人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.97 | トピックス
Additive Manufacturingに特化した国際見本市
formnext 2019 のご報告
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
カスタマー&サービス事業本部
アディティブ・マニュファクチャリング事業部
営業部 担当部長 川村 孝慈

formnext 2019

Additive Manufacturing(以下、AM)に特化した見本市では世界最大の規模を誇る「formnext」が、去る2019年11月19日(火)から22日(金)までの期間、ドイツ・フランクフルトで開催されました。開催期間中、私たちもEOS GmbH(以下、EOS社)、STEROS GPA INNOVATIVE, SL(以下、GPAINNOVA社)、3T Additive Manufacturing Limited(以下、3T-am社)のブースにて日本のお客さまをお迎えしました。ここでは、formnext 2019における3社に関連する情報を中心にご報告します。

formnext 2019の開催規模は、総出展面積が53,039 m2(昨年度比42%増)、出展社数が852社(昨年度比35%増)、来場者数が34,532名(昨年度比38%増)となり、2018年より格段にスケールアップした見本市になりました。この数字を見ると、近年急激にAMに対する注目度が高まっています。また、出展社についても造形機の開発に特化したメーカーだけではなく、AMでのものづくりを支援するさまざまなソフトウェアや周辺機器を開発しているメーカーが多く、既にAMのエコシステムが確立され、拡大が進んでいます。

formnext 2019の会場 Messe Frankfurt
formnext 2019の会場
Messe Frankfurt
2018年よりスケールアップしたEOS社のブース
2018年よりスケールアップしたEOS社のブース

AM工場の自動化を促進

今回、EOS社のブースでお客さまの注目を集めたのが、金属AM工場における自動化ソリューションの実機でのデモンストレーションでした。これは、約2年前にEOS社がDaimler社、Premium AEROTEC社と、完全に自動化された次世代金属AM工場の構築を目的として開始したNextGenAMプロジェクトのソリューションの一部です。ブースでは、AGV(無人搬送車)が自動でベースプレートや造形後のパーツを搭載したエクスチェンジャブル・フレームを3Dプリンターや後処理作業用ステーションに搬送する様子が実機で確認できます。また、このソリューションを利用し、M400-4による部品製造を自動化した場合の部品単価(Cost per Part)の算出例も提示され、より説得力のある展示でした。

金属AM工場における自動化ソリューションの実機デモンストレーションの様子
金属AM工場における自動化ソリューションの実機デモンストレーションの様子

樹脂領域の新技術Fine Detail Resolution

非常に繊細なFine Detail Resolution技術で造形されたパーツ
非常に繊細なFine Detail Resolution技術で造形されたパーツ

EOS社は、2018年に発表したLaserProFusionに続き、今回は樹脂領域の新しい技術として「Fine Detail Resolution」を発表しました。レーザー出力50 W、レーザーフォーカス径0.22 mmのCOレーザーを利用するこの技術は、造形した部品に次のような特長があります。

①高い表面品質、②繊細かつ丈夫、また柔軟性を備える、③最小板厚 0.22 mmを実現する

マテリアルジェッティング方式の高精細さと、SLS方式の機械的特性を兼ね備えたFine Detail Resolutionは、新しい用途開発への利用が期待されます。

3T-am社とAMbitionとのパートナーシップ締結

この度私たちNDESは、日本のお客さまのAMによるシリアル生産の早期実現をご支援することを目的としたAMbitionブランドを立ち上げました。今後、AMbitionブランドとして、次の6つの領域にフォーカスしたソリューション・サービスを提供していきます。

①設計(Design for AM)
②製造(Additive Manufacturing)
③冶金(Metallurgy)
④検査・試験(Testing)
⑤材料開発(Material Development)
⑥品質管理(Quality Control)

そして、formnext 2019において、ヨーロッパの大手AMサービスプロバイダーである3T-am社とAMbitionは、パートナーシップの締結を発表しました。私たちは、日本でのAMによる部品製造に対するニーズと期待が高まる中、3T-am社と共に、お客さまの要求を満たす高度な技術力を獲得し、AMによるシリアル生産の実現に必要な高い品質、適切なコストを達成できる安定した製造基盤を構築することにより、日本の製造業の発展に貢献していきます。

3T-am社 CEO Nigel Robinson氏(右から二人目)とNDESメンバー
3T-am社 CEO Nigel Robinson氏(右から二人目)とNDESメンバー
3T-am社のブース
3T-am社のブース

GPAINNOVA社、DLyte Pro500を発表

GPAINNOVA社は、formnext 2019において最新の大型乾式電解研磨システム「DLyte Pro500」を発表しました。iPhone11からインスパイアされた斬新なデザインを持つこのシステムは、容量260Lのメディアを利用し、最大Φ750mm x 300mmサイズの部品を研磨できます。また、自動ホルダー引上げ機能や、クリーニング機能を持ち、従来のシステムに比べ格段に生産性が向上しました。

GPAINNOVA社のブース
GPAINNOVA社のブース
大型乾式電解研磨システム DLyte Pro500
大型乾式電解研磨システム
DLyte Pro500

おわりに

GPAINNOVA社の新オフィス建設現場にて CSO Jaume Miras氏(左) CEO Pau Sarsanedas氏(左から2人目)
GPAINNOVA社の新オフィス建設現場にて
 CSO Jaume Miras氏(左)
 CEO Pau Sarsanedas氏(左から2人目)

2018年と同様、今回もformnextの翌週に年に1度のセールスミーティングに参加するため、スペイン・バルセロナにあるGPAINNOVA社を訪問してきました。訪問して驚いたのがGPAINNOVA社の社員の数です。2018年時の社員数は30名程でしたが、今回訪れると80名を超えてオフィスが手狭になっていました。2020年夏には現在建設中の新しいオフィスに移動する予定とのことです。この社員数の急増要因は、GPAINNOVA社のビジネスの急拡大です。私たちもGPAINNOVA社の勢いに追従し、日本国内のお客さまにGPAINNOVA社の素晴らしい研磨技術を含め、AMでのシリアル生産を一日でも早く実現していただくためのソリューションやサービスをご提供いたします。