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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.49 社長インタビュー

明電舎のIT戦略
―明電舎グループの基幹システム統合を目指して―

竹内 御社は明治30年の創業で、長い歴史をお持ちの会社です。弊社は、2004年から御社の基幹システムの構築をお手伝いさせていただいております。本日は、御社のIT戦略について、お話をお伺いしたいと思います。

人物の写真
NDES 代表取締役社長
竹内 敬二

事業概要

日越 明電舎は、1897年(明治30年)に中央区湊町で創業し、大正2年に現在本社のある品川区大崎に移転後、110周年を迎えました。

電気機器を主力製品としておりまして、発電機および変電機器などのエネルギーシステム、水処理システム、情報・通信システム、産業システム等の開発、生産、販売、メンテナンスサービスなど多岐にわたります。単に製品をご提供するだけではなく、設備のライフサイクルすべてにわたり一貫したサービスをご提供しています。

技術でお客様の明日に貢献する力「Empower for new days」。これが明電舎の使命だと考えています。

お客様にご提供する分野は、エネルギー分野、環境・水処理分野、産業分野、情報通信分野を柱としています。

【エネルギー分野、環境・水処理分野】

日越 エネルギー、環境関係では単体製品販売ではなく、製品の組み合わせによるソリューションとして付加価値をつけてお客様にご提供しています。同じ製品でも、水処理施設に変電設備として入れることもあれば、電鉄用の変電設備、充電設備として入れることもあります。お客様のビジネスに合わせて、製品とシステムのコンビネーションによりソリューションを生み出します。

竹内 お客様の幅が非常に広い事業内容ですね。

日越 国内エネルギー関係では主要電力会社の発電設備・変電設備は勿論、離島への電力供給にも取り組んだ事例もあります。環境分野では各自治体等で運営されている水処理設備への電気設備・水質計測設備等を納入させていただいています。「沖縄・由布島への電力供給」や「隅田川の水の浄化」は、以前テレビコマーシャルでも放映いたしました。

また、世界の様々な国で快適な環境づくりに貢献しています。シンガポールでは、全長67kmにおよぶ地下鉄の高速大量輸送システムに技術をご提供しています。

また、洪水に悩まされてきたバンコクでは、雨量や水門での水位情報から各地の水害状況を把握する「洪水対策用監視システム」を納入しています。

さらに、タイ国内では、大量に処分されていた籾殻を燃料としたバイオマス火力発電プラントの構築にも関わりました。

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水処理監視設備
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変電所設備

【情報・通信分野】

日越 産業用ワークステーションを販売しておりますが、お客様もH/Wだけ購入して使うということはほとんどなく、お客様設備制御用の組み込みソフトなどと一緒に付加価値をつけて販売しています。制御用ソフトによりいかに付加価値をつけるかで、お客様の評価を得られるかがポイントとなります。

竹内 産業用ワークステーションによるソリューション提供の分野は驚きました。重電のイメージとはずいぶん違うソリューションですね。

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産業用ワークステーション

業界の動向

竹内 業界の動向についてはどうですか。

日越 当社の売上げでは、環境ソリューションが大きなウエイトを占めており、環境問題に絡むビジネスが伸びています。

多くのお客様でCO2削減のための対策に向けた取り組みがあり、設備の更新等に絡んでご支援させていただいています。特に民需関係では、電気自動車をはじめ、環境問題に関わるビジネスが活況になってきています。

竹内 環境関連のビジネスが、売上の大きなウエイトを占めて伸びているということは、良い状況なのでしょうね。

日越 もうひとつ最近伸びているのは、自動車の試験設備です。自動車試験装置として、構成品試験装置、完成車試験装置、データ収集・処理装置などをご提供しています。

自動車は研究開発を進めていかないと生き残れない分野ですから、多くのお客様からご注文をいただいております。自動車メーカだけではなく部品メーカも、車をずっと走行し続けて、部品の耐久性を調べたり、取り付けた部品がずれないかなどの試験に、当社の設備をご利用いただいています。

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自動車試験装置

民需では、自動車メーカの元気さが当社にも伝わってきていますね。

あとは、維持管理の関係ですね。今までは、水処理設備を自治体で管理されていましたが、オペーレーション・メンテナンスを委託するケースが出始めています。同じ委託するのであれば、水処理設備のことを知りつくしている明電舎にと言っていただき、お手伝いをしています。

竹内 アフターサービスのところですね。

日越 上下水道のインフラ整備が進んだ現在、事業運営全般にわたる問題解決形のエンジニアリングが求められています。当社では、電気・計装システムを核に、施設のライフサイクル全般を対象にしたエンジニアリングサービスに取り組んでいます。

