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No.67 社長インタビュー

型技術協会の取り組み
― 金型業界の活性化のために ―

一般社団法人 型技術協会 会長 九州工業大学 情報工学部 機械情報工学科 教授 先端金型センター長 鈴木 裕 様
一般社団法人 型技術協会 会長
九州工業大学 情報工学部
機械情報工学科 教授
先端金型センター長 鈴木 裕 様
NDES 代表取締役社長 木下 篤
NDES
代表取締役社長
木下 篤

木下 鈴木先生とは、九州工業大学の教授として長年おつきあいをさせていただいていますが、今回は、型技術協会の会長として、お話をお伺いさせていただきたいと思います。鈴木先生が会長となられて新しく取り組まれていることなど、お話しいただければと思います。

型技術協会の概要

木下 まずは、型技術協会の概要からお話しいただけますか。

鈴木 型技術協会は、型技術に関する研究開発や最新情報の交換を応援し、世界トップレベルにあるわが国の金型産業の地位を保持することを目的として1986年6月に設立され、型技術に関心を持つすべての人に開かれた組織です。

26年の歴史を刻んできました型技術協会も昨年度、一般社団法人化への準備を行い、2012年4月より正式に一般社団法人 型技術協会として発足することになりました。

協会の組織

鈴木 型技術者会議や型技術ワークショップなど、型技術協会の催しは、企業、学校関係から委員を選出し、実行委員会で運営しています。

型技術協会組織図
型技術協会組織図

委員会活動

鈴木 各委員会で最新技術の研究調査を行っています。

  • 企画委員会
    企画委員会では、型技術シンポジウム、型技術セミナー、技術交流会を中心に企画し、その他会員各位の要望に添う行事を企画・実行しています。

  • 編集委員会
    編集委員会では、編集委員が日刊工業新聞社「型技術」編集部と共同で特集および座談会等を企画編集しています。

  • 研究委員会
    各委員会で最新技術の研究調査を行っています。

    • 型寿命評価研究委員会
      各種の金型材料品質に及ぼす各種の要因について、現状解析や問題点の解明、評価技術の確立を推進

    • 金型材料被削性研究委員会
      高硬度材の被削性を実際の切削実験を通して検討するとともに、最適な切削条件を求めることを目的に活動

    • 新加工技術研究委員会
      産学官が一体となってあらゆる分野の加工技術の調査を行うことに加え、この技術情報を伝達、普及を行い加工技術のさらなる高度化を支援

型技術協会の活動

木下 今年は、6月に開催されました型技術者会議2012に参加させていただきました。型技術者会議、型技術ワークショップなど開催されていますね。

鈴木 型技術協会の良さは、研究者や企業の方々、学生など、立場が違う人たちが交流して活発な議論ができることです。

1992年に型技術協会の理事に就任しましたが、当時は、会長や副会長、理事に多くの金型メーカーの方が参画されていて、自動車メーカーや大学と一緒になって活動をしていたという印象がありました。しかし、近年は金型メーカーの割合が減ってきているように思います。

こうした立場の違う技術者が型技術者会議や型技術ワークショップで研究内容、新技術を発表して議論できる場は、世界でもきわめてユニークです。以前のように、多くの金型メーカーの方々も参加して、気軽に情報交換できる場になってほしいと思っています。

型技術者会議

鈴木 毎年6月に東京で2日間、型づくりに関する技術・研究・管理の論文発表や最先端技術の講演・討論があります。毎年600人くらいの参加者があります。

同業他社が一堂に会し、お互いの最新技術やその成果を発表する場です。また、実行委員会の中でユニークな会社を見出してもらい発表のお願いをするなど、講演の内容に幅ができてとてもいい取り組みと思っています。

型技術者会議2012
型技術者会議2012

型技術ワークショップ

鈴木 毎年11月に、金型産業を主要産業とする地域での開催を企画しています。1日目に研究発表を、2日目に見学会を実施しています。2010年は栃木県宇都宮市、2011年は岐阜県岐阜市で開催し、2012年は神戸で開催します。ぜひ、多くの方にご参加いただきたいですね。

型技術セミナー

鈴木 トレンドな話題や戦略的なテーマで、毎年4回~6回開催しています。最近では、技能やノウハウの伝承・継承などのようなテーマも取り扱っています。また、金型産業の経営者を対象とした経営戦略に関連するテーマについても取り組んでいます。

技術交流会(企業見学会)

鈴木 これまでに、100回以上の型技術交流会を実施しています。交流会では、型メーカーや機械メーカーを見学し、その得意とする技術や管理、経営手法について質疑討論も実施しています。

