人とシステム

季刊誌
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No.57 | トピックス
ケミカルウッドで彫刻実習を体験
川崎市立川崎総合科学高等学校 様
株式会社ミナロ 代表取締役 緑川 様

はじめに

川崎市立川崎総合科学高等学校は、多摩川沿いにある15階建ての学校です。

電子機械科の酒井先生、大内先生からケミカルウッドの購入先を探しているとお伺いし、弊社のお客様である株式会社ミナロ 社長 緑川様をご紹介させていただきました。

緑川社長は、近くの小学校や工業高校に出向いて、ケミカルウッドを削って好きなものを作るという実習をされています。そのことから、昨年11月25日に、電子機械科1年生を対象に、緑川社長がケミカルウッドを使った彫刻実習の授業をされましたのでご紹介します。


川崎総合科学高等学校 電子機械科

川崎総合科学高等学校外観

川崎市立川崎総合科学高等学校は、情報工学科・総合電気科・電子機械科・建設工学科・デザイン科の工業科と、県内唯一の市立理数科である科学科の6科となっています。

電子機械科は、産業界の中心的役割を担うメカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)を融合させたメカトロニクス(電子機械)の基本的な知識・技術を、理論的な学習だけではなく、各種の実験、実習、ものづくりを通して学習しています。

機械設計、製図、機械材料、原動機、自動車について、また、電子部品や電子回路など電子関係について、さらにBASICやC言語などのプログラミングやコンピュータの仕組みについて基礎から学習します。特に「ものづくり」に力を入れており、各学年でいろいろな製作課題に取り組んでいます。

1年生:機械加工、溶接、電子回路の製作など「ものづくり」の基礎を学習
2年生:CAD/CAM、スターリングエンジン、ライントレースロボットの製作など
3年生:CAD/CAM、多足ロボット、エンジンを搭載したゴーカートの製作など

また、課題研究においては、生徒自身の興味や関心に応じて、数人でグループを作り、さまざまなモノを設計し1年間をかけて製作します。ほとんどのグループは、授業だけではなく、放課後や夏休みも利用して製作に励みます。
2月には、電子機械科の1・2年生の前で課題研究の成果を発表します。特に優れているグループは、全校生徒の前で成果を発表します。

CAD/CAMの授業

2年生からCAD/CAM実習が始まり、まずはCATIA V5を使ってCATIAの基礎を学習してから、CATIAで製作物の設計をして、Space-E V5 CAMを使って加工用のデータを作成します。


ケミカルウッドの彫刻実習

緑川社長の講義風景
緑川社長の講義風景
プレゼンテーション画面
プレゼンテーション画面

電子機械科は、酒井先生と大内先生が担当されており、当日の授業では最初に緑川社長の紹介があり、緑川社長から生徒の皆さんに講義がありました。

「クリエイション(創造)と、イノベーション(技術革新)がこれからの日本経済には必要です」というようなことや、ミナロという会社で何を作っているのか、遊び心が大切などの話がありました。
エヴァのマンホールを作ったという話には生徒の皆さんもかなり反応していました。
緑川社長が授業をされていつも思うことは、「実習中の生徒さんの目が真剣そのものだ」ということ。

ケミカルウッドが配られると、すぐに下絵を描き始める生徒、しばらくケミカルウッドを見つめながら何を作ろうかと悩んでいる生徒、いろいろなアプローチがありながら、ケミカルウッドを削るリズミカルな音があちらこちらから聞こえてきます。

授業の時間内で完成させるのはなかなか難しかったと思いますが、思い思いの完成品ができあがり、順番に披露となりました。

実習の完成品
実習の完成品


若い人たちに期待すること

最後に、緑川社長から学生の皆さんに「若い人たちに期待すること」と題して下記の話があり、授業は終了となりました。

  • 今は将来の夢がないとしても、毎日の積み重ねが人生の分岐を決める
  • 日本を変えるのは今の大人ではない
  • 人と人が繋がって仕事が生まれる
  • お金は必要なだけ後からついてくる

※緑川社長には、「人とシステム」53号(2009年4月)のSpecial Reportで「ものづくりの逆襲」と題して取材させていただいています。