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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.36 お客様事例

CATIA V5で新たな分野の生産設計に携わる

株式会社奥岡技研様は、自動車部品、二輪車外観部品などを中心に、設計、製作、試作から量産まで、一貫した生産体制でお客様のニーズに対応されています。また、設備投資の面でも、あらゆる分野の最先端技術を導入され、積極的に新しい技術のノウハウを蓄積し、技術向上をするための努力を常にされています。

今回は、CATIA V5での新しい取り組み、設備投資の考え方、対向液圧プレスのお話を中心に、代表取締役 奥岡卓美様、工機部 部長 東海伸夫様、CAD・CAM主任 中野雅彦様、リーダー 寺田幸郎様にお伺いしました。

事業概要

昭和56年に個人企業奥岡技研を創業し、試作部品開発、製作を開始したのが当社の始まります。それから昭和61年には、現在の株式会社奥岡技研を設立しています。設立当初から最先端の設備を整えて、研究開発を常に行い、その技術とノウハウの蓄積によって、お客様のニーズに対応できる生産システムを構築してきました。現在では、自動車部品の量産、パーツ部品の小ロット生産、二輪車外観量産部品などのプレス・熔接・外観研磨・小組までの一貫加工を中心に行っています。

人物の写真
代表取締役
奥岡 卓美 様

対向液圧プレス

【対向液圧プレスとは?】

当社は、平成14年に対向液圧プレスを導入しています。

対向液圧プレスとは、パンチの押し込みにより、液圧室に入った液体に圧力が発生し、板材をパンチの形状に押しつけながら成形する方法です。一方は液体なので、金型は片方だけ製作することになります。ただ、片側が水なので、最終形状の予測は難しくなり、金型にはそれなりのノウハウが必要です。液体は、添加物を入れた普通の水です。

対向液圧プレスは、液圧室の水に圧力を加えることで、絞りを深くまで成形できるのが特長です。水によって隅々まで圧力をかけることができるので、通常のプレスではできない形状を対向液圧プレスで成形できます。

説明図
対向液圧プレスの原理
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
対向液圧プレスの工程
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
対向液圧プレス機写真
対向液圧プレス機

【効果を出せる形状】

■深絞り形状

難しいプレス金型で加工しづらいものや、深絞りの形状に使用します。たとえば、深さが約250mmある形状も1工程で絞れます。普通の油圧プレスで絞ろうとすると2~3工程かかります。

■複数層の製品

炊飯ジャーの真空釜の絞りを対向液圧プレスでテストをしました。今の炊飯ジャーは5層になっていて、鉄板が何枚も重なるため、通常のプレスでは、中間の鉄板に亀裂が入ってしまいます。これを対向液圧プレスで1工程で絞ることができます。

■外観部品

高級大型バイクの外観部品として、マフラーやインナーのカバーなど作っています。日本では、ほとんど作っていない海外向けの1800ccもあるバイクです。アメリカで生産されているバイクですが、部品は日本で量産して送っています。対向液圧プレスだと1工程で絞れるので、ショックラインもなく外観部品に適しています。

■マグネシウム、アルミ

マグネシウムを使ったPCのパネルも作っています。マグネシウムやアルミなどは成形性の悪い特性を持っているので、普通のプレスでの成形は難しいです。

【小ロット量産向け】

対向液圧プレスは、コスト的には高くなります。1回のプレスをするのに数分かかり、1時間で絞れる個数が限られるため、小ロットの量産向けです。型についても1型ですみますが、対向液圧のための加工がたくさんあり、それなりの仕組みが必要なので、高額な型になってしまいます。そのことを、お客様に理解していただきたいのですが、なかなか難しいところがあります。

設備投資の考え

【突出した技術力】

5~6年前には、中国金型市場により、日本のモノづくりがなくなると言われていました。しかし、中国に仕事があっても、当社のようなタイプの製造業としては、成り立つものではないと考えていました。開発メーカは、ほとんど国内に残っています。当社の規模で、世間に通用するモノづくりをしようとすると、やはり国内で突出した技術を持つ必要があります。ただ、今、この技術を持っているから大丈夫だということはないと思います。

【技術向上のため】

対向液圧プレスは、当社がすぐに取り組める技術として導入し、2ヶ月で立ち上げました。導入してから、この技術を理解するまでには、研究、テストを繰り返しました。ですから、1型を作るために2~3型はだめにしています。この研究段階での金型製作費を含めると、かなりの投資額になります。普通、この投資額であれば、採算を取るため、生産に寄与していくものですが、当社は、あくまでも一般的な技術を向上させるのが目的です。その結果が利益につながればいいと思っています。

技術向上や先を見越した体制作りのための設備投資を、これまで10年間続けて、毎年行っています。

人物の写真
工機部
部長 東海 伸夫 様

対向液圧プレスでの直接的な利益は、あまりありませんが、この技術を持っていることでの相乗効果は大きいです。お客様からは、良いものが生産できると評価をしていただき、他の仕事も依頼されるようになりました。また、国内だけでなく海外からの依頼が増えています。以前は、仕事をお願いする営業をしていましたが、今は、こんなことをやっていますと技術的な内容を説明するだけで、仕事を依頼されるようになりました。

GRADEについて

最初は、コンピュータの知識を全く持っていなかったので、91年頃、3D対応の自動プロを導入しました。これで3Dの基本は理解できましたが、自動プロは、面張りや加工の種類が少なく、複雑な曲面の作成や3次元加工の一括処理ができませんでした。そのため、行き詰まってしまい、CAD/CAMを導入することにしました。

