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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.27 お客様事例

EOSINTを利用した新たなビジネスモデル

株式会社コンネット様は、EOSINT P700の1号ユーザで、なおかつ国内で最も多くEOSINTを導入していただいているお客様です。またRPによる受託造形を専門に取り扱われていて、独自のノウハウから生み出される高い技術力によって幅広い分野から非常に高い評価を受けています。

今回は、EOSINTの導入の背景、導入後の運用などについてのお話を中心に、代表取締役 咲間泰彦様、SE部 部長 川崎祐一様、パートナー会社である日立多賀テクロノジー株式会社 製造本部 菅野善之様、羽島基博様にお話をお伺いしました。

事業概要

当社は、レーザ粉末焼結のサービスビューロを専門に行うために設立した会社で、設立から4年の若い会社です。

当時のRP装置(Rapid Prototyping)は、試作業者が光造形を使う、あるいは金型業者が金型試作に使用するなど、本業に付帯するような形で利用されていました。

当社の場合はRPによる受託造形を専門に新事業として行うために設立された会社であるという大きな違いがあります。

設立当初の平成9年度は景気が非常に落ち込み始めた時期で、会社を立ち上げること自体が非常にリスキーでした。

人物写真
代表取締役
咲間 泰彦 様

しかしながら、これからの日本の製造業にとって3次元データをさらに有効活用するためには、レーザ粉末焼結のシステムを使うことが必要不可欠になるだろうと見定めて会社を設立しました。

主な業務としては受託造形・マシーン販売・新製品開発サポートの三本柱で行っています。

当社がお客様にEOSINTをご紹介する場合には、単なるマシーンの販売だけでなく、当社のノウハウもご提供することができます。

■新たなビジネスモデル

当社は、パートナー会社(日立多賀テクノロジー株式会社様[茨城]、株式会社北星様[富山]、セイチョウ工業株式会社様[宮城])に工場立地を提供していただき、各パートナー会社にEOSINTを設置しています。

各工場の技術者の方にマシンオペレートしていただき、共に営業活動を行うビジネススタイルをとっています。

工場内写真
パートナー会社
日立多賀テクノロジー株式会社様工場にて
(機械は日本初の大型造形機 P700)

■ビジネスパートナーとのネットワーク

造形の前工程として設計・デザイン・3次元データ作成・データ変換などがあり、造形後には粉落とし・研磨・塗装・仕上げ・3次元測定などの様々な後工程があり、全ての工程を1社で行うのは非常に困難です。

「モデリング」や「仕上加工」、「金型関連」、「プラスチック関連」、「データ解析」など各分野を専門としているパートナー会社とネットワークを組んで協力しています。

毎月定期的に情報交換会を開き、各社の得意分野を持ち寄り、お互いの課題を解決しています。

年々変化し多様化していくニーズに応えていくためには、一芸に秀いで、特殊技術を持つパートナー会社とのネットワークは必要不可欠になっています。

ネットワーク関係図
ネットワーク関係図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

導入の背景

まだ日立製作所に勤務していた頃、日立造船から「ドイツから最新鋭の工作機械が入ってくる。メインユーザは自動車・家電関係なので日立にも紹介させてもらえないだろうか」という話があったのが最初です。

そこで生産技術部と資材部の担当者に声をかけて目利きをしてもらいました。

すると非常に高い評価を受けましたので、資材のネットワークを通じ紹介致しました。

当時は1ヶ月で30件以上の問い合わせがあり、大きな反響を得たのですが、販売までには至りませんでした。

というのは価格的に高価で、試作はアウトソーシングという考えがあり、設計の季節変動もあり、各工場での導入は厳しいものがありました。

そこで日立製作所の家電5工場でEOSINTを共同利用することを提案し、最終的には事業化するための協力をしてもらうことを前提に受託造形を専門に扱う新会社設立に至りました。

機能面・将来性を考え、EOSINT導入を決定しました。

他メーカの造形機では汎用性を重視し、プラスチック、金属、砂のいずれも1台の機械で造形可能なものもあります。

しかし比重も違えば、使用目的も違うものを製作するわけですから汎用性よりも専門分野別に特化しているほうが将来的にも有利だと思いました。

また、どの工作機械もすぐに陳腐化してしまう傾向にありますが、EOSINTは前の機種をアップグレードすることができ、最新のバージョンで利用できることが非常に魅力的でした。

発足当初はプラスチック造形機(EOSINT P350)を1台、メタル(EOSINT M250)1台でスタートしました。

平成13年にプラスチック(EOSINT P360)を1台増設、平成14年4月にさらに2台(EOSINT P380)増設しました。

平成14年7月にEOSINT P700を導入し、現在は計6台で運用しています。

パートナー企業 日立多賀テクノロジー株式会社 様

■導入から立ち上げ

平成10年5月に最初の1台を導入しました。

レーザ粉末焼結という新しい分野の装置ということもあり、3ヶ月ぐらいは色々と試して、どういったものなのかを知ることから始めていきました。

その当時は、1週間に1件程度の時もありましたが、今年に入ってからは機械が空いている時間がほとんどない状態が続いています。

人物写真
製造本部
菅野 善之 様

■導入の効果

2次元図面をいただいて全工程を任されることもありますし、造形の部分だけ依頼される場合もあります。
この部分に強度を持たせたい、この部分の精度を出したいなどの条件がある場合は、それに合わせて造形していきます。

材料を指定して造形を依頼される場合もありますが、造形物をそのまま使用したいという注文が多いのでナイロンでの造形が多いです。

EOSINTの樹脂のパーツではネジを締めたり、部品を組み付けたり、品物としての評価ができるので非常に評判が良く、機能部品になるほどEOSINTのメリットが活かされると思います。

