人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.27 | システム紹介
PLMソリューション CATIA V5のご紹介
PLM営業部 田中 秀樹

はじめに

国内製造業のお客様は、常日ごろより業務の効率化と、高い品質を維持するという、相反する課題に挑戦されています。このために、HZSはお客様の業務の効率化をITで支援することからスタートしました。CAD(ドラフティング、3Dモデリング)・CAM(2D、3D)・DMU(デジタル・モックアップ)・PDM(プロダクト・データ・マネージメント)の導入による設計・製造部門の効率化提案、コールセンター・作業受託サービスのご提供による業務運用の効率化提案、など個々の業務の効率化ないし最適化の支援を目的としてきました。

現在の製品開発の効率化における最重要課題は工程重視(プロセス・セントリック)へと進んできています。それは、製品の開発、販売、運用保守など、製品のライフサイクル情報を統合的に管理することです。即ち、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネージメント)に対応した支援がお客様から求められていると考えます。

私達は、今後、このPLMの考えを具現化して、お客様に満足頂けるソリューションをご提供できるよう、努力していきます。本稿では、PLMのキーワードとなるプロセス・セントリックの考え方、日本IBM社との提携に基づいたCATIAソリューションをご紹介します。

PLMのキーワード

製品製造開発管理において、例えば、商談管理はSFAで、設計管理はPDMで、納入情報管理は物流システムで、保守履歴は保守管理システムでというように部門ごとにバラバラのシステムで運用されているのが普通ですが、この状態では、顧客と企業が1対1の関係にはなり難くなります。即ち、企業側がいくつもの機能(部門)で分断された情報に基づいて顧客に対応していては、顧客中心の動きをすることが困難であることを意味します。

設計・製造部門に限ってみると、図面、3Dモデル、NCデータ、部品表、などが異なる情報源として存在していては、全体効率を上げることが難しいことを示します。そこで、3次元データを基盤とした運用に進まざるを得ないと考えます。このことは開発・設計・製造の各部署で3次元データを共有しながら作業を進めるため、各部署・関連会社が個別で行ってきた効率化を再検討し、さらに高いレベルで協調しながら物作りに取り組める仕組みの新規導入などが必要になることを意味します。即ち、製品開発の上流工程である企画・設計部門から下流工程である製造部門に至る、プロダクト・ライフサイクルの全工程における効率化を目指したシステム構築が必要になります。(図1参照)

プロダクト・ライフサイクルの考え方のグラブ
図1 Product Lifecycle Managementの考え方
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

このプロセス・セントリックな効率化を目指すPLMシステムとは、これまでの個々の業務で最適のソリューション提供(デザイン・セントリック)と異なり、企画・設計部門と製造部門間および製造部門と調達部門間が1つのデータを基盤として統合できるソリューションをご提供するということです。

プロセス・セントリックに対して、デザイン・セントリックとは各分野で最高の機能を持つソリューションを組み合わせ、統合的に利用することを意味します。機能面やコスト面から見ると、デザイン・セントリックな考え方に軍配が上がるかもしれません。しかし、企業間でのデータ流通、導入教育期間、他社システムとの連携するための開発期間やコストなどを考慮すると、3Dデータを共有して、一連のソリューションを同一のGUIで利用できるプロセス・セントリックなソリューションが全体効率の面から優位であると言えます。

CATIAソリューション

HZSは、2002年3月、日本IBM社とPLMに関わるビジネス・パートナーとしての提携を結び、日本IBMが国内で提供するPLMソリューションの販売およびインテグレーションをご提供します。今回の提携によりHZSがご提供できるようになるのは、事実上業界標準のCADプラットフォームであるCATIA V5やPDMのSmarTeam,ENOVIAなどです。

■製品構成

特定の業務または工程に必要な機能レベルは、生産製品の差異、加工の複雑さ、技術上の要件などにより、さまざまに異なることがあります。この点を踏まえ、最も費用効果の高い機能の実装を可能にするため、CATIA V5製品群は下記の3つのプラットフォーム・レベルに分類されています。

  • P1プラットフォーム
    プロセス・セントリックの考え方に則ったエントリーレベルの導入しやすいCATIA V5アプリケーション群
  • P2プラットフォーム
    大規模コラボレーションでの運用、ナレッジによるノウハウの再利用、カスタマイズ環境などをご提供する中核的アプリケーション群
  • P3プラットフォーム
    特定業務向けに構築した専用アプリケーション群

P1、P2、およびP3プラットフォームはデータとユーザー・インターフェイスが統一され、製品設計開発手法を共有することができます。この様にCATIA V5は完全なスケーラビリティーを維持していることで、企業グループ全体で規模の拡大に簡単に対処できます。

CATIA V5は、お客様の使用形態や工程に合わせた機能要求に最適のソリューションを選択し易いようにいくつかの標準構成パッケージが用意されています。これらの標準構成パッケージにアドオン製品を追加して、より汎用的あるいは専門的なニーズに対応するようソリューションを構築することができます。各製品は、以下に示す3つの商品構成のいずれかで導入いただけます。

  • 標準構成パッケージ
  • 標準構成パッケージへのアドオン製品
  • 標準構成パッケージへのシェアラブル製品

表1、2にCATIA-V5のR9ベースでのP1/P2プラットフォームのアプリケーション一覧を示します。各表の最上行に記されているのが標準構成パッケージで、左列に記されるアドオン製品の●印が、各標準構成パッケージに含まれることを示します。

シェアラブル製品は複数の標準パッケージ上で共有して利用できる形態のアドオン製品で、全ての作業者が使用しない機能を端末を特定せず利用する場合などに有効です。

標準パッケージの表
表1 CATIA V5R9 P1標準パッケージ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
標準パッケージの表
表2 CATIA V5R9 P2標準パッケージ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

■HZSが推奨する標準構成パッケージ

表1、2でわかるように非常に多くの標準構成パッケージやアドオン製品が存在します。そこで、既にHZSのCAD/CAMをお使いや製造業のお客様でCATIA V5を検討される場合に対象となるであろう、標準構成パッケージを図2に示します。

パッケージ例の構成と価格
図2 標準構成パッケージ例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
  • DR1(P1)
    ソリッド・モデリング機能の無い、図面作成用パッケージ
  • MD1(P1)
    エントリーレベルでサーフェイス機能の無いソリッド・モデラーパッケージ
  • MD2(P2)
    サーフェイス機能を持つソリッド・モデラーパッケージ
  • HD2(P2)
    MD2にサーフェイス機能を強化したソリッド・モデラーパッケージ

また既にお知らせしました様に、HZSはダッソー社の開発パートナーとしてCATIA V5ベースで商品開発を行っております。本商品(商品名:Space-E V5)はP2商品として開発されており、単独での利用または、上記標準パッケージのMD2/HD2等と組み合わせてご利用いただける予定です。(図3参照)

パッケージ例の構成と価格
図3 Space-E V5 パッケージ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

おわりに

HZSは創業以来、お客様にとって真に必要とされるソリューションは何かを考えながら、ご支援できるよう努力してまいりました。今回の日本IBM社との提携およびフランス、ダッソー社との提携による商品のご提供、商品開発もその考えに基づくものです。

今後も、お客様の現場からの貴重なご意見をいただきながら、さらに良いものをご提供できるようにしたいと考えます。

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