人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.49 | システム紹介
革新的な機能、信頼性により更なる進化を遂げた新製品
コニカミノルタ 非接触3次元デジタイザ RANGE7のご紹介
コニカミノルタセンシング株式会社
国内販売部 岡村 貴浩
製品の写真

発売以来、数多くのお客様にご導入いただき、ご好評のコニカミノルタ非接触3次元デジタイザシリーズのラインアップに、待望の新製品RANGE7(レンジセブン)が誕生しました。今回は、その新製品RANGE7の概要をご紹介します。

はじめに

まず、非接触3次元デジタイザに関する一般的な内容をご説明します。

非接触3次元デジタイザとは、測定する対象物に光を照射し、その反射をカメラ部で受光することによりスキャンされたエリアの高密度の3次元データを瞬時にパソコンに取り込む装置です。「3次元ものづくり」が定着した昨今では、パソコンに取り込まれたデータの活用方法は多岐におよび、最も多いのが「CAT(Computer Aided Testing)」と呼ばれる検査用途です。

取り込んだデータと3次元CADデータを照合することで、開発・試作段階での各種評価や解析などができます。また、最近の図面レス化の動向では、CADデータ上に測定箇所や幾何公差などを事前に設定し、スキャンデータをCADデータと合わせることで検査報告書まで作成できるようになります。その結果、現場における検査品質の向上や工数の削減につながります。この他に、リバースエンジニアリング(現物のスキャンデータからの3次元CADデータ化)、ラピッドプロトタイピング装置との連携など、入力装置としてのデジタイザの活用用途は、開発から製造まで多岐に広がります。(図1は、結果イメージです。)

カラーマップ
画面例
断面検査
画面例
報告書
画面例
図1

昨今の当社システムを導入されたお客様は、セットメーカーをはじめ、パーツサプライヤー、試作・金型業界まで急速に広まりつつあります。このような3次元デジタイザの普及とともに、高度化する顧客ニーズに応えるため、この度、新製品コニカミノルタRANGE7を発売いたしました。

非接触3次元デジタイザVIVIDシリーズを発売して10年、幅広く国内のお客様に親しまれてきた当社のデジタイザは、新たなブランド名を誕生させることで、新たな製品コンセプト、ソリューションを市場にご提案してまいります。

新製品RANGE7の特長

RANGE7は、従来機種のVIVIDシリーズでご好評のコニカミノルタならではのノウハウを活かしながらも、より現場での測定ニーズにお応えできるデジタイザとして徹底的にこだわりました。

以下、その特長をご説明します。

■特長1 操作性の大幅向上

~使いやすさを更に追求しました~

①AF(オートフォーカス)機能の強化・AE(自動露出)機能の標準装備

従来機種よりも多彩なコニカミノルタならではのAF・AE機能搭載。1スキャンあたりのスピードは、わずか2秒です。更なるカメラ感覚の操作性を実感できます。

②光沢面測定能力の強化

新センサ部と独自の測定アルゴリズムにより、ダイナミックレンジが大幅に拡大しました。金属面等の光沢のある対象物の測定に威力を発揮します。

従来のような光沢面測定における測定ワークへのスプレー処理も大幅に軽減されます。

製品の写真
矢印
画面例
図2 【フェンダーパネル:光沢のあるプレス部品でも精度良くデータが取れます】

③スキャン結果のプレビュー機能

実際のスキャン前にプレスキャン(0.4秒)をすることで、測定エリア内の奥行きや死角・表面状態によるスキャン結果の良否を事前に予測できるため、測定ミスの大幅な削減につながります。

④軽量・コンパクト設計

従来の機種同様に、カメラユニット・制御ユニット一体型にこだわりながらも、質量・体積ともに従来機種の1/2以下という軽量コンパクト設計により、現場環境での高い機動力を発揮します。

⑤ユーザーフレンドリーなスキャンソフト「RANGE VIEWER」

本体のスキャンコントロール、測定データの位置合わせ・統合までの編集機能を持つ、3次元データ処理ソフトの操作性も大幅に向上しました。ウィンドウ内に操作方法や次の手順を表示するナビゲーション機能も備えており、初心者の方でも簡単、迅速に操作でき、導入後すぐに活用できるインターフェイスとなりました。

■特長2 信頼性の更なる向上

①業界最高レベルの精度・確度の実現

説明図
図3 【ガイドラインVDI/VDE2634に沿ったボールバーによる検査を1台1台に実施】

光学系の新設計や高精細な形状入力が可能な131万画素CMOSセンサを新規に採用することで、カメラタイプの非接触3次元デジタイザとして最高レベルの精度・確度を実現しました。また、業界に先駆けて、ガイドライン「VDI/VDE2634パート2」に沿った検査に基づく確度の仕様表記を行います。出荷する1台1台に、これまで以上の厳格な検査を実施することで、ものづくりの現場で高精度を要求されるシーンにおいても、高い信頼性が得られよう配慮しました。

②高ロバスト性の実現

ロバスト(強靭な)のことばの意味のように、現場使用を前提とした設計に徹底し、測定本体の傾きや温度変化等の外乱による影響を最小限に抑えることにより、工場等の使用環境においても高い信頼性を発揮します。

■特長3 多彩なシステム構成

標準・別売の多彩な付属品を用意しました。用途に適した組み合わせで、さまざまなシーンへの最適なシステム構成をご提案します。

多彩なニーズへの対応

RANGE7の高い信頼性や現場環境を想定した操作性により、以下のような測定ワークにも対応することができます。

例1 鋳鍛造品の加工面の測定

(シリンダブロック・コンロッド・カムシャフト等の鋳鍛造部品の機械加工面)

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画面例
図4 【インテークマニホールド:加工面もスプレーなしで、高精度なデータが取得できます】

例2 射出成形品のコア面の測定

(一般家電製品の機構面、ボス、リブなど)

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画面例
図5 【掃除機のコア面:複雑な形状でも、精細な データを取得できます】

例3 プレス成形品の測定

光沢のある面も、スプレーなしで精度よく取り込めます。(図2参照)

コニカミノルタ3次元デジタイザ ラインアップ

新製品コニカミノルタRANGE7の発売により、当社の3次元デジタイザのラインアップは、3種類(RANGE7・VIVID9i・VIVID910)となります。お客様の用途・ご予算に合わせて最適なシステムをご提案してまいります。また、NDESのCAD/CAM・RPシステムと連携することで、より身近な存在としてデジタイザを感じていただけるイベントも開催いたします。

お客様とともに成長する、コニカミノルタの非接触3次元デジタイザシリーズを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【お問合せ先】
コニカミノルタセンシング株式会社 国内販売部
電話:03-3349-5323
FAX:03-3349-5325