人物写真
製造本部
羽島 基博 様

多様なニーズに応える

■追加工

造形物に対して追加工をして欲しいという注文も多く、ナイロンで製作した部品の穴を追加工したり、水が漏れないようにタンクを作ることもあります。

これは光造形では対応できない部分ですし、EOSINTのメリットだと思います。

このような「細かいニーズも含めての受注」を行っています。

■複数台での運用

要望もひとつひとつ違っていて、それが集中して入ってくるとEOSINTを複数台を所有しているメリットがあります。

造形する素材が違うから入れ替えをしなくてはいけないなどの手間も少なくて済みますし、大量注文にも対応できます。

■サービスビューロとして

当社の業種としては製造業にあたりますが「サービス業」だと思っています。

新製品開発のリードタイム短縮のためにRPが利用されている中で、当社がサービスビューロとして何が提供できるかというと「トータルサービス」です。

ただ形状を作ることだけを考えるのではなく、納期を第一に、お客様のニーズに対応することに重点をおいてます。

試作業という立場からお客様個々のニーズに応えるほうが大きいです。

人物写真
SE部
部長 川崎 祐一 様

ノウハウ構築

造形物の形状によっては、精度を確保するために造形方向を工夫したり、意匠面がある場合にも綺麗な面ができる方向で造形した方が良い場合もあります。

実際に造形して試行錯誤しながら早く綺麗に仕上げる方法を探していきました。

また、造形機内をブロック分けして一度に複数の形状を造形することもあります。

ただ造形可能サイズ内に納めれば良いというわけではなく、できあがった品物にあらゆる角度からの品質が求められています。

今までの経験から、最適の条件を考えて配置する必要があります。

RPでは「どれだけ複数の形状を造形し経験を積んできたか」に依存する部分が大きいと思います。

それはRP初期から導入して経験を積んできた強みであり、当社独自のノウハウだと思っています。

どんな形状でも

毎年同じ分野の仕事が入ってくるわけではなく、製品の割合としては年々変化していますし、今後は宇宙飛行機関連や発電所関連の需要も見込まれます。

特殊な分野では大量生産ではなく「一品物」が多く、性能だけを突き詰めていくものです。

実際に多分野からのお引き合いがありますし、客層についてはメーカ・業種を問いません。

変わったところでは下着メーカのワイヤー、お箸、営業用に持ちまわるための幼児用スプーンなどの依頼もあります。義足や脊髄などの医療部品、金魚のディスプレイの装飾品などもあります。

エンジン周りの機能部品を作っている傍らで、様々な分野の試作品も製作しています。

世の中に形があるものは、データさえあればほとんどのものは造形可能だと思います。

形状モデル
CAD画面
造形物の写真
造形物

今後の課題

従来の手法では複雑で時間がかかっていたものを全く新しい手法で簡易化・短時間化するためのアプリケーション研究開発を進めていくことです。

たとえば、林檎や梨、卵などのトレイなどは鋳物の表面に金網を合わせ、パルプ液の中に漬け込んで後ろから吸い出し、金網の表面に薄く残ったパルプモールドが実際の形状になります。

この鋳物と金網を組み合わせて工業製品の形状を作り上げるとなると非常に複雑になってきます。

また、林檎や梨のL・M・Sサイズのトレイがあり、形状別に抄型を作らなければなりませんので大変な作業になってしまいます。

従来の抄型の鋳物と金網の部分をプラスチック造形物に替える研究・開発を東京都の助成を得て行ってきました。

RPは、従来の手法を見直して全く新しい手法でやってみるというキッカケになると思います。

また、三次元CAD利用の進展とともに顧客の要望が多岐にわたり、複雑化していく中で、それに応えられる技術力・設備を準備していくことです。

世の中のニーズに追いついていかないと受託造形サービス自体が成り立ちませんので、絶えず最新技術に目を向けてスキルアップしていきたいと思っています。

HZSについて

RPの認知度も年々上がってきていると思いますが、さらにRPの認知拡大、ユーザの増加などに尽力していただき、国内のEOSINTユーザ向けの技術交流の場を提供してもらえればと思います。

また、技術資料の日本語化や材料の国内向け資料をHZSで検証をして作っていただければありがたいです。

おわりに

お話を伺っている中で、「この先、RPは教育機関などでも使われるかもしれない」というお話がありました。製造現場にあるような大型なものではなく、小さな機械で小学校レベルでも自分でデザインしたものを実際に造形し「コンピュータでのモノづくり」を体感できても面白いと思います。

分野にとらわれず、広い範囲で活躍されているからこそ、このような発想ができるのではと感心させれらました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

製品写真
医療用モデル
住所 東京都千代田区内神田3-11-7 日立神田別館
工場 茨城県日立市東多賀町1-1-1(日立多賀テクノロジー株式会社)
富山県砺波市木下150番地(株式会社 北星)
宮城県古川市西舘3-6-8(セイチョウ工業株式会社)
設立 平成9年9月1日
資本金 100,000,000円
従事者 16名
売上高 5億円(平成14年度目標)
事業内容 試作用機能部品の受託造形サービス、EOSINT P型、M型、S型の販売、3次元CADデータの作成、試作モデル製作、簡易金型製作、サンプル成形・制作、試作鋳物、その他新製品研究・開発に関する業務全般
製品写真
パルプモールド型
(抄型)
製品写真
EOSINT Mによる精密加工コア型
(左写真 加工済み)
製品写真
三次元立体ディスプレイ

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