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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.38 システム紹介

EOS社インターナショナルユーザーミーティング参加報告

はじめに

ラピッドプロトタイピングシステム(以降RPシステム)EOSINTの開発元であるEOS社のインターナショナルユーザーミーティングが今年もドイツで開催され、HZSもこれに参加しましたのでご報告します。
(HZSはEOS社の日本総代理店です。)

【EOS社】

1989年にドイツミュンヘンに設立された会社で、レーザー焼結型RPシステムEOSINTおよびそれに伴う材料やソフトウェアの開発、製造を行っています。EOSINTは試作だけでなく、量産などにも対応するハイエンドのRPシステムとして位置付けられ、マーケットリーダーとしても認知されています。現在全世界で500を越えるEOSINTシステムが導入されています。
EOS社ホームページ:http://www.eos.info/

【レーザー焼結型RPシステムの造形プロセス】

3次元形状データを多数の積層面に分割後、1層づつ粉末材料を散布し、分割データに基づいてレーザーを照射し硬化させます。このプロセスを繰り返すことで3次元形状を造形します。

【EOS社のRPシステム】

■EOSINT M250Xtended、M270

100%金属材料を使用するレーザー焼結型RPシステムです。従来工法では加工できない複雑形状の造形が可能。金型や金属部品を生産する新しい製造形態を実現します。

■EOSINT P385、P700

樹脂材料を使用する試作・量産・鋳造用レーザー焼結型RPシステムです。従来のRP技術では製作できなかった機能・性能評価用樹脂モデルや製品を直接製作できます。

■EOSINT S750

鋳造用シェル砂を使用する砂型用レーザー焼結型RPシステムです。工期短縮・コスト削減だけでなく、複雑形状が造形できることにより従来工法に比べ、鋳型の分割が少なくなり、組み立て時の精度も向上します。

EOSINTシリーズ EOSINTシリーズ EOSINTシリーズ
EOSINTシリーズ

ユーザーミーティング概要

4月25日から3日間、EOS本社のあるドイツにて、世界各国のEOSINTユーザーが集うインターナショナルユーザーミーティングが行われました。ユーザーミーティングは、毎年ドイツの異なる場所を会場に設定して行われており、EOS社からの情報発信、技術会議、ユーザー間のビジネス交流を図るイベント等、充実した内容となっています。今回は、オーストリア国境に近い小さな町バートライハンヒェルで開催され、参加者数は21カ国から118名で、日本を含むアジア諸国からは、20名が参加しました。

挿絵 挿絵
ユーザーミーティング会場

また、アジアからのメンバーについては、ユーザーミーティング前の週にEOSINTユーザー見学が企画され、ポルシェ社のライプチヒ工場、BMW社のリサーチ&イノベーションセンター、EOSINT Sを7台所有する鋳造メーカーのACTech社、その子会社でEOSINT P700を所有する精密鋳造メーカーのRapidMetal社を訪問しました。BMW社では、多くのEOSINT Pで造形されたパーツが開発に使用されているのを見ることができました。ACTech社は、鋳造の全工程を一括して請け負うワンストップショップ体制により、全世界を市場として、ますますビジネスの規模が大きくなっており、RPシステムを活用したビジネスの可能性を見ることができました。

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ポルシェライプチヒ工場
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BMW R&Iセンター

ユーザーミーティングは、出席者全員を対象とした各種プレゼンテーションに始まり、その後はEOSINT M、EOSINT Pのアプリケーション別に技術会議が開催されました。また、二日目の夜には特別な場所でパーティーが開催され、国境を越えたユーザー同士の交流が行われました。

e-マニュファクチャリング

全体でのプレンテーションは、EOS社のCEOランガー博士からEOS社の状況、「e-マニュファクチャリング」というコンセプトに対するEOS社の姿勢について語られました。「e-マニュファクチャリング」とは、EOS社が提唱するRP技術を使った新しいものづくりのコンセプトです。定義は「迅速に、柔軟に、低コストで、デジタルデータから直接製品を自動的に生産する手法」です。具体的にはEOSINTを試作用の技術としてだけでなく、製品の製造手段のひとつとして積極的に使用すること、それによってプロダクトライフサイクルの短期化、R&Dの納期とコスト削減、オンリーワン製品や小ロット製品の増加といった業界のトレンドに対応していこうというものです。また、レーザー焼結法という手法の特性によって、どのような3次元形状も自由に造形できるため、まったく新しい設計思想、プロセス、製品を生み出していこうとするものでもあります。

既にオーダーメイド補聴器、F1マシン、医療機器、インテリアなどで量産品への適用は始まっており、ヨーロッパでは、e-マニュファクチャリング自体がひとつのトレンドとなりつつあります。EOS社は、このコンセプトに基づいた取り組みをしてきましたが、実績も出てきており、さらなる普及と一般化のため、新材料開発、各種業界標準規格の認証取得など「アプリケーション指向の開発」を強化することを発表しました。

■e-マニュファクチャリングの代表的な事例
(EOSINT Pを使ったオーダーメイド補聴器生産)

店舗にて顧客の耳型を取り、それをCADデータに変換、EOSINT Pで造形後、必要なデバイスを組み込み顧客へ届けるというプロセスを実現し、顧客に対して、速く安く快適な装着感を持ったクオリティの高い製品を提供することが可能になっています。

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■e-マニュファクチャリングその他の事例

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スキーブーツバックル
限定製品・別注製品への適用。
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レーシングカーパーツ
機能試験から実装パーツまで幅広く活用。

湘南デザイン株式会社様の発表

その後、EOS社のCOOオーバーホーファー氏からは、ユーザー間情報共有のためのインターネットツールや新材料の取り組みなど具体的なアクションに関しての報告があり、ユーザー4社からは事例発表がありました。事例発表では、昨年に続き湘南デザイン株式会社様もEOSINT Pを使用したアプリケーションに関する発表を行っていただきました。内容は各国ユーザーにとっても参考になる印象的なもので、好評でした。

会場の風景
松村様によるプレゼンテーション

技術会議

EOSINT PとEOSINT Mに分れて行われました。EOS社での新製品開発に関する報告、各社の特徴的な事例紹介、質疑応答による情報共有などが活発に行われました。EOSINT Pの技術会議では、多くのe-マニュファクチャリングの事例が紹介され、EOSINT Mの技術会議では、ファイバーレーザーを採用したM270による微細な表現力の向上や新材料開発に関しての報告、その他立体冷却管などの事例が紹介されました。

挿絵
M270の微細な表現力

おわりに

EOS社のe-マニュファクチャリングコンセプトの将来性と有効性が実績を持って証明されてきています。EOS社は「RPは試作用のシステム」という型を破り、新しいものづくり形態の確立に向けて、確実に進んでいます。適用されているマーケットも自動車、家電、医療、航空・宇宙などその幅は広がり、実績も増えています。EOS社の開発体制もアプリケーション指向という明確な方針が打ち出され、ニーズに応じたハード、ソフトの開発を行っています。以上のような背景もあり、議論も活発に行われ、今回のユーザーミーティングは、参加者全員のモティベーションを鼓舞する充実した内容となっていました。

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