その頃、お客様からはCATIAを薦められていました。CATIAは設計向きでしたので、製造業の当社としては、CATIAでは加工が難しく、価格も6~7千万と高かったので、いろいろと模索していました。そのときに、HZSの代理店でもあった生川機械さんに相談して、検討した結果、94年にRADE/CUBEを導入しました。

人物の写真
工機部 CAD ・CAM 主任
中野 雅彦 様

GRADEは、自動車関係で使われていて、良い評判を聞いていました。また、その当時のAD/CAMシステムとしては、全体的なバランスが一番良かったと思います。

Space-Eについて

現在は、Space-Eを9台導入して、ほとんどの仕事をSpace-Eで対応しています。GRADEからSpace-Eに変えてから、トリムとフィレット関係の処理が素晴らしく速くなりました。よくできていると思います。それから、GRADEのときはSpace-Eのように自動バックアップがなかったので、急に落ちてしまうことがあると大変でした。そういう面ではSpace-Eは解消されています。また、Space-Eは何も知らなくても使えるので、操作性はいいと思います。

製品の写真
画面例
画面例
製品の写真
画面例

CATIA V5について

【先行して体制を整える】

新しい技術をベースに前進しようということではCATIAも同じです。今、お客様はCATIA V4ですが、2005年頃からCATIA V5に移行されていくと言われています。そのときに対応できる体制を、先行して整えるため、2003年にCATIA V5を導入し、金型の作成に使っています。

【生産設計のお手伝い】

お客様はCATIAで設計されていますが、それが製品にできるかという、モノづくりとしての急所となる部分を手伝ってほしいという依頼があります。そうなると今後は、生産設計のお手伝いをさせていただけることになります。今までお客様からは、モノづくりという会社で見られていましたが、設計から話ができるようになると、依頼される仕事の幅も広がります。

部品全体の設計はできませんので、当社は、部品の急所となる部分だけを設計させていただいて、後はデータを戻して、車体に取り付ける面はお客様で作成されることになります。

【CATIAという共通点】

お客様の設計者の方と、CATIAという共通点ができるので、話すことも多くなり、その中で仕事が入ることもあります。また、お客様はCATIA V4なので、今後はCATIA V5の技術的なアドバイスもさせていただけるお付き合いができればと思っています。

今はCATIAの稼働率は低いですが、今後はCATIAを利用する要素がたくさんあります。そのため、近々CATIAを数台増設する予定です。

画面例 画面例
画面例 設計の風景

今後について

今後も会社の基礎作りをしていきます。資金的な面での基盤は必要ですが、特に人づくりをしていきます。

モノづくりに必要な増設はしていきますが、業績だけを考えた増設は今後もするつもりはありません。当社の仕事は、製造業という技術職なので、会社だけが大きくなっても、技術を追求していかないと意味がないと思っています。足元をしっかり固めて、着実に成長していくために、人づくりはとても大切です。

このことは、いかにコンピュータを使いこなせるかに繋がります。今の3D CAD/CAMは、どのメーカも機能的にはあまり変わらないと思います。その変わらないシステムをどのように使いこなすかだけです。それを50%使うのか100%か、それとも120%使うのか、となると、やはり人の問題になります。

会社風景
会社風景

現在のポジションを高めるためにも、新しい技術、ノウハウを蓄積する努力を今後も続けていきます。

HZSについて

【コールセンター】

CATIAを使う場合、コールセンターは、よく利用しています。講習会では、基本的なコマンド操作や新しい機能を教えていただいていますが、実際の作業になると質問やアドバイスをして欲しいことがでてきます。各営業所のMTCは外出されることが多いので、コールセンターがあって本当に助かっています。

ただ、電話が込み合っていて、かかりにくいときがあるので、スタッフの方を多くしていただけたらと思います。

【Space-Eへの取り込み】

Space-EのデータはIGESに変換してCATIA V5に取り込んでいますが、ダイレクトに取り込めれば、変換作業を削減できます。

【PartsCatalog】

Parts Catalogですが、プラスチック金型用の部品しか登録されていないので、プレス金型用の部品を揃えてもらえると型設計の効率を図れます。今は、使用する部品を作成し、登録しています。

HZSには、こちらの要望に対して、スピーディーな対応をしてもらっています。今後もHZSには、CATIAだけでなく、Space-Eにも力を入れて進化させていただきたいと思っています。

人物の写真
工機部 リーダー
寺田 幸郎 様

おわりに

工場内には、3次元レーザー、マシニング、油圧プレス、対向液圧プレスなど、たくさんのマシンが整然とならび、フル稼働していました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

また、この度の取材も生川機械株式会社 代表取締役 生川 博 様にご協力いただきました。

会社プロフィール

会社の写真
社屋
本社 鈴鹿市三日市町1820-38
第二工場 鈴鹿市北玉垣町44-1 四日市工場:四日市市広永町字川原1392-1
創業 昭和56年11月1日
資本金 1,000万円
従業員 140名
事業内容 試作開発部品の製作、金型・治検具の設計製作
自動車部品の量産・パーツ部品の小ロット生産・二輪車外観量産部品(プレス・熔接・外観研磨・小組までの一貫加工)
【プレス加工・三次元レーザー・タレパン・MiGスポット溶接・スポット溶接・羽布研磨までの一貫加工】
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