主なものは、システム運用の最適化、高度維持管理、エネルギー利用の最適化、費用対効果を考慮した施設リニューアル提案などです。こうすれば電気量を削減できるので、これだけ電気代を節約できますということをエネルギーソリューションとしてご提案しています。ただ設備を更新しましょうではだめで、メリットは何かということがアピールできないと通じない時代になってきています。

明電舎グループの基幹システム統合を目指して

竹内 日越副部長のいらっしゃる経営企画部の役割を教えていただけますか。

【経営企画部の役割】

日越 経営企画部の基本的なミッションは、グループ全体の経営に関する課題を解決することです。経営企画部は、2つの部隊に分かれていて、経営的なトレースなどをグループ全体にかけ、経営全般をwatchして指導する立場にある企画課と、明電舎グループ全体の基幹業務の企画立案・推進を行うIT企画課があります。

2007年4月に、明電ITシステムズ株式会社(MIT)を設立し、IT企画課とともに明電舎グループ内のITを推進しています。MITには、ITサービス事業部と基幹システム事業部とがあります。基幹システム事業部は50人弱で、全員ではありませんが、開発を行っています。ITサービスは、ネットワークやポータルなどのインフラ系と、マスターの登録やマシンの運用を行っています。ほとんどが明電舎で情報システムに携わってきたメンバーで、現在72名います。

竹内 今後の御社が考えられているIT戦略についてお話しいただけますか。

日越 モノを作って売って稼ぐという時代から、お客代になってきていますので、全体をマネージメントする仕組みが必要です。

今までは、製品の競争力だけでも強みを持てたのですが、これからは、問題解決型のビジネス展開に向けた組織としてのマネージメントが重要になってきます。

そのためにも、グループの基幹システム・IT環境を統合して、グループ全体の経営をマネージメントし競争力強化に貢献する必要があります。

【SSEC導入の経緯】

竹内 SSECパッケージ導入の経緯についてお話しいただけますか。

日越 基幹システムについては、メインフレームACOSで自社開発したレガシーシステムがありました。これは、生産・会計などシステムが分かれていて、リアルタイム性に問題がありました。また、メインフレームACOSもそろそろリプレイスを考える時期にきていました。これが2000年頃ですね。

データを一元化するという取り組みの中で、新しく導入する基幹システムは、自社開発ではなく、パッケージ製品を導入することに決め、SAP、Oracleなど何社か比較して検討しました。

その中で、NDESの「エンジニアリング業(受注生産型)向け総合事務計算EBSテンプレート SSEC」を2004年8月に導入し、移行を開始しました。さらに、当社用に必要な機能は、これにアドオンしていくことにしました。会計系のシステムが立ち上がったのが、2005年7月です。

説明図
全社システム概要図

鈴木 会計系のシステムについては、ボリュームと移行期間を算出して7月に立ち上がるようにしました。

もともと明電舎は円貨でしか決算をしていなかったので、今回から外貨による決算も入れました。

7月中旬の連休に切り替えを行いました。6月末残を7月中旬に入れるわけです。データはACOSから抽出するのですが、7月中旬になると支払いも発生してきますから、残移行後、7月発生仕訳を別途投入しました。大変な思いもしましたが、7月末には終息しました。

買掛も売掛も、外貨を合わせるのに最初は苦労しました。

 今回のシステム導入では、工場と営業が一体となったシステムを構築し、全社を1つのシステムで運用するという狙いがありました。会計システムが稼動した1年後の2007年7月、繰返し製品を扱う部門に販売と生産を統合したシステムを稼動させました。こちらはSSECと連動し易いOracle標準のEBSに不足機能をアドオンしたシステムにしましたが、仕掛り残データの移行に失敗したため稼動後にかなり苦戦しました。移行した部品マスターやEBSプログラムにも不具合があり、データを正常化しシステムを安定稼動させるまで1年ほど掛かってしまいました。

日越 今回EBS-生産管理の導入更新に絡んで、これまでのデータ構造からパッケージのデータ構造への移行のインパクトが大変大きかったと認識しています。データの引っ越しがうまくいかず、そこを見つけて修復するのに大変な時間がかかってしまいました。

人物の写真
明電ITシステムズ株式会社
基幹システム事業部
コーポレートシステム部
部長 岡 尚利 様

【今後の課題】

竹内 システム統合化の今後の課題は、どのようなところでしょうか。

日越 NDESにご協力いただいて、電子機器・インバータの工場はシステム更新を実現できました。今取り組んでいるのは、個別設計生産系の生産管理システムを立ち上げて展開していくことです。

今回、NDESにご協力いただいたところはまだほんの一部です。しかも社内では、比較的繰り返し性のある工場でした。

受注してからお客様の個別仕様に沿って設計し、図面・製品を製作するというスタイルの生産管理システムの部分がレガシーのままとなっています。沼津の他にも太田(群馬県)や名古屋にも工場があります。今後沼津の生産管理を立ち上げて、それを他地区に横展開していくというひとつ大きな課題があります。

