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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.18 お客様事例

3次元データを製造へ展開する

東北ムネカタ株式会社様は、世界一流メーカのパートナーとして、新製品の設計開発から完成品の組立までを一貫して行い、どの工程においても常に最先端の技術力を発揮されています。たえず時代を先取りした新技術にチャレンジされ、その積み重ねにより自社ブランド製品を開発し、幅広い分野に採用されています。今回は、3次元データをいかに製造に展開するかについて、常務取締役 エンジニアリング部門 インテリジェントマテリアル部 担当 佐藤登様、取締役 R&Dセンター所長 館山弘文様、PTM部門 理事 部門長 佐藤正己様、営業管理課 統括課長 野内仁様、鈴木聡様にお話をお伺いしました。

事業概要について

私どもムネカタグループは、国内では大阪のムネカタ株式会社、福島県の東北ムネカタ株式会社、ムネカタテック株式会社、岐阜工場があり、海外ではムネカタアイルランド株式会社、ムネカタアメリカ株式会社、ムネカタメキシコ株式会社の7拠点で事業を展開しております。

総合生産システムということで、新製品の企画、設計開発から金型設計、成形、完成品の組立まで一貫した体制を整えていますので、お客様が要求されるどの工程からでもお手伝いすることができます。

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常務取締役 佐藤 登 様

いろいろな解析をしながら開発設計から金型製作までその一貫した工程を1つのフロアの中で進めていますので、その連携は他の金型、成形メーカにはないことではと自負いたしております。

また、グループの各部門がISO9001、ISO9002の認証を取得しています。それだけでなく、社会的な環境の保全も企業の責任と考えて、国際環境関連規格であるISO14001の認証も99年に取得しました。

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PTM部門 理事
部門長 佐藤 正己 様

データ検証型の製品開発

設計、試作品完成、量産するという工程ですが、従来の試作検討型の製品開発であれば、試作品が完成したときに初めていろいろな問題が見えてきます。

このやり方ですと問題が解決できなければスケジュールが遅れ、金型製作では修正改造としての工数や費用が発生します。これを解決するには、3Dデータを使ってモノを作る前にいろいろな検証をするデータ検証型の製品開発が必要です。

このやり方であれば設計段階で問題を確認し、解決できます。このような取り組みを上流のお客様が始められたので、下流の方への3Dデータの供給が増えてきたという状況です。

当社でも3Dデータだけの受け取り比率が99年の後半には3割を超えています。
(図1)

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PTM部門 営業管理課
統括課長 野内 仁 様
グラフ
図1 '98~'99 3Dデータ受取り比率

構想段階からの参画

3Dデータを製造工程で活用するには、金型加工に使える3Dソリッドデータを作り上げるためのコンカレント体制が非常に重要です。当社は、お客様のモノ作りの構想、企画の段階から参画させていただいて、いろいろなご提案をしています。

製品設計に入る前の構想段階は、強度解析、流動解析などのCAEツールによる事前検討を重要視しています。ものづくりに取りかかる前に問題を見つけ、それを解決してからものづくりをはじめることで1回目のトライ品を完成品とすること、これこそが3D活用の最終目標と考えています。

■強度解析

例えば、コピー機のフロントカバーを開閉するときの強度解析では、どのくらいの応力でフロントカバーがたわむかが求まります。板金を使った場合と成形品にリブを追加した場合、それぞれ変形量が許容値に収まる値を求めた結果により、どちらのコストが安いかを判断できます。このような解析をすることで、コストの最適化を探るだけでなく、金型の修正や変更を事前に回避できるというご提案をしています。

■金属部品の樹脂化

金属部品を樹脂化することでコストを下げたり、軽量化することができます。例えば、プリンターのシャーシには、本体の他にビスやネジ、ビス止めがありますが、これを金型で抜けるような構造にして一体で作ってしまいます。溶接やビス止めの工数が削減でき、部品点数も少なくなるというご提案もしています。また、板金の部分を強度解析するとオーバースペックな場合もあります。

しかし、これまでは材質を樹脂に変更することを設計者が判断するのは難しかったのですが、強度解析をすることでデータとしての裏付けができます。当社が得意にしているのは、強度的にもたないときの補強方法です。足部の板金形状のまま樹脂化すると強度に問題があります。樹脂化するには肉厚の変更やリブの追加など応力を分散させる構造が必要になりますが、それを金型で実現できることをご提案しています。

足部の肉厚を厚くして、リブをはわせた構造になっています。これも全て、金型の抜き方向にうまく抜けるようにしています。(図2)

