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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.32 お客様事例

EOSINT-M250で技術力向上を目指す

株式会社富士電工様は、プラスチック素材を中心とした事務機器、医療機器、光学機器、自動車機器などの分野で「試作・金型・量産」の総合的なモノ作りを展開されています。その中で多様化したニーズに対応するため、「削り出し」と「成形加工」を組み合わせたハイブリッド製作試作品を独自の技術を用いて製作されています。

今回は、EOSINT-M250を導入された背景と期待する効果についてのお話を中心に、代表取締役 初鹿野一良様、常務取締役 LSSテクニカルゼネラルマネージャー 渡辺重男様、技術部 技術課 課長 LSSテクニカルマネージャー 阿部誠二郎様にお伺いしました。

事業概要

当社のモノ作りの歴史は非常に古く、創業は昭和15年です。

当社は、同じモノ作りでも高精度なモノを作りたいという思いが強く、技術力を表現できる試作分野に力を入れてきました。試作は量産と違って、ニーズが多様化していますので、様々な技術力が必要とされます。

そのため、平成6年にCMDシステムによる成形金型を商品化しました。CMDシステムとは、当社考案の共用モールドベースにキャビティ部はアルミを使用し、スチール型部品と組み合わせて品質や強度などを確保した、開発および小中量生産用のハイブリッド製作による金型のことです。

量産時と同じ正規部品が少数だけ必要な場合でも、型が必要になりますので、このような要望に対応しています。

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代表取締役
初鹿野 一良 様

EOSINT-M250導入の背景

開発部品の新しい製作方法について、石膏型、樹脂型、合金を使用した溶射型、アルミ型を含めて、1983年頃からいろいろな研究をしてきました。

その間にはCMDシステムの需要があり優先させていましたが、お客様からEOSINTについての情報をいただいてからは、これまでと全く異質の作り方をするレーザー焼結システムのEOSINT-Mに付加価値を高めた作り方が期待でき、魅力を感じました。

それから2002年5月にHZSから説明をしていただき、非常に早い決断で9月にはEOSINT-M250を導入しました。

EOSINT-M250の導入後

導入から1年経ちますが、正直いってこの1年間は研究期間でした。こういうものを作ると、どういう結果、強度になるかなど、いろいろな形状をピックアップして造形してきました。何ができるのかではなく、何ができないのかという視点で見極めることが重要です。やはり、得意な形状、不得意な形状があるので、その中でどのくらいが限界なのかを知らないとモノ作りが始まらないと思います。たとえば、ある肉厚の形状が実際どれくらいの長さまで造形できるかなど、社内でテスト的に造形しています。このようなテストが、お客様へご説明するときの参考になるわけです。何でもできると説明した結果、できない場合はお客様にご迷惑をかけることになります。

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常務取締役
LSSテクニカル
ゼネラルマネージャー
渡辺 重男 様

その他には、既存の方法で加工できない形状を表現するためのテストをしました。非常に複雑で加工が困難な形状で造形しましたが、これは思うように短時間で形状を造形できました。まだまだ研究段階で、先行して導入された他社さんとは差がついているとは思いますが、数をこなして技術力を向上させていきたいと思います。

EOSINT-M250の効果

【他社に真似できない技術力】

まだ、狙い通りの効果がでているかというと難しいところはあります。実際、研究をするにしても専任者をつけるわけにはいかず、日常の業務をしながらなので多少効果がでるまでに時間がかかっていますが、着実にものにしていると思います。

導入前の検討期間は短いですが、当社なりに初期、中期、後期と計画を立て、活用できるモノとそれに対する技術力を高めようと進めています。これまでの光造形とは違ってEOSINT-Mは、技術力を蓄積していく必要があるので、そういう部分では当社に適しています。ノウハウと技術を活かして使いこなすことができれば、他社が真似できない技術力になります。