あとは国内に27社ある明電グループ各社への展開です。グループ各社のITのレベルにはばらつきがあり、ここを支援していく必要があります。

また、海外への販売比率を上げるということが目標になっています。海外の拠点は、東南アジア、北米、ヨーロッパにあり、駐在所や支店もあります。

国内のグループの経理システムはほぼ統一できましたので、今は海外のグループ会社向けに英語化に取り組んでいるところです。

挿絵
海外事業所と海外グループ会社

統合化のメリット

岡野 SSECをベースにした全社システムが2005年7月に立ち上がってから3年経ちましたので、統合化をされたメリットについてお話いただけますでしょうか。

鈴木 ACOSの既存システムの問題だけではなく、2003年に明電エンジニアリングと合併しましたので、2つのシステムを運用して、決算は別々に行っていました。SSECを導入したことによって、決算はひとつに統合されたことが、大きなメリットです。

日越 会計系システムを導入したときに購買システムを小規模で立ち上げ、それをきっかけに工場の購買を含めて統合が進みつつあります。NDESにお手伝い含めて統合が進みつつあります。NDESにお手伝いいただいてSSECを導入したことがきっかけとなり、統合が進んできています。ただ、なかなかスピードが上がらないというのが今の悩みです。

人物の写真
NDES執行役員
EBS統括部長
岡野 健一

SSECをベースにして、必要な機能はアドオンするという基本的な考え方は、社内できちんと統一できたと思います。

NDESに期待するところ

竹内 今後も御社の課題解決のお手伝いをさせていただければと考えておりますので、最後に弊社へのご要望などお話いただけますか。

日越 会計に関しては、経験を積まれていると思います。移行の計画などは、始まるなり「移行計画を立てましょう」と言われ驚きました。我々の感覚からすれば、移行はまだ先ですからあまり前工程に話を出さないのですが、一番引っかかるところの勘所を押さえられているということに感心しました。責任者でしたので、7月に立ち上がるかどうか非常に心配していたのですが、そのおかげで11ヶ月という短期間で立ち上げることができました。

統合化に取り組み始めてすぐに移行の設計もしなければならず苦労しましたが、ランディングのときにその苦労がきちっと活かされましたので、評価しています。

鈴木 移行テストは、決算の1円まできちんと合わせるテストを何回も行いました。何回も繰り返したことで滞りなく稼動できたと思います。

日越 このようなところは、NDESはかなり経験を積んでいると感じています。

鈴木 会計系については、法改正もあり、タイムリーに情報を提供してもらっていますので、ありがたいと思っています。法改正に向けてシステムを修正する必要がありますので、迅速な対応をお願いしたいと思います。

もうひとつ大きなところで、内部統制ですね。システム側で対応しなければいけないことが出てくると思いますので、この協力をお願いしたいと思います。内部統制については、システムに盛り込んでいかなければならないことがまだまだありますので、今後もよろしくお願いします。

人物の写真
明電ITシステムズ株式会社
基幹システム事業部
コーポレートシステム部
副部長 兼
基幹システム1 課長
鈴木 典芳 様

 生産管理システムを大変な苦労をおかけし一緒に立ち上げることができました。これに似たような関係会社もありますので、この経験を生かし今後もご協力をお願いします。

日越 明電舎沼津工場で一緒にご苦労いただいたので、明電舎特有の言葉や業務のやり方を、いい意味でNDESの方々に理解してもらっていると思っています。この経験を活かしていただいて、ぜひ、グループ関係会社の支援もお願いします。

先日もPLM関係の方に来ていただきましたが、NDESがその気になれば当社には商売のネタがいろいろあると思います。これまで製造業を中心に様々のご経験があるとお聞きしておりますので、ノウハウを存分に発揮していただきたいと思います。

最近は基幹システムの枠を越えて、かなり広範囲の要求事項が増えてきています。これから苦労は増えますが、社内に存在する様々のIT資産を有機的に統合していく宿題があります。そうなると社外にも良いパートナーを見つけていかないと、我々だけではお客様のニーズを満たせない形になってくると思います。

さらに、バックアップの充実をぜひお願いしたいと思います。

竹内 御社の良いパートナーとなって、今後とも御社のお役に立つご支援ができるように努めてまいります。本日は、お忙しいところをどうもありがとうございました。

会社プロフィール

設立 大正6年6月1日 (創業 明治30年12月22日)
資本金 170億7000万円 (平成19年3月31日現在)
売上高 1,941億9300万円(平成19年3月期 連結)
従業員数 6,775名 (平成19年3月31日現在 連結)
事業概要 発電・変電等エネルギーシステム、水処理システム、情報・通信システム、産業システム等の開発、生産、販売、メンテナンスサービスなど