人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.36 | システム紹介
進捗・負荷・原価・利益が見えてくる
金型製造業向けソリューション「Dr.工程lite」
株式会社 シー・アイ・エム総合研究所
システム営業部 取締役 秋山 浩樹

Dr.工程PROを凝縮したDr.工程lite

金型製造業向けCADシステムのトップメーカーであるHZSと金型製造現場向け生産管理システムのトップベンダー株式会社シー・アイ・エム総合研究所(CIM総研)の協業体制が昨年度実現致しました。その第一弾として「Dr.工程PRO」の販売を開始し、お客様には好評を博しております。今回ご紹介する「Dr.工程lite」は、協業の第二弾としてラインナップされ、中小規模の金型製造業様向けに開発した生産管理システムです。

対象としているお客様は、金型製造業(プレス金型・プラスチック金型・鍛造金型等、型種は問いません)および産業機器製造業、ライン製造などの一品生産または少量生産を主体とする製造業となります。

Dr.工程PROは、累計で既に350社以上の納入実績がございます。国際優良企業及びその関連企業にも多々納めており、そのクオリティの高さ、信頼性の確かさを裏付けています。さらに個別採算管理の徹底や個人別生産性の分析などを目的として開発した「Dr.原価PRO」もDr.工程PROとともに多くの導入実績を持ちます。

Dr.工程liteは、この2製品のエッセンスやノウハウをコンパクトに凝縮した構成で、「Dr.シリーズ」で多くのお客様に支持された「使いやすさ」の継承、工程管理から実績管理、個別原価管理まで現場で必要な機能をワンパッケージ化、低価格化によるコストパフォーマンスなどを実現し、機能的にも価格的にもお買い得な製品になっております。

理解度・活用度に合わせて複雑な工程管理を無理なく習得

Dr.工程liteは、製造現場のIT浸透度に合わせて、無理なく段階的にプロセスを踏んでシステムをレベルアップすることができます。

基本システムの工程管理機能では、製品基本情報、部品情報、工程情報を登録することにより、パート図を自動作成します。パート図での工程の組み立て操作は直感的かつ簡単にできます。基本システムの実績管理機能では、機械別作業予定表・部品工程票により、的確な加工指示が可能です。実績入力では、社内の実績だけでなく外注加工の実績も入力できるので、進捗状況を一目で把握できます。原価管理システム機能では、製品単位の個別原価管理を実現、迅速な経営判断を強力にバックアップしています。日程管理システム機能では、投入された個々の製品情報を基に負荷グラフ(機械別/工程別)を表示します。さらにガントチャート表示ではドラッグアンドドロップ操作で日程を調整することができます。

このように、Dr.工程liteは受注から完成、納品までの複雑な、生産工程を一元管理できるシステムとなっています。またDr.工程liteを導入することにより、いままで完成しないと詳細がわからなかった進捗、負荷、原価、利益などの情報をリアルタイムに把握することができるため、中小企業の経営者様には心強い援軍となるのです。

説明図
生産実績問合せ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
仕入、外注、実績などの情報を入力することにより、受注単位に材料費・機械・実績明細や構成費を出力できます。
説明図
ガントチャート
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
機械別、製造NO別にガントチャートを表示。ドラッグアンドドロップ操作で簡単に日程を調整することができます。
説明図
パート図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
製品基本情報、部品情報、工程情報を登録することにより、パート図を自動作成。パート図での工程の組み立て操作は直感的で容易です。
説明図
負荷グラフ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
個々の製品情報を基に負荷グラフを表示します。

導入効果が見えるDr.工程lite

現在、中小の金型製造業を取り巻く状況はきわめて厳しいものがあります。現場では、短納期化、製造金型数の増加、価格下落が日常的になっており、生産性向上・納期厳守システムの確立が急務となっています。

これを踏まえて、Dr.工程liteは次のような特徴を持ち現場のサポートを行います。

  1. 金型別製造日程のガントチャート表示により進捗・遅延が一目瞭然
  2. 負荷グラフにより、機械、計画工程毎の負荷状況から工場全体の負荷状況を把握
  3. 簡単な操作で実績収集が可能、個人別の作業状況を容易に把握
  4. 作業実績及び仕入実績から金型別の原価・収益を自動算出

そこで、実際にDr.工程を導入したお客様の声を伺ってみると、「巡回進捗チェックを廃止できた」「進捗会議を土日でなく平日にできるようになった」「手書きの週間予定表を廃止できた、日程表の引き直しが不要になった」「現場からの進捗問い合わせが激減した」・・・

などがあります。すなわち「加工現場における日常業務の改善」が実行されたことになります。また、「見積の正確性が向上した」「工程設計が迅速化した」「適切な内作・外注の判断ができるようになった」などの声を集約すると「情報のデジタル化による生産性の向上」がなされていることがわかります。

つまり、目に見える効果として「迅速な納期回答が可能」「工期の短縮が実現」「残業時間の低減」「過剰外注の防止」「営業機会損失の防止」「個別原価管理の徹底」があげられ、「生産性の向上」に寄与できるようになったのです。

日本のものづくりを支える協業体制を確立

金型生産は、その多くが一品一様の生産であり、熟練工による匠の技が生きている数少ない業界です。

しかしながら、見積・工程設計から進捗管理まで個人のカンに依存する体質がいまだに多く残っており、このことが逆に昨今の業界全体の競争力低下につながっているとの指摘もあります。その一方で、複雑な工程設計、特急品の飛び込みや設計変更、イレギュラーの頻発など、システム化しにくい側面もあり、体質改善が進みにくい一因ともなっています。CIM総研は、四半世紀にわたり金型製造業のシステム化に取り組み続けており、今日「Dr.工程シリーズ」は日本を代表する多くの製造業にご支持をいただいております。CIM総研では「Dr.工程lite」で金型メーカーの多くを占める中小企業様にすそ野を広げることにより、金型製造業向けの生産管理分野で「オンリーワン・ベンダー」を目指しています。

このような環境の中で、今後HZSとCIM総研両社の持つコンサルティング力やソリューション提案力をより効果的に融合し、両社の関係をより強固にしたいと思っています。

そのことを通して、日本のものづくりを支えている中小企業様に対し、これまで以上に付加価値の高いサービスを提供する体制が整備されていくと考えられます。

戦略ツールである「Dr.工程lite」のご提供はその第一歩であります。