人とシステム No.101
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10 修正回数を削減するためのもう一つの取り組みに、プレス成形の解析シミュレーションとSpace-Eとの連携があります。「特に超ハイテン材になると、どうしても修正回数が増えてしまいます。その回数を減らすためSpace-Eによる設計の初期段階で解析シミュレーションを行い、修正となる原因をどのように消し込んでいくのか事前に手を打つことができます。そこで大事なのが、解析で得られた結果の 平均年齢が35~40歳の同社は、年齢幅が20~60歳と広く、職人技を持つベテランと若い人材の双方が金型づくりを支えています。「デジタルデータをきちんと作成していても同じものができるとは限りません。日本人の特性かもしSpace-Eでモデリングする製品形状Space-