改善前(板金形状のまま樹脂化)

改善前

改善後(形状変更による樹脂化)

改善後
図2 板金の樹脂化

■流動解析による成形機のランクダウン

テレビのリアカバーの成形で、3点のゲート口から遠いところはショートショットが起きています。これを改善するには、1.7mmの全体の肉厚を流れにくい部分のみ厚肉に変えます。そうすると型締め力が1043tonから784tonに下がり、800tonクラスの成形機でも成形できるようになります。

当然、成形機ランクによりレイトが全然違いますからコストダウンにつながります。金型を作る前に強度の検証や成形時の流動の検証、熱の検証などを検討していき、それをモデルに反映していきます。肉厚を変えたところは樹脂がしっかり流れるようになっています。(図3)

改善前(肉厚1.7mm)850tonで成形不可

改善前

改善後(肉厚変更)850tonで成形可能

改善後
図3 成形機のランクダウン効果

■ウェルドラインの低減

成形品の外観には、樹脂がぶつかり合う場所にウェルドラインと呼ばれるスジ状の模様が出ますので後工程で塗装が必要となります。このウェルドラインを薄く、小さくする為に、樹脂の流れと樹脂のぶつかる角度をコントロールすることにより、外観をきれいにし、塗装を省くことが可能となりこれによりコストダウンが可能となります。

流動解析はこのような内容を事前に検討するためにも有効なツールとなります。当社ではこのツールを成形の技能士が使用することでより実際的な成形技術とリンクさせ高精度の解析を可能にしています。(図4)

通常の手法
通常成形品形状のフローパターンとウェルドライン

説明図

シーケンシャルゲート
フローコントロールによるウェルドライン低減

説明図
図4 TVキャビネット側面部のウェルドラインの低減

■干渉の確認

受注した部品のまわりのアセンブリデータも一緒にいただいています。事前にアセンブリデータで干渉部品の状態を確認し、金型で加工がしやすい形状をご提案しています。また従来は、勾配や形状確認のため、60~70枚におよんだFAXでのやり取りが3Dデータによる金型製作を始めてからほとんどなくなりました。

■成形現象の研究

成形現象の基礎研究として東京大学との共同プロジェクトで、成形の現象を可視化して10年ほど研究をしています。

研究結果のほとんどは数値化してデータベースにしていますので、他社と比べると当社の解析精度は高いのではないかと思っています。

この研究はCAEのためだけはなくて、現象を知ることで新しい加工方法へのアイディアにもつながります。

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取締役
R&Dセンター所長
館山 弘文様

3Dデータ

■ソリッドデータ

当社は、各CADデータをいただくようにお願いしています。IGESデータであれば、情報が欠落する部分が出てきますので、面がめくれるなど不具合があり、修正しようとしても無理な領域があります。いかに早く解析をしてその結果をお返しするかが重要で、そのためにはサーフェスデータではなくソリッドデータが必要です。

朝にソリッドデータをいただければ、その日のうちに解析結果を返すようにスピードを重要視しています。ソリッドデータがない場合は、数日かけて図面からソリッドデータを作成しています。

■ネットワーク

必要な部署に早くデータを届けるため、得意先から当社のFTPサーバーにデータをいれていただき、社内のネットワークを回して、各部署にデータを転送しています。

アイルランドやメキシコからデータがきますので常時転送しています。ムネカタと東北ムネカタは、ISDNの専用回線で結び、モデルデータの他に、加工データも流しています。

負荷分散ということで、加工機が空いているところにデータを転送しています。

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PTM部門 営業管理課
鈴木 聡 様

■モデル作成の履歴を利用する

金型の加工に使う3Dデータは、はじめから完成された3Dデータを必要とするわけではありません。リブなど加工の順番が後ろにくる工程のものについては、はじめの加工には不必要な形状となりますので、その形状を削除するというロス工数が金型の加工時に発生してしまいます。当社はCADデータをいただいていますので、モデルが作られた手順の履歴がモデルといっしょに保存されています。

その履歴を利用してリブがないところまでバックして、必要な面を使い加工用のモデルを作ります。加工に使いやすい形、あるいはリブ形状だけを取り出せるようにリブを付けるタイミングなど事前に打ち合わせをしてルール化します。単純にモデルを作るのではなく、加工データの一部を作っているというモデリングをお願いしています。いろいろなCADデータをいただきますので、それに対応できるCADシステムを揃えています。

