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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.39 お客様事例

CATIAのナレッジで設計の効率化を図る

トーヨーエイテック株式会社様は、マツダ株式会社(旧東洋工業株式会社)の工作機部門として、75年前から研削盤の製造を開始され、現在では「内研のTOYO」として広く知られる内面研削盤のトップメーカーです。豊富な開発ノウハウと高度な技能から作られる内面研削盤の評価は高く、その高い技術力は半導体加工機や太陽電池加工機でも活かされています。今回はCATIAの導入の背景や活用のお話などを交え、専務取締役 工作機械事業統括 水馬竜俊様、広報室 部長 藤井智俊様、工機設計部 機械設計課 主事 山近昭彦様にお伺いしました。

世界一の工作機を作る

当社には工作機械、自動車部品、表面処理の3つの事業があり、会社の規模こそ大きくありませんが、世界一の商品を作っているという自負を持っています。そうでなければ厳しい競争に打ち勝つことができないし、存在する価値がないと思います。

現在、当社の工作機械事業には主力商品が3つあります。第一に紹介するのが、当社の代名詞ともなっている内面研削盤です。この商品は国内で40%以上のシェアを持っています。また、中国へは30年以上も前から輸出しており、数多くのお客様に採用していただいています。その他にも米国、欧州、アジア各国など40カ国ほどへ輸出をしています。当社のような高い技術を持って内面研削盤を製作している会社は、世界でも少ないと思っています。

人物の写真
専務取締役
工作機械事業統括
水馬 竜俊 様

次に、半導体や太陽電池の母材を切断するワイヤソーです。正確な数字は分かりませんが、大型ワイヤソーの分野では世界で約7割のシェアです。そして最後がホーニング盤です。自動車エンジンのホーニング加工技術では、世界で3指に入ると思っています。

とにかく、世界一の工作機械を作り、どのような分野でも必ずナンバーワンになることを目指しています。そのためには「お客様第一」「挑戦」「スピード」「現場現物」の4つをモットーに活動しています、と水馬専務は事業統括されていらっしゃる工作機械作りについて、一気に熱弁を振るって下さいました。

立形内面研削盤の開発

忙しい業務の中でも毎年、何機種かは新商品を開発したいという思いがあり、この1年間は、特に意識して新商品を出しました。そのひとつが、CNC立形内面研削盤T-182Sです。これまで内面研削盤は横形が一般的でしたが、立形にし、省スペースかつ高精度なセンタレス内面研削盤を実現させました。段取り替えや機械間のラインレイアウトも容易です。この機械の開発では、お客様に認めていただきたいという思いで丹念にお客様の声を聞き、それと並行して、今まで以上に解析計算に注力しました。

当社が製作している内面研削盤は、従来からオーダーメイドが基本となります。同じ部品を加工する場合でも、お客様が違えば内面研削盤に対する要求・要望も様々です。今後ますます高度化、複雑化するお客様のニーズを理解し、一発で納得してもらう商品を製造するためには、CATIAや解析ソフトを駆使して設計検証精度を高めることが大事になってくると思います、と専務は強調されました。

製品の写真
T-182S
立形内面研削盤(新製品)

国際見本市用の機械のカバーをデザインする

本年9月、ドイツのハノーバー市で開催される工作機械の国際見本市(EMOショー)に内面研削盤を出展しました。ヨーロッパのメーカーは機械のデザインがすばらしく、特にショーには力を入れています。一方、当社が市場に出している商品は使い勝手が良くて、高能率を売り物にしていることもあり、機能重視あるいはメンテナンス重視の角張ったデザインを採用することが一般的でした。

当社にとってEMOショーは初めてであり、出展するにあたり、ヨーロッパのメーカーに負けないようデザインを重視したカバーの採用を決めました。設計者には20歳代の社員を選び、CATIAで好きなようにカバーのデザインをさせたのです。カバーを開けて中を覗いたり、作業スペースの確認をするなど、操作性、安全性なども事前にシミュレーションを行いました。そして彼は、具体的に色も付けて5~6タイプの3Dモデルを作り、これならEMOショーに出しても十分だというモデルを私のところに持ってきました。3Dモデルを見たときは、その丸っこく奇抜なデザインに違和感もありましたが、実物を作って展示してみると、すばらしく映えましたよ。評判も良いですよ、と思わず水馬専務は笑顔をこぼされました。

製品の写真
T-11JAS
内面研削盤
(国際見本市に出展)

エンジニアと現場現物

当社は、第一工場内に新入社員を対象とした「技能育成塾」を設けています。旋盤や研削盤等を使った加工の実習を通じて、技能の習熟だけでなく、ものづくりの難しさや喜びも習得してもらっています。技能系新入社員は1年間、技術系は3カ月~6カ月、職場を離れてみっちり研修を行います。

CATIAなど優れたツールを導入しても、まだまだ現場から学ぶことは数多くあります。やはり、現場に携わっている人そのものが、いろいろな情報を持っているからです。現場でのノウハウ、苦労、改善案などいろいろな思いがありながら、表に出していくチャンスがないこともあります。そういう現場の意見を取り入れながらお客様に提案していけば、更に良いものができると考えています。それこそ、現場現物です。

