さらに目に見えない部分でも非常に成果が上がっていると思います。

今後の課題、取り組みについて

■3次元化

当社では設計の段階は全て2次元で作業し、図面を作成してからCAMの部署で3次元に置き換えて作業をしています。ですが、3次元形状の微妙なカーブなどを2次元図面で表現しようとすると非常に難しく、逆に時間がかかっています。将来的にはCAMの担当者だけが3次元形状を作るのではなく、設計者が3次元形状を作って製造の工程に渡せるようにしたいと考えています。

■図面のペーパーレス化

最終的にはCAD上だけで図面を見るようしていくことが目標です。しかし、1セットで50~60枚の図面が鍛造品(例)あるので、お客様から問い合わせがあった際に図面データを開くのに、CAD上ではどうしても時間と手間がかかります。

また、小さなサイズの図面であれば、画面上でも表示できますが、A2やA1サイズの図面になると画面上では見にくくなり、表示サイズに限界があります。

このような問題がありますので、現在は紙の図面も手元に置いています。CAD上で瞬時に図面が表示され、A1サイズなどの図面でも部分的に拡大したりする動作が今よりもっと簡単で速くできるようになれば、紙の図面はいらなくなります。この問題を解決することが今後の課題の1つです。

■類似品としてのデータ管理

今は図面番号やユーザコードがわからないと図面データの取り出しができません。過去の図面を流用したいときに以前に類似品の注文があったかどうかは、設計者の記憶に委ねている部分がありました。

そこで、スクロール形状や6角形状など類似品のデータをまとめて管理することによって、図面検索がスムーズにできるようになりました。今は図面番号やコードを見た限りでは、どのような形状なのか判断することはできませんので、あらゆる方向から図面データの検索・閲覧が効率よく、スムーズにできるようにしていきたいと思っています。

■CADのPC移行

今の図面は図形と寸法が入っているだけですので、図面データの中に成形品の写真を取り込んだり、加工方法や加工データなどの情報を盛り込んでいきたいと考えています。

また、お客様から試作の依頼が入ると、その報告書をWordやExcelで作成します。その際に図形などを貼り付けたいのですが、現状ではCADデータはワークステーション、報告書はパソコンに分かれていますので、手間がかかってしまいます。CADがパソコンであれば、図形を切り出してワープロソフトなどに貼り付けることは簡単にでき、よりわかりやすい報告書作りができると思います。

このようにPC化していくことはいろいろとメリットがありますので、現在はデータ変換の整合性のことも考え、GRADE/ACE-Wの導入も検討しているところです。社内ではメールでやり取りをしていますが、全員に行き渡っておらず不便な面があるので、各個人がアドレスを持てるようにしたいと考えています。

■図面データ以外のデータベース化

社内全体がネットワークで繋がっていることを最大限に利用すれば、まだまだ発展していく余地があると思います。例えば、図面データだけでなく資料や設計マニュアル、業務に関連する資料や事例などをデータベース化して管理していくことも検討しています。

解析について

解析は10年ほど前から行っていて、鍛造解析と構造解析を行っています。社外からの金型の解析の依頼が6割、残り4割が社内の金型の解析です。CAEでの解析値は実際の測定値に近づいてきましたので、今では設計した段階で解析をし、8割までわかるようになりました。

鍛造品
鍛造品(例)

HZSについて

より良いソフトの開発をお願いしたいです。また、CADの担当者はCADの操作が変わってしまうこと、ソフト間の互換性がなくなってしまうことをかなり嫌います。

新しいものを使い、パフォーマンスが上がることは良いことですが、以前のソフトやデータとの互換性がないものは使えませんので、新しいものを提案される場合はそのことを考慮していただきたいです。

HZSとは12~13年前に初めてCADを導入してからのお付き合いで、当社の内情をよくご存じなので、当社に合った上手な提案をしていただいていると思います。営業と技術を含めてですが、常に新しいシステムの提案をしていただいて、それなりの結果を出しているのでありがたいです。

おわりに

株式会社ニチダイ様にお伺いして、最初に金型の製造工場とはとても思えない奇麗な工場と工場の脇にある立派な和風の建物が社員食堂だと聞き、驚きました。

お話を伺っていても社員の意見に耳をかたむけられ、設備投資などに積極的な姿勢、本当に社員の方々のことを考えられているすばらしい環境の職場だと感心させられました。また、実際に鍛造工場や成形工程の現場を見ながら説明していただき、大変勉強になりました。お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

本社
本社
工場
宇治田原工場
本社 京都府京田辺市薪北町田13番地
創業 1959年5月5日
従業員 292名
売上高 63億2千万円(平成10年度)
営業品目 精密金型、焼結金網フィルタ
精密鍛造品製造・販売
各種機器、装置、部品、備品等の商品販売
精密鍛造化開発支援ほか
製品
精密鍛造金型
製品
精密鍛造品
製品
焼結金網フィルタ