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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.41 お客様事例

EOSINT-Pを利用した最短で良品なものづくり

三協ダイカスト株式会社様は、会社の創立者である松浦敬介様が日本初のダイカストマシン開発に携われた約60年前から現在に至るまでダイカスト製造を行い、常に日本のダイカスト産業についてお考えになっています。日本のものづくりにおける金型設計から量産を考えたとき、試作も自社で行うことを検討しEOSINT Pを導入されました。そして、現在は試作だけでなく、ラピッドプロトタイピングシステムでなければ製作できないデザイン性の高い製品に幅広く活用されています。今回は、EOSINT P380導入の背景や活用のお話などを交え、RMS事業部 事業部長 小川洋介様、RMS事業部 営業技術 松浦誠司様にお伺いしました。

事業概要

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RMS事業部
事業部長 小川 洋介 様

昭和27年に、当時の三井金属鉱業株式会社東京研究所と、東京芝浦電気株式会社の共同開発で、米国リードプレンティス社油圧式ホットチャンバーマシンを開発、日本初の稼働を開始した1号機となりました。当社の創立者である(故)松浦敬介は、このプロジェクトの一員として、国内における亜鉛ダイカストの躍進と鋳造技術の確立に携わっていました。現社長の松浦眞吾も、三井金属鉱業株式会社の設計部(デトロイト)に在籍していました。現在は、ダイカストマシンによる亜鉛・アルミのダイカスト製品の鋳造、試作モデル製作を行い、空圧機器、車輌パーツ、医療・光学部品などの製品を製作しています。

試作への取り組み

【EOSINT Pの導入について】

ダイカストという日本の産業は、将来なくなるわけではありませんが、限られた品質のものだけが生き残っていくと考えています。また、加工やメッキまでできないと、今の時代は生き残っていけないとも思います。

試作も量産も同じ製造とはいえ、まったく違う分野です。EOSINTの導入を検討していた時期は、試作の市場調査はできているのかなど、わからないこともあり不安でした。しかし将来を考えたときに、試作・開発が日本から離れることはないということから、試作マシン→樹脂粉末→ラピッドプロトタイピングシステム(以下、RP)という結論を出して、2003年にEOSINTを導入しました。

【RMS事業部の設立】

2004年には量産と試作のどちらも重要という考えから、両方を統括してRMS(Rapid Manufacturing System)事業部を新設しました。試作(Rapid Prototyping)だけではなく、製造(Rapid Manufacturing)を行うためです。

初年度は、関東圏内350社のリストの中から、9ヶ月間で目標100社のうち90社に営業を行い、リピータのお客様の目標20社のうち17社という実績をあげることができました。

現在は、EOSINTを利用して歩留まりも無駄もない良品を、最短でお客様にお届けできるよう努めています。

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【愛と勇気】

「愛と勇気」が事業部のスローガンです。限りない愛を持って、明日のものづくりに貢献します。

挿絵
2006年の年賀状

お客様と対峙せず、お客様と同じ側から同じものを見る。そして、お客様には勇気を持って進言するようにしています。お客様に言うべきことが言える勇気は、当社にダイカストという量産のバックボーンがあることが大きいですね。

当社では、お客様にいかに「最速」で「良品」を納品することができるかを常に考えています。

打ち合わせで漏れがあり、不具合が起こる場合もありますが、もしそのような場合には、徹夜してでも対策をするなどの最大限の努力をします。また、不具合への対策費は別の物と考えていますので、もし不具合があったとしても、お客様からその費用はいただきません。まず信用していただくこと、そこから信頼につながることが大事だと考えているからです。それが次回への受注につながってくれればよいと考えています。

【お客様へのコンサルティング】

量産金型の立ち上げからコストにかかわる部分について、お客様といろいろなお話をさせていただくうちに、設計に関しても、相談していただくようになってきました。

お客様には、手を抜いてもよいところは抜き、手をかけなくてはいけないところには、コストと時間をかけるなど、VA(Value Aanlysis)提案をすることを常に心がけています。

例えば、金型づくりを、ただ安いからという理由で海外に発注されるお客様がいらっしゃいますが、本当に海外生産のメリットが出ているのかと疑問に思う場合もあります。後工程の修正を考えると、海外に仕事を出すよりも、日本国内で行った方が、コストが安く時間も短い場合もあるのです。

今後の取り組み

【今年の目標】

今年の目標は、試作で使っていただいているお客様から、一型、型をおこさせていただくことです。

当社では今までに、試作から成形型までおこしたのが3件、ダイカスト型が1件なので、今年は受注した仕事の試作関係・開発立ち上げに関して、型まで担当させていただける案件を増やしていきたいと思っています。そして、海外ではできない製品形状のデザイン・設計・試作・量産まですべて当社で行い、無駄を省いてお客様のコストを下げることができればいいですね。

【EOSINT Pのユーザ交流】

EOSINTのサービスビューロの中でも、当社と同じEOSINT Pのユーザ様にお会いして、情報交換などを行っています。先日、みづほ合成工業所様(人とシステムNo.37に掲載)にお会いする機会があり、当社とはやり方こそ違いますが、方向性は一緒ではないかと感じました。

試作にかかわる業種の体質などもありますが、同じ机について現実的な意見交換という場は、今まで少ないですし、複数の会社が一同に介せる機会があればと思います。EOSINT Pのユーザどうしで、これからどのような事をしていきたいか、業界をどうしていきたいか、というような話をし、自分自身も含めて、全体的にレベルアップしたいと思います。1案件が完了すると、どこが良かったか悪かったか、反省をせずに次の案件に取りかかることも多いですから、各社のいろいろな体験やノウハウを話してもらう機会があればと思います。それが企業秘密だと考えればそれまでですが、そういうものは回り回って自社利益になると考える会社は、参加してくださるのではないでしょうか。もっと上げるべき技術は上げていこう、違うこと、劣っていることは教えてください、ひとつでも経験したことを教え合いましょう、というような交流を考えています。

