人とシステム

季刊誌
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No.38 | システム紹介
累計10社導入!!
建設・エンジニアリング業界向けソリューション『SSEC』
EBS統括部 部長 岡野 健一

ERPの短期・低価格導入を実現したSSEC

SSECは日立造船情報システム(以下、HZS)の建設・エンジ業向けソリューション。

わが国で採用されているERPパッケージのほとんどが欧米ベンダーにより開発されている。これらパッケージは、わが国の独特な商習慣とのギャップを持ち、その導入は意外にも手間がかかる。特に建設・エンジニアリングなどの受注産業ではこの傾向が強い。これら一連の問題にソリューションを提供するのが建設・エンジ向けソリューションSSEC。

SSECの実績に伴い、オラクルのERPパッケージは、中堅企業にとっても注目される存在となった。

現在、世界で普及しているERPパッケージは、オラクル、SAP、などの欧米のベンダーにより提供されている。いずれのパッケージもERPシステムとしては、一定の水準にあるものの、欧米で開発されているため、わが国の商習慣と適合しないなどの問題がある。

特に、受注産業である建設・エンジニアリング業界は、欧米には存在しない手形決済が日常的に使われるなど、独特の商習慣を持っている。このため欧米ベンダーにより供給されるERPパッケージをそのまま、わが国の建設・エンジニアリング業界に持ち込んでも、使うことは難しい。

こんな日本の受注産業の課題に一つのソリューションを提供しているのが、HZSがオラクルEBS(E-Business Suite)をベースとして開発したパッケージ「SSEC(Solution Series for Engineering & Construction)」。オラクルEBSは、どんな業種にも対応可能だが、不足している機能もあり、日本企業では満足できないケースも少なくない。SSECは、日本企業が持つ課題にソリューションを提供するシステムとして開発された。

説明図
SSEC概要図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ERPシステムと商習慣のギャップに対応

本来、オラクルEBSには、営業情報管理機能・一般会計・売掛金管理・買掛金管理・固定資産管理の他、給与計算、原価管理などの各機能を保有しているが、建設・エンジニアリング業界で日常的に使われる、手形管理や有償支給などの機能がない。

このためHZSでは、SSECを開発、親会社の日立造船にERPパッケージを導入する時に活用して2001年4月に導入を終えた。

日立造船への導入に伴い、HZSは「プラント・エンジニアリング・造船バージョン」を確立した。

その後、HZSは設備工事会社の住友電設様向けERPシステムの構築を受注、ここでは日立造船の実績をベースに、営業情報管理・JV機能を新たに開発して2002年4月に導入を終えた。この時に「建設・設備工事バージョン」を確立。

SSECは、①短期・低価格導入、②予算に応じた段階導入、③ニーズに応じた部分導入を可能にしているのが特徴だ。特にシステムの拡張性を重視して開発しており、各種機能がモジュールを追加するだけでアドオンできる。このため無理のない予算で段階的なシステムの拡張が可能だ。

SSECが用意しているモジュールは、プロジェクト原価計算・一般会計・売掛金管理・買掛金管理・固定資産管理およびリース資産管理・購買在庫管理・人事情報管理・給与計算・作業時間勤怠管理・現場経費精算など。中でもプロジェクト原価計算機モジュールは、プロジェクト単位における作業・原価要素別のドリルダウンによる予算・発注実績・検収実績の対比ができる他、プロジェクト別に完成までの収益見通しが可能だ。プロジェクトマネジメントを強化したソフトとして注目されている。

またオラクルEBSがモジュールとして用意しているSCM(サプライチェーンマネジメント)、CRM(カスタマーリレーションマネジメント)などのシステムを拡張することもでき、SSEC範囲内のみならず、範囲外のシステムの構築にも対応できる。

短期・低価格導入を実現

SSECには様々な特徴があるが、最も重視すべき特徴は、導入工程が従来方法に比べて大幅に短縮できることだ。

従来方法の場合、導入にはプロトタイプ用コンピュータ導入・プロトタイプ機セットアップ・プロトタイプシナリオ作成・プロトタイプ実施・ギャップ対応方針検討、以降プロトタイプシナリオ作成~ギャップ対応方針検討までを複数回実施するプロセスが必要だった。この導入方法の場合、導入に時間とコストがかかっていた。

しかし、SSECはすでにギャップに対応されているため、導入プロセスを短縮できる。仮にギャップ対応が必要になっても、追加開発の大幅な簡略化が可能だ。実際、プロトタイプシナリオ作成・プロトタイプ実施・ギャップ対応方針検討のプロセスは1サイクルで済む。このため導入期間の短縮が可能で、同時に低コスト化も実現している。

またすでに、日立造船を含めた納入実績は10件を数えるため、バグの発生など、導入に伴うリスクを極小化できる。実績が豊富であることは、ソフトを進化させると同時に導入プロジェクトのリスクを低減できる。この点も注目される。

SSECのその他の特徴には、受注契約/購買/施工/売上という受注工事の一連のサイクルを、一つの管理番号をキーとして、受注契約毎の収益管理を実現している。また完全ウェブ対応で、クライアントはウェブブラウザで稼動し、モバイルなどからの遠隔地からの操作も可能だ。さらにSSECの画面数に加え、500種類以上の帳票を備えている。

これらの特徴も特筆される。

すでに中堅ゼネコンで実績

短納期、低コストのERPパッケージ導入を可能にするSSECは今後、中堅の建設会社、工事会社、エンジニアリング会社への売り込みを積極的に行う。

すでに中堅企業向けの導入も行われているが、その成果も上がっている。

年商約502億円の山﨑建設様(本社:東京都中央区)は、2004年4月にSSECを導入したが、業界固有の習慣に対応したパッケージであることから採用を決めた。

山﨑建設様は、ダム・土地造成など重機を活用する専門土木工事会社で、従来は独自に開発した会計システムを活用していた。しかしシステムの老朽化が進むと同時に、独自設計に伴う度重なるシステム修正によりシステムは複雑化し、運用コストも増大していた。このため会計システムのリプレースを決めた。SSECは山﨑建設様の一連の課題にソリューションを与え、同時に低コストで短納期の導入を果たした。

現在では、新しいシステムを利用して全国5支店・1事業所で管理する会計データを一元管理し、オラクルのアプリケーションのビジネス・インテリジェンス機能を利用して、支店・プロジェクト・事業領域毎の収益管理・分析を行い、経営思想の意思決定に活用している。

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