■リブの切削加工

工作機械の主軸の回転数が非常に上がり、刃物が良くなったことで、従来は放電加工をしていた細いリブ、深いリブが直接加工できるようになりました。(図5) そこで、当社も工具の標準化を行いエンドミルの寸法を出して、お客様のほうでリブ形状をエンドミルの形に合わせていただくようにモデルの変更をお願いしています。

長いお付き合いのお客様は、そういうリブの形状をライブラリとして何本か揃えていて、工具の標準化による製品形状の標準化で設計を効率化されています。途中で高さが変化するリブ形状も標準の刃物で、タイプを分けて切削加工します。(図6)

エンドミル加工
図5 エンドミル加工
切削加工に対応したリブ形状
図6 切削加工に対応したリブ形状

■金型特有の構造

その他に3Dモデルで問題があるのが中間公差です。あるいはシボ、アンダーカットなど金型特有の構造にまつわるものですが、これも事前に金型パーティングラインや概略の構造を決める打ち合わせを行い、モデルに反映していただきます。

製造へ展開するためには

■3Dデータを作るフィールド

製品設計のスキルだけでは、最終の製造工程までロスなく活用できる3Dデータを作ることはできません。金型構造的な知識も必要ですし、加工、成形、2次加工、アッセンブリも知っていないといけない。そういうフィールドで作られる3Dデータが一番ロスがなく最後の加工まで流れていきます。

当社の総合生産システムは、各工程のノウハウを持っていますので、そのバックグラウンドがあります。お客様も当社にこられて、3Dデータを作成するオペレーションの技術と、3Dデータを使うバックグラウンドを勉強されます。

ただ形を作るのではなく、解析データや金型加工データになる基本データを作るという意識を持っていただくことをお願いしています。3Dデータを使うのは、いろいろな情報を伝えられて、誰が見ても形状を認識できるからです。

■3次元システムの効果

3次元システムは問題解決のためのツールであり、これを活用することで、金型の設計変更や修正などのムダや成形段階の問題も事前に解決でき、より良い品質でコストを削減し、より短い期間で開発できます。当社は、お客様と必ず最後に3D化の効果についての確認を行います。

どういう問題があり、それを解決することで、どのような効果や実績が上がったかを確認することは非常に重要です。3次元システムを導入しても、あまり効果がでていないという話を聞きますが、それは仕組み作りの問題です。お客様に、3次元システムを導入されることで得られる効果を理解していただけるようなご提案を今後もしていきたいと考えています。

今後の展開

■ソリューション事業

コスト面で海外に負けないためには、3Dソリッドモデルをいただいた後、人間が介在しないモノ作りが必要です。これを究極の目的として模索しています。最終的には当社の各部門に分散している製造ノウハウを関連付けて統合化することにより、当社のソリューションとしての事業を展開したいと考えています。

HZSについて

■Space-EとIronCAD

操作画面
図7 Space-E

Space-Eを導入してすぐは、実際に加工するためのシミュレーションに使っていました。Ver.2が発行された去年の11月から3次元の加工に使っています。

IronCADは、パラソリッドとACISとのダブルカーネルを持っていますので、非常に多くのミッドレンジCADのデータを取り込むことができます。

■要望

HZSは、積層造形などいろいろ多方面の製品を扱っていると思います。IronCADもそうですが、ユーザが使いやすいものを世界中から集めてきてほしいです。HZSは海外にも開発拠点を置かれていますが、開発内容のオープン化を希望します。

おわりに

「創れ!世界一流品の品質」というスローガンが、会社の入り口に大きく掲げられ、製品を創ることへのこだわりを感じました。リサイクルを考えた新工法の開発や常に新しいことへの取り組みのお話、工場内の見学など大変勉強になりました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

会社外観
本社
本社 福島県福島市蓬莱町1-11-1
創業 1967年5月3日
資本金 36億5千万円(グループ総額)
従業員 1,800名(グループ総数)
売上げ高 450億円(グループ総額)
主な営業品目 製品設計(機構)、プラスチック射出成形用金型設計・製作、電子機器製品組立、 産業ロボット開発、製造販売、 プラスチック射出成形、プラスチック部品加工、新工法・新素材研究開発
製品写真
PDPフロントカバー
製品写真
TVキャビネット
製品写真
プリンターシャーシ
製品写真
コイルボビン
(重量0.0006g)
製品写真
インパルスウェルダー
(自社製品)の使用例
製品写真
フラットフュージョンシステム
(自社製品)の使用例