型技術協会誌「型技術」

鈴木 また、型技術協会の協会誌である日刊工業新聞社発行の「型技術」誌について、技術協会で編集委員会を設け編集企画を共同で行っています。

会員増強

木下 型技術協会の規模はどれくらいでしょうか。

鈴木 現在、協会の会員は約860名です。設立当初から26年経ち、会員数は倍増しましたが、ピーク時には1,000名を超えていましたので、会員数1,000~1,200名を目指したいですね。

他の学協会と比べると、型技術協会の規模はあまり大きくありません。また地方ほど、型技術協会の知名度が低いと感じています。その対策として支部を設立し、型技術ワークショップの地方開催などを実施してきました。
また、会員増強委員会活動も行ってきました。団塊世代の退職により、一時的に会員数は減りましたが、この活動によって早期に会員数を戻すことができました。委員会の活動がなければもっと減っていたと思います。

木下 学生の会員というのもあるのでしょうか?

鈴木 ありますが、今はほとんど入っていないですね。

木下 私は造船出身で、当時在学中に造船学会に学生会員として入会していました。学会誌がもらえて、論文が読めますので、すごく価値がありました。金型は、機械工学か精密工学に分類されるのかもしれませんが。

鈴木 塑性加工学会がありまして、とてもしっかりした学会です。金型関係の学部、学科がないので、学生は塑性加工学会に入ります。そのうえ型技術協会にも入るのは難しいかもしれません。そういうところに手を打たないと、会員増強にはならないと思います。

型技術協会の兄弟学会でプラスチック成形加工学会があります。これは、型技術協会と同じ頃に立ち上がってきて今1.5倍の規模になっています。学生会員もたくさん入っています。学生に発表させるポスターセッションを作って、学生を引っ張り込んでいる感じがします。

木下 学生の時に分科会や学会で発表するとすごく緊張したものです。型技術協会は、それに加えて企業の方から質問も出ると思いますから、学生が育つ場となるのではないでしょうか。

鈴木 そうですね。学生たちは、学会と違って型技術者会議の発表は質問が厳しいから、発表するのが怖いと言いますね。

木下 それはとてもいいことで、学生にとってはすごく刺激になると思います。

鈴木 学生も参加して先輩方と交流することも大事ですね。次の世代の技術者を育てるという点で経験のある人たちに学生を指導していってほしいと思います。

他の学協会・団体との連携

木下 金型工業会とも連携されているそうですね。

鈴木 他の学協会・団体との連携も課題です。特に日本金型工業会とは、同じ業界として連携強化に努めたいと思います。日本金型工業会は経営者の集まりというイメージがありますが、業界自体の成長を考えるなら、経営者、技術者がともに手を取り合って効果的な戦略を練る必要があります。

金型工業会とは、年に2回、金型サロンという形で、交流を持っています。

タイとの連携

木下 海外との連携という点では、11月にタイで、「アジア型技術セミナー」を開催されますね。

鈴木 型技術協会とタイ政府(工業振興局)とは、2006年6月に、両国間における産業発展を目的に、技術協力、情報交換の実施に関する覚書を取り交わしております。この事業は、タイ国と日本の金型関係機関とにおける産業発展ならびに金型加工技術に関わる円滑な交流の促進を目的として行ってきております。

この一環としてタイで「アジア型技術セミナー」を開催しており、今年で3回目です。11月21日から開催されるタイメタレックスの会期中に行います。

タイは親日家ですし、日本からのバックアップも期待しています。

木下 タイの金型産業の育成を支援するということですね。

鈴木 技術者の派遣などありますが、これはまだ実施していません。タイの人が日本に来て金型企業などの見学に行ったりセミナーを聞いたりしています。

木下 タイへの取り組みの中で、型技術協会としてタイの金型産業の育成はすでに支援されていますね。

一方、タイは、タイに進出する日本の金型企業の誘致を支援するようなことも考えられているのでしょうか。

鈴木 タイとの提携については、タイで型技術セミナーを実施するということは軌道に乗ってきましたので、誘致のようなことは、これからの課題ですね。

木下 タイに進出する企業の誘致など、会員の方々にメリットのあることも必要でしょうね。

鈴木 JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)でそういう動きをしようとしています。今後、協会としてJETROと協力しながらやっていくということも考えられます。

また、型技術協会のウェブサイトの英語ページも必要だと考えています。

国策による支援も必要

木下 国内の金型専業メーカーは減っているのでしょうか?

