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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.50 システム紹介

EOSINTリポート

はじめに

このコラムでは、3次元CADデータからダイレクトに製品を造形する粉末焼結型RP(ラピッドプロトタイピング)システムEOSINTシリーズとFORMIGAについてのさまざまな情報を発信していきます。

IUM2008(International User Meeting 2008)

例年開催されているIUMが、EOS社主催のもと、4月15日~16日の2日間にわたりドイツで開催されました。IUM2008は、4つのセッションが同時に進行する構成で、テーマ別にディスカッションが行われました。主にラピットマニュファクチャリング(以下、RM)についての、技術とアプリケーションに関する内容が多く取り上げられました。

EOS社が提唱する、RMテクノロジを用いた「e-Manufacturing」が現実化し、生産手法としてのさらなる最適化と進化に向けて進んでいることが感じられる内容でした。それらは装置や材料にはじまり、アプリケーションや新しい設計思想にまで及んでいます。

ラピットマニュファクチャリング(RM)

RMとは、積層造形技術を用いるラピットプロトタイピング(以下、RP)で、最終製品を生産する手法です。これまでは主に試作用途で使われてきましたが、デジタルデータから金型などのツールを用いることなく、部品あるいは製品を直接作り出すことのできるRMテクノロジは、最終製品を含めたモノづくりにおいて注目されています。そしてEOSINTを利用したRMは、さまざまなシーンで活用されています。

RMの普及

既に全世界でRPユーザの20%がRMに着手しており、その増加率が上がっているといいます。また、EOSINT、FORMIGAなどの粉末焼結RP装置の用途で、3番目に多いものとなっています。(Wohlers Associates,Inc調査)さらに、RPで使用されているソフトウェアにおいても、RMに向けたアプリケーションが提供されています。

RMは、主に少量多品種でありながらも、製作に複雑な工程が必要とされる部品で多く活用されています。その代表的な活用分野は、自動車、電化製品などの身近なものから航空機(民間、軍用を含む)など、工業製品分野の少量生産品や、補聴器やインプラントおよびメディカルデバイスなどの患者個人に適した装着が必要とされる医療分野などです。

航空分野では、3Dデータから量産機に使用する部品を、直接製造できるRMを用いることで、生産用ツール(金型や冶具など)の大幅な省略、あるいは不要にし、コストを削減しています。また、従来の工法と比較して「工法による形状の制限」が大幅に減少し、形状に対して自由な設計が可能になったことで、今までは複数の部品で構成されていた1つのユニットを、多機能な1つの部品に置き換えることが可能になったのです。製品の特性上、工業製品としては少量でありながらも、機体自体は長期にわたり利用され続けるため、今まで交換部品の生産や輸送および管理に膨大なコストがかかっていました。しかし、RMはアフターパーツの供給という点でも、コスト削減につながる手法として考えられており、航空機の今後の設計開発に向け、RMに適した新しいデザイン思想についても継続した研究が行われています。

製品の写真
航空機用部品の一例PA2210FR

医療分野では、デジタル技術を用いた医療機器(CT、MRI、各種スキャナなど)の発達と、それらから出力されたデータをRM用途で取り扱えるソフトウェアの登場により、患者個人に、より適した処置が行えるようになりました。本格的に利用されている例として、デンタルブリッジや歯科医療用のドリルガイドなどがあります。患者本人から取得したCTやスキャンデータをもとに、RMで利用可能なSTLを出力できる、マテリアライズ社のRP/RM専用のソフトウェアにより、患者個人に最適化された形状をもったインプラントやメディカルデバイスを、EOSINTで造形することが可能です。これらは、単純にコスト削減や製作期間の短縮のためだけでなく、治療においての患者の負担を軽減できる要素を持っており、医療分野から大きな注目を集めています。現在も適用範囲の拡大に向け、装置および材料やソフトウェアのメーカだけでなく、医療機関との共同研究が進められており、今後はさまざまな医療現場でRMテクノロジが取り入れられることでしょう。

製品の写真
歯科アプリケーションの一例
EOS CobaltChrorm SP2

こうした分野とは別に、よりコンシューマ向けのアプリケーションとして確立された事業にマテリアライズ社の.MGXがあります。

.MGXは、積層造形技術以外では製造不可能なデザインの製品群で構成され、形状そのものに付加価値を持たせたブランドです。製品には、ランプ類などのインテリアからアクセサリなど、デザインの付加価値が高く評価されるものがラインナップされています。これらは、アートとRMテクノロジの融合により実現しています。今後も新進気鋭のデザイナとのコラボレーションを通じて、デザインに関わるあらゆるシーンで事業を展開していくことでしょう。マテリアライズ社のこの取組みは、あらゆる分野に向けてRMテクノロジの可能性を示しています。

製品の写真
ランプ(.MGX)

※MGX はMaterialiseNVの製品です。
 マテリアライズジャパン株式会社
URL:http://www.materialise.co.jp

EOS社のRMへの取組み

RMにおいて重要なポイントの1つに、それらで生産された部品の安全性があげられます。EOS社では、取組みの1つとして、造形で使用する粉末材料を、アプリケーションで求められる規格に適合させることで対応しました。規格に準拠している材料にプラスチックでは「PA2210FR」、金属では「EOS CobaltChrome SPx」があります。PA2210FRは、UL94 V-0規格に準拠した難燃性能を有する材料として航空機部品に利用され、EOS CobaltChrome SPxはCEマークを取得し、欧州で一般的な利用が開始されました。

さらに、最終製品として利用される造形品の品質管理も重要です。これには、材料やRMによって生産された造形品の品質だけでなく、生産された部品や製品のトレーサビリティなども重要なファクターとなります。EOS社では、管理機能(スケジュールや品質等)を備えたソフトウエア「EOState」を開発し、最新型のEOSINTおよびFORMIGAに搭載しています。EOStateには、ジョブの監視・レポートの出力などの機能があり、将来的にはERPとのインターフェイスが追加され、生産管理システムの一部として機能します。

RMの可能性

既に本格的な利用が開始されているRMですが、アプリケーションは加速的に増加しています。これには、装置の造形スピードアップも要因の1つとなっています。最新型のEOSINT PおよびFORMIGAでは、今までの装置と比較して、大幅な造形スピードアップが図られ、その結果、時間当たりの生産性が向上しました。また、従来RPシステムといわれている装置の中では、生産設備として有効な多くの機能を併せ持っていることが、さらに普及を促進しているといえます。

製品の写真
詳細形状の追求
製品の写真
RMデザイン論に基づいた一体型ヒンジ

また、装置の性能が向上したことで、より形状再現性や寸法精度の高い造形品が製作できるようになり、RMテクノロジによって生産された部品も、より高い要求に対応します。

EOS社では、装置や材料の開発の他に、アプリケーション開発も今まで以上に注力しています。EOSINTとFORMIGAの材料特性が実現し、RMのメリットでもある「デザイン・設計の自由度」、「3D データからの直接的な製造」は、新たなモノづくりには欠かせないと考え、自社製品において、どのようなデザインが実現可能なのか、そしてどのような機能を付加できるのかを、ありとあらゆる可能性を追求しています。それらは、新たなデザイン方法論や付随する技術であり、そして部品点数の削減や多機能な部品を生み出し、より自由で効率的な生産プロセスの発展へとつながります。

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