【ハイブリッド製作の時間短縮】

今のEOSINT-Mの実績としては、部品を納品するために社内で製作する型を造形していることです。試作品を手作りの部分と成形で作った部品とを組み合わせたハイブリッド製作です。この製作であれば、試作段階で形状確認以外に量産時の機能試験ができるというメリットがあるため、非常に多くの需要があります。部品だけをご提供する場合は、アルミと造形型のハイブリッド製作した型を当社で作り、部品を成形しています。

またアルミ型として作っても、放電加工が必要になる部分がでてくるので、そのような部分をEOSINT-Mで造形して、直接金型部品として使用しています。加工するよりEOSINT-Mで金型部品を造形した方が早くできるため、今までアルミ型で作っていましたが、造形型に変えることでさらに短期間で成形できます。

画面例
データ
製品の写真
造形物

ブロー成形金型(ボトル)

画面例
データ
製品の写真
造形物

タービンフィン

【少数の部品にも対応】

当社は、製品内部の機構部品の試作をしているので、精度を問われる分野です。たとえば、プリンター、FAX、コピー機に紙を送る機能がありますが、その部分の試作品も作っています。紙を送る部分は非常に重要で、特にこの部分だけは量産時と全く同じ材質でなければいけないという要望があります。通紙面を実際の量産品と同じ材質で作ることで、試作の段階で強度、磨耗、すべりなどいろいろな試験ができます。

これまで少数のため、なかなか型を作れなかった部品に対してもEOSINT-Mであれば対応できるようになり、例えば十数個という少数でも対応できます。

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技術部 技術課 課長
LSSテクニカルマネージャー
阿部 誠二郎 様

【LSSシステムとして営業展開】

挿絵

EOSINT-Mを利用して少数の成形品を作るための型を実用化していくことを、当社独自のLSSシステムと総称して、モノ作りの新しいご提案をさせていただいています。やはり時代がスピードを要求しているため、それに対応できる造形の特徴がEOSINT-Mにはあり、そのことは絶対的に優位になります。

当社が目指している少量生産支援システムで、EOSINT-Mは強力な武器という位置付けになっています。当然ここで終わりではなく、永続的にお客様の要望にお応えできるように、支援システムを充実させていきますが、EOSINT-Mを導入することによって一歩充実できたと思います。

また、直接的な効果ではありませんが、EOSINT-Mを導入しているという話題性がありますので、広い意味で営業展開しやすくなります。

【社員への効果】

EOSINT-Mを導入して新しいモノ作りに対する取組みを会社が始めているということは、社員に対しても大きな効果があります。積極的に新しいことに会社が取組むことで、操作をしている技術者もそうですが、波及効果があると思います。

今後の取組み

【お客様へのご提案】

会社の風景

EOSINT-Mの特徴を最大限に活かすには、品質の急所をしっかり抑えながら、全体的な仕上がりにメリハリをつけることです。要するに、精度を要求しないところに、必要以上の手間をかけないことです。特にこのEOSINT-Mでは、そこにポイントを置かないと最大限の特徴が出せません。例えば、この品物はこのリブだけを押さえる必要があると分かれば、面によっては造形して、ショットピーニングしただけでOKだということもできます。仕上げとして全部にカッターパスを走らせるのではなく、お客様がどうしても押さえたい部分を明確にしていただくと無駄なことをしなくてすみます。お客様の中には、作り方がEOSINT-Mで造形する方法に変わるだけで、従来と同じモノが安く早くできるという認識があります。確かに早く造形はできるのですが、さらにメリハリをつけることで、納期、コストに直接反映させていくというご提案をお客様にしていきたいと考えています。

画面例
データ
製品の写真
造形物

特殊ダクト

画面例
データ
製品の写真
造形物

螺旋水路付き特殊ボルト

【加工技術の工夫】

EOSINT-Mに特化した加工技術を拡充していきたいと思います。具体的な取組みのひとつに面精度の問題があります。造形材料は、DirectMetal20というブロンズ系の一番細かい最新の材料ですが、20ミクロンで造形したからといって全て、そのままで使える訳ではありません。やはり仕上げのカッターパスを走らせないと使えないわけです。しかし、全ての箇所に面精度が必要とも思えません。従って精度を必要とする部分は、仕上げに刃物を通してきれいに磨きますが、そこまでの精度を求めない部分はそれなりに対応する仕上げの方法がいろいろと考えられますので、今後はそうした技術の拡充を図っていきたいと考えています。

