人とシステム No.100
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POINT3次元データを活用して設計精度を高めコスト削減を実現 本誌No.90の取材時は、熟練者でなくても構造物と配管の干渉確認が容易に行える管ナビの利点を生かし、配管設計で誤作を削減するという成果を達成されていました。その当時を振り返りながら、取締役設計本部長の堺田和昌様と設計本部機電設計部の配管設計課主任の篠田壮則様は、3年間の取り組みと成果を次のように話します。・管ナビの習熟度の向上 この数年の間に、建造する船の案件に管ナビの活用を増やしていく中で、設計スタッフの仕事に対するスキルと管ナビの習熟度を高めることができました。No.90の取材当時、管ナビでの配管設計は同型船ばかりでそれも一隻おきでした。ところが現在では、同型船以外に新造船のケミカルタンカーや小型フェリーの配管設計まで管ナビで行うようになり、全ての構造物と配管の干渉確認が容易になりました。管ナビによる配管の見える化や技術的な平準化で、設計精度が上がり間違いは確実に減っています。また、工場からの問い合わせがほとんど無くなり、誤作、不具合の削減もできています。・正確な塗装面積の算出 次に取り組んだ3次元データの活用は、塗装面積を集計するBeagle PAINTを導入してコスト面や環境面のメリットを図ったことです。これまでは、手計算で表面積を算出していたため低い精度だったのですが、GRADE/HULLで設計した3次元データをBeagle PAINTに取り込むことで、正確な塗装面積を容易に算出できるようになりました。これで塗装にかかるコストを2~3割削減できています。発注する塗料の量は、塗装用スプレーガンによる飛散量の係数を塗装面積に掛けて算出します。また、正確な塗装面積が算出できるようになると環境負荷の対策として無駄な塗料の廃棄を防止することができます。このように、いろいろな工程に3次元データを派生させることでコストダウンにつなげていく取り組みを進めています。・組立要領の作成にも活用 ブロックの組立要領の作成にも、GRADE/HULLと溶接作業物量を集計するBeagle WELDを活用する取り組みを行っています。各部材の親子関係の作成など、試行錯誤しながら進めている段階です。また、これまで作った3次元データを多方面で活用できる体制を作りたいと考えています。究極の目指すべきゴールはミスゼロ 設計から建造まで3次元データを活用する一番の目的は、株式会社 臼杵造船所 様管ナビの習熟により設計精度を高め工場からの問い合わせを削減ミスゼロを目指す船舶建造に活用する3次元データケミカルタンカーを中心に各種船舶の設計から建造までを手掛ける株式会社臼杵造船所様は、3次元船殻CAD/CAMシステム“GRADE/HULL” 、3次元艤装設計システム“管ナビ(kan navi®)”、 3Dデータ活用ソリューション“Beagle”をご利用されています。本誌No.90(2018年7月1日発行)に同社の活用事例として、管ナビの導入1年目における艤装設計の3次元化の取り組みと今後についてご紹介しました。今回は、それからの3年間の取り組みと成果について3次元データの活用という視点からお話をお伺いしました。GRADE/HULL 管ナビ BeagleGRADE/HULL、管ナビ、Beagleにより塗装および発注部材のコストを削減12管ナビによる上甲板の配管設計CUSTOMERS REPORT6人とシステム No.100 July 2021

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