鈴木 少し前は事業所の数は10,000と言われていましたが、減っていますね。

金型メーカーが疲弊しているのは否めないです。もうこれ以上のコストダウンは難しいのではないでしょうか。

材料費は上がっているか横ばいの状況でコストダウンを求められても、削れるところはもう人件費しかありません。設計を工夫して工程を削減したり、マシニングセンターを24時間稼働させたり、新たな技術を習得したりと、努力できることはすべて出尽くした感があります。

「仕事をしても利益が出ない」これが金型メーカーの偽らざる思いではないでしょうか。

そのうえ、グローバル化により、現地調達傾向が強くなっています。元気の良い会社はそれについていけますが、小規模の金型メーカーには海外進出する余力はないと思います。

例えば、韓国の型技術が向上した背景には、素形材技術に対する徹底した国の支援があると思います。韓国では素形材技術のことを「根の技術」と言って非常に重視していて、国の予算も多く割り当てられています。今までは、部品を日本から輸入して、日本の部品を多く活用して製品に仕上げていました。しかし、そうした方法では、韓国は日本に対して輸入超過になってしまいます。そこで、金型や材料もすべて自前で用意できることを目標にしたのだと思います。

韓国では生産技術研究院が各地に設置され、そこが政策をまとめて地域の金型メーカーをバックアップしたり、1社ではなく何社か集めてグループ化したりしています。その結果、オリジナリティの高い技術開発ができるようになったのです。

木下 オリンピックに対し、国家支援が強化され、スポーツ基本法(2011年制定)ではスポーツを国家戦略として推進することとされましたから、ロンドンオリンピックのメダルの数が過去最高となりましたね。金型も、国に対して提案をするときに、ものづくりのキーワードとしては技術伝承、育成など将来ビジョンがないと国も動かないでしょうから、型技術協会で産学連携して形を作ることができればいいでしょうね。

鈴木 言われてから作るのではなく、前もって戦略を練っておかないといけないですね。協会だけではなく金型工業会と一緒になってやるなど必要ですね。

木下 本日は、型技術協会会長としてお話をいただき、ありがとうございました。私たちでお役に立てることがあれば、今後ご協力をさせていただきたいと考えております。型技術協会の会員の皆様は、私たちのお客様でもありますので、会員にとってメリットのある行事や取り組みに今後も期待しております。

セミナー情報

型技術ワークショップ2012 in KOBE ~ 伝統と先端の出会い ― 元気をKOBEから ~

開催日 2012年11月29日(木)、30日(金)
会場 神戸市産業振興センター
11月29日(木)

講演会(8セッション 42件)、展示コーナー、懇親会

[オープニング講演]
「工作機械メーカーから見た製造業の将来」
株式会社牧野フライス製作所 開発本部副本部長 小池 伸二 氏

[特別講演Ⅰ]
「難削材加工とフジテレビ『ほこ×たて』使用工具の撮影秘話」
オーエスジー株式会社 フジテレビ「ほこ×たて」工具開発チーム「チーム大沢」

[特別講演Ⅱ]
「日本酒の楽しみ方」
菊正宗酒造記念館 館長 村田 祥 氏

11月30日(金)
工場見学会

Aコース
住友電工ハードメタル株式会社/大阪機株式会社 猪名川製造所

Bコース
川崎重工業株式会社 兵庫工場/三菱重工業株式会社 高砂製作所

Cコース
パナソニックエコテクノロジーセンター株式会社/パナソニック株式会社 アプライアンス社

アジア型技術セミナー2012 in Thailand

会期 2012年11月22日(木):セミナーと懇親会、11月23日(金):工場見学
主催 タイ工業振興局、タイ金型工業会、型技術協会、REED TRDEX、TGI、TCEB、SOMWANG
協賛 日本企業、タイ日系企業、タイ企業
会場 バンコク国際貿易展示場(バイテック)http://www.bitec.co.th/

※各セミナーの詳細は、http://www.jsdmt.jp/(型技術協会ウェブサイト)をご覧ください。

型技術協会プロフィール

所在地 〒231-0011 神奈川県横浜市中区太田町6-79
アブソルート横濱馬車道ビル201号室
会長 鈴木 裕(九州工業大学)
副会長 青山 英樹(慶應義塾大学)
安齋 正博(芝浦工業大学)
菖蒲田 清孝(マツダ株式会社)
田岡 秀樹(ホンダエンジニアリング株式会社)

※会長、副会長任期:2012年・2013年(平成24年・平成25年)