【環境保全にも有効】

最近、あるメーカさんの環境に対する説明会があり、国内大手電気、電子機器メーカ等で組織する協議会に於ける共通化として、2004年末には使用制限物質を全て排除しようという話がありました。

これからのモノ作りは、環境保全を無視してはできない時代に入り、従来の金型作り、機械加工などで、何らかの有害、化学物質の問題はからんできます。

ある製品ですが、従来使っていた溶剤が使用禁止物質になっていたので、ネジでひとつひとつ留めるように設計しました。その設計には非常に苦労しましたが、接着できないため、このようにネジで留めるような方法になりました。当然、今後も環境保全に対しての対策が必要ですし、それがこれからの技術になるでしょう。そのようなことを意識すると、EOSINT-Mのレーザー焼結による製作は環境保全にも有効です。

HZSに期待すること

材料のパウダーの件ですが、非常にデリケートなものだと感じているところです。梅雨の時期に入って造形がうまくいかなくなる現象が起きて、エンジニアの方にいろいろ調査していただきましたが、それでも原因が分かりませんでした。最終的に材料のパウダーが原因だと分かり、新しいパウダーに替えてみると通常の造形ができました。その原因は湿気ということでしたので、それから社内でできる限りの湿度管理をしましたが、また同じような現象が出てしまいましたので、HZSに相談しているところです。

最初のうちは材料が無くなったら困るので余分に入れていましたが、最近は造形物の大きさで必要なパウダー量が分かってきたため、その分しか入れないようにしています。構造上、材料はストレージの上部から使用されていき、上から補充するため、古い材料がストレージの下部に残ります。そういった意味では、材料の滞留が非常に不安です。

パウダーの保管ですが、乾燥剤が入っているボトルの中で密閉されているので心配はありませんが、造形中というのは室内の温度に影響しますので、そこで、変化があるのかと思います。今は造形が終わった時点で早めに、ボトルの中に戻しています。

会社の風景

HZSからは、他の材料には全く関係のない湿度による問題が顕著に出ているとのことで、今までと違った性質が見られるという報告は受けていますが、このように当社でできる範囲の努力はしていますので、材料を簡単に取り扱いができる方法または、改良をお願いします。その他に材料については、チタン合金、アルミ材などの新しい材料が出てくることを望んでいます。

HZSには、RPに限らず広い範囲でのモノ作りの情報をいろいろいただいており、それは非常に参考になっています。特に私どもが接する機会が少ない分野の情報などについても是非今後も教えていただくようお願いします。

もうひとつは、EOSINT-Mの造形市場を拡大するため、作る側の私どもとHZSが相互努力をすることで実績を上げられると思っていますので、今後も協力していただくことを期待しています。

教材用射出成形金型モデル クリアベース

実際に使用される金型構造と同じ作りで、エジェクタープレートを押すとZピンや突き出しピンが動作します。金型設計技術者、成形技術者や、学校などの教育用に、またはディスプレイ用にご利用ください。

HZSでも販売しています。

製品の写真

おわりに

技術力を常に高めると共にお客様からの要求にも時代を先取りした対応をされているお話をお伺いでき、大変勉強になりました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

会社の写真
本社
本社 東京都品川区西五反田7丁目5番地5号
都留工場 山梨県都留市大幡南1418
創業 昭和15年11月
資本金 2,000万円
従業員 40名
事業内容 自動車・事務・医療・光学・精密機器(射出成形量産金型、CMDシステム金型、レーザー焼結造形金型、メタル合金造形部品、射出成形品、試作モデル品、金属加工、機器組立、付帯部品)
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CMDシステム金型
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携帯電話(造形金型)
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成形品(造形金型)
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量産(成形品)

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