【粉末RP業界全体のレベルアップを】

また、ある一定レベルで技術の底上げをしていかないと、粉末焼結型RP装置で作成したモデルに対して、社会の認識が上がっていかないと思います。1台、2台稼働で間に合わない場合は、他社にお願いすることもありますから、造形品の品質レベルは重要です。

ラーメン屋さんは、1軒だけでは繁盛しません。2軒並んでいると繁盛する。3軒、4軒並んでラーメン街道になればもっと繁盛する。もし、その中の1軒の味が悪かったら、初めてその店にきたお客は、そのラーメン街道には二度とこないでしょう。ですから、その1軒は、もっと美味しい物を提供する努力が必要になるわけです。それが本当の切磋琢磨ではないかと思います。

自由市場で言うところの資本主義ですから、一社独占とか、自社が差別化で卓越しているというのは違うと思います。皆の技術が上がれば、業界全体のレベルも上がるというのは、日本的な考え方かもしれませんが、そのような方法で、全体のレベルを上げていくことが必要だと思います。

皆さんシェアを意識すると思いますが、絶対量が増えない限り、いくらシェア50%を獲得しても、小さな市場です。市場を広げない限り、粉末RP業界は伸びてはいかないと思います。

三協ダイカスト株式会社様のEOSINT P活用事例

■光の卵・無限大(限定生産)

製品の写真

デザイン:有限会社ライトシーン様 (http://www.lightscene.jp/)

黄身(発光部)白身(光溜まり)殻(シェード)の3層構造で構成した光の卵。殻を好きなカタチに加工することで、制限の無い光の可能性を持っている。使う方のライフスタイルに合わせた光をご提供。

製品の写真

ライトシーン様も所属される社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)東日本ブロックの2004年勉強会にて、RP技術のご紹介を行いました。三協ダイカスト株式会社様も2005年より賛助会員。
(http://www.higashi.jida.or.jp/)

■2006年の干支・戌にちなんだ置物

製品の写真 製品の写真

デザイン:Creative Workshop limited様
http://www.c-workshop.jp/

■木の葉をモチーフにしたランプシェード
■フラワーベース

製品の写真
複雑に重なり合った木の葉の造形がデザインの自由性を表現している。
製品の写真
紐を複雑に編み込んだような手作りの暖かみを感じさせるデザインの花器。

デザイン:ゼロファーストデザイン様
http://www.01st.com/

■DYSON DESIGN AWARDSへの出展作品

製品の写真

若手デザイナーを対象に、ダイソン株式会社様が主催するデザインのコンペティション

デザイン画での第一次審査後、第二次審査の模型製作で、学生達が考えた「高さが自由に変えられるジャングル・ジム」をEOSINTで造形。

HZSについて

【メーカとしての確立】

まだ、HZSは、メーカとして確立しきれていないように感じます。期待できる素養がある会社なので、応援しています。応援したくなる理由のひとつとして、人間がいいということもあります。他メーカには、完全に海外本社の支社という位置づけのところもあり、腹を割れないところがありますが、HZSは違いますね。EOSINTユーザにとっては、非常に中立的な代理店だと思いますし、可能性のある会社だと思います。ぜひ、海外から取り込んだ技術や材料などを日本のものにし、逆に日本から海外に発信してほしいと思います。それができれば、メーカとしても確立できるのではないでしょうか。

【さらなる活性化のために】

人物の写真
RMS事業部
営業技術 松浦 誠司 様

HZSとは、コミュニケーションがうまくとれていると思いますので、当社がHZSに対して、提供できることや資料提供等を積極的に行い、より活性化してもらいたいと思います。

そのことが、当社が提言している「最速で良品を」ということにつながるように、また、RPのハードもソフトもサプライメントも含んでの市場の活性化、生産者側の技術の向上につながればと思います。

RP装置が売れないとRP装置で製作した製品自体が使われなくなり、材料が売れないと化学メーカも材料開発に乗りださない。材料開発が行われないと市場もナイロンとナイロンの混合物だけになり、かたよったRP装置としか認識されないし、売れなくなる、という悪循環になりますから、うまく循環させるためには、携わるメーカ・代理店・ユーザなど、市場全体がいっせいに回っていくことが必要だと思います。

おわりに

小川様は、アメリカの大学でJ&Jの営業部長からマーケティングを学び、以前は英会話学校のセールスをされていた経歴をお持ちです。「形あるものをお客様に提案したい」という思いから、製造業の世界へ入られたそうです。お話の端々に、ご自身の経験を活かした、ものづくりに対する熱い思いが感じられました。大変お忙しいところ、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

※ この取材は、2006年2月に実施しました。

会社プロフィール

会社の写真/製品の写真
本社 〒335-0031 埼玉県戸田市美女木4-3-5
戸田工場 〒335-0031 埼玉県戸田市美女木4-4-1
設立 1967年1月15日
資本金 10,000千円
従業員 30名(うちRMS事業部4名)
事業内容 亜鉛ダイカスト・アルミダイカストの鋳造、加工および組立、金型設計・製作
超塑性亜鉛合金(SPZ)の圧空成形、加工および組立、金型設計・製作
粉末焼結型RP装置によるモデリング
製品種目:空圧機器、車輌パーツ、医療・光学部品他
製品の写真
亜鉛(クロメート3価)
製品の写真
亜鉛(Cr. メッキ)
製品の写真
アルミ(アロジン処理)
製品の写真
アルミ(金属塗装)

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