挿絵
技術育成塾

そして、そこにCATIAが融合していけば、最高に良い開発環境になると思います。そのためには、仕事の中で開発と現場が交流できるような環境を作り、お互いにスパイラルアップし、バランスの取れたエンジニアを育成していくことが重要です、と水馬専務は人材育成に力を込められました。

大型のベアリングを加工する内面研削盤では、配管組立作業にベテランのキャリヤが不可欠でした。設計の配管計画図はあるものの、現実には作業者が、空いているスペースを考慮しながら現物合わせで配管を手作りしているのが実情でした。今は3D CADを使い、画面の上で組立性や美観を考慮しながらリアルな設計ができるようになりました。配管設計図の精度が向上したので、組立工数削減や部品点数の削減に効果がありました、と山近氏は昨年の業務取組みテーマの一部を披露して下さいました。

人物の写真
工機設計部
機械設計課
主事 山近 昭彦 様

CATIAのナレッジを使った設計手順(コンプレッサー加工用の内面研削盤)

(図をクリックすると拡大図が表示されます)
画面例
(1) テンプレートのコピー
画面例
(2) ワークのパラメータ入力と更新
画面例
(3) 組図から部品展開
画面例
(4) 静的な干渉のチェック
画面例
(5) シミュレーション
画面例
(6) 図面の修正
画面例
(7) 組図
挿絵
コンプレッサー加工用の内面研削盤

リピート設計の効率化を目指して

工作機械の売上高ですが、2002年度が97億円、2003年度が121億円、そして2004年度は急激に176億円と伸びています。この売上高の伸びは、リピーターのお客様のお陰であると大変感謝しております。特に昨年は、コンプレッサー業界や軸受業界のお客様の設備投資が活発で大変多忙でした。

リピートのお客様からの受注の場合、主にチャック用ジグの設計に多くの工数を費やします。ジグの基本形状は納入機の実績図と相似しており、設計ルールに沿って各部品の寸法を変更して進めていきます。一見簡単な作業に思えますが、受注が集中した場合や一台の機械で多型番のジグを受注した場合などには一時的に設計負荷が高くなってしまい、希望納期に沿うことが困難となります。

人物の写真
広報室
部長 藤井 智俊 様

その負荷対応策として、経験の浅い設計者や社外設計者に設計業務を依頼することがありますが、単純ミスや勘違いによる図面ミスのチェックが大変です。CATIAでは、計算ルールを登録することで、必ずルールに沿った部品形状が3Dで確認できる上、組立時の干渉チェックも短時間でできます。今後、CATIAのナレッジに組み込んで、定型設計業務の効率化に取組んでいきます。

世界の一流を相手に一流の仕事をする

最近では、設備投資先のメーカーを入札で決める海外のお客様が増えつつあります。当社が競争するのもドイツをはじめ世界中のメーカーさんです。世界のトップメーカーと競争するという厳しい状況ですが、絶対受注するという強い気持ちを持って対応しています。

入札までに競争相手の状況をつかみ、いかに機能を充実させ、ムダを省いた仕様で提案できるかに知恵を絞ります。また、お客様からの質問に対しても、図面、資料、加工精度データなどに加えて、3Dモデルを使った裏付けのある提案、報告が非常に大事だと考えています。CATIAは、特に自動車メーカーさんを中心に普及が進んでいると聞いています。世界中で活動している自動車メーカーさんと同じシステムを使って、お客様に満足していただける「一流の商品」を提案しつづけていきたいと思います。

新しいものづくりに貢献していく

近頃は環境問題を考えた風力発電やソーラー発電など、エコ関係の事業に向けた商品が伸びています。当社も、それに対応した商品を伸ばしていこうと考えています。

今の技術は磨きをかけて、会社として利益を出すようにしますが、やはり、次の社会が求めている商品に対して技術向上を図り、ものづくりにどのように貢献できるか、ということを常に考えています。それから、お客様とメーカーとしての当社が一緒になって作り上げていく、ということが必要だと考えています。最終的にはお客様に非常に喜んでいただける、そして感動していただけることが目標です。HZSには、我々のビジネスパートナーとして期待しています。

最後に

社長方針である「一流の仕事」「一流の商品」「一流の成果」を念頭に全社員一致団結し、必死で頑張りたいと思います。そして、1年後ぐらいにもう一度取材を受けて、今以上にすばらしい成果のお話ができるよう念じております。

それから、この記事を読んで下さっている読者の中には学生さんもいらっしゃると思います。工作機械に関心があり、またCATIAなどCADシステム操作を履修されている方、私たちと一緒に世界一の工作機作りへ参画してみませんか。

おわりに

工作機械が組立てられる工場内を見学させていただきました。太陽光発電のパネルは、シリコンのかたまりから、機械により薄く切断されているご説明など、想像していなかった加工方法に驚いてばかりでした。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

会社の写真
本社
本社 〒734-8501 広島市南区宇品東5丁目3番38号
設立 1950年7月26日
資本金 30億円(2005年3月現在)
売上高 252億円(2005年3月期)
従業員 646名(2005年3月現在)
事業内容 工作機械、半導体関連機器、工作機械用数値制御装置などの製造・販売。ハードコーティングの受託加工、工具、金型などの製造・販売。自動車部品などの製造・販売。
製品の写真
T-11LA
内面研削盤
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T-237
外径削盤
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T-402SCY
スクロール加工機
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E500SD-L
マルチワイヤソー
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T-32N
フレキシブホーニング