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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.81 トピックス

インダストリアル3Dプリンティングにフォーカスした展示会
formnextとEOSの最新情報

株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 
営業本部 AMビジネスユニット
事業戦略部 事業戦略課 竹内 典子

formnext powered by TCT 2015

昨年、新しい展示会として産業用3Dプリンターをメインとしたformnext powered by TCT 2015(以下、formnext)がドイツのフランクフルトで開催されました。このformnextは、3Dプリンターメーカーの他、サービスビューロー、各種ソフトウェアベンダーなど、3Dプリンティングに関わる企業が多く集まる国際展示会として、高度な技術や知識を持った専門家が集う場となりました。2014年まで同時期に開催されていたEuromoldと比較すると、会場の規模はそれほど大きくなく、来場者も著しく多いというわけではありませんが、その分じっくり話をしながら展示物を見るゆとりがあり、密度の濃い充実した内容の展示会となりました。

図1 内視鏡検査ボス 量産化されたA320NEO-GFT低圧タービンブレード用
図1 内視鏡検査ボス
量産化されたA320NEO-GFT
低圧タービンブレード用

3Dプリンター業界へ新規に参入する装置メーカーがある一方で、既存のメーカーは、装置自体の完成度を高めつつ、さまざまな分野からの要望に応えた大型もしくは小型装置の発表を行っていました。その中でも目を引いたのは、3Dプリンティングを組み込んだ製造ライン化への取り組みや、品質管理の機能でした。

欧米では、医療や航空宇宙の分野で実際に最終製品の製造が始まり、品質管理は「量産」をする上で急激に需要が高まっている機能です(図1)。

ある程度の量産を視野に入れた場合、数台の3Dプリンターでは生産が間に合わないため、場合によっては何十台、何百台もの3Dプリンターを並べて生産することになります。そうなると、装置への材料供給やジョブのセットから取り出し、アニール処理やCNC 加工などの後工程への受け渡しをスムーズに行うには、装置をモジュール化し、工場の生産ラインをフレキシブルに構築できるような仕組みが必須になります。

すでに、トレーサビリティー、不良品対策、装置のダウンタイムの低減を目的とした品質管理機能を搭載する動きは数年前から始まり、その機能は徐々に充実してきています。そして、3Dプリンターに組み込まれたカメラやセンサーは、造形中の装置の状態、パーツの確認、造形状況を管理するだけでなく、リアルタイムでエラーを検出するなど現場で必要とされる機能が搭載され始めました。それらの情報はデータベースに蓄積され、社内のシステムと連携し、トレーサビリティーの対応だけでなく、装置の管理やプロセス効率化のための解析ソースにも活用できます。

第1回開催となるformnextは、知名度がまだそれほど高くありませんでしたが、今後成長が期待できる展示会だと確信しました。

2016年のformnext開催日程は11月15日から18日です。装置に興味のある方はもちろんですが、グローバルに活躍している受託造形専門の企業も出展しているので、造形委託に興味のある方も訪れてはいかがでしょうか。

EOSの最新情報

図2 formnextのEOS社ブース
図2 formnextのEOS社ブース
図3 EOS M 100 新商品の小型機
図3 EOS M 100 新商品の小型機
図4 コンバスター イギリスの受託造形メーカーMaterials Solutions社出展
図4 コンバスター 
イギリスの受託造形メーカー
Materials Solutions社出展

産業用3Dプリンターの老舗であるドイツのEOS社は、この展示会で新製品のEOS M 100(小型機)の他、拡充したAMコンサルティングサービスや品質管理機能をお披露目しました(図2、3)。もちろん、主力商品として活躍中のEOS M 290、EOS P 396の展示もあり、大型機のEOS M 400は、装置自体の展示こそありませんでしたが、現在開発中のマルチレーザー(400W×4本)で造形したコンバスターのサンプルを展示して注目を集めていました(図4)。

新商品のEOS M 100は、造形エリアがΦ100㎜×95㎜の金属粉末を材料とする3Dプリンターです。装置の大きさは、ちょうどファミリータイプの冷蔵庫ほどです。そして、材料の供給はカートリッジ式で、造形プラットフォームはバキューム式の固定方法になっているなど、材料の取り扱いを含め非常にシンプルに運用できる仕組みです。しかも、歯科治療のブリッジやコーピングの生産に最適であると同時に、分野を問わず研究開発用の装置としても活躍が期待できます。

品質を管理するEOSTATEの基本機能としては、これまでもレーザー、スキャナー、フィルターなどの装置に関する状態、レーザーパワー、造形チャンバーの中の酸素濃度や湿度などプロセスに関する状態を監視する機能がありました。さらに、モバイル端末からそれらの情報にアクセスができ、複数台稼働している装置の進捗状況を確認することもできます。そして今回、レーザー溶接の品質管理で定評のあるPlasmo社との共同開発により、造形エラーをリアルタイムに検出できるシステムとしてEOSTATE MeltPool Monitoring機能を発表しました。これは、レーザーが照射しているところをモニタリングし、溶融状態を監視する機能です。このしきい値は、各社により設定が可能なので、自社製品のスペックに合わせた品質管理が行えます。

図5 ブレーキパーツ 段階を追ってトポロジー最適化される
図5 ブレーキパーツ 
段階を追ってトポロジー最適化される

EOS社ブースの展示サンプルの例として、トポロジー最適化された自動車用ブレーキパーツとカナダAnubis社のグリッパーがありました(図5)。ブレーキパーツは、既存の部品を3Dプリンターでの造形に置き換える際、解析を繰り返し、軽量化を実現しつつ強度のあるパーツに仕上げたものです。

また、図6のグリッパーは、ボトルをつかむロボットに装着されるものです。従来品は重さが3.8キログラムもありましたが、3Dプリンターでの製造により624グラムに軽量化され、ロボットを稼働させる際のエネルギー消費量も抑えられます。同時に、騒音の軽減も可能にしました。

図6 グリッパー 右:従来のグリッパー(6つで3.8キログラム)左:3Dプリンターで作られたグリッパー(4つで約624グラム)
図6 グリッパー 
右:従来のグリッパー(6つで3.8キログラム)
左:3Dプリンターで作られたグリッパー(4つで約624グラム)

いまだに、3Dプリンターは試作用途と思われることもありますが、すでに最終製品の生産が始まっている技術であり、不可能だった高付加価値の機能パーツが生産できる装置として、今後はさらに製造工程に組み込まれていく重要な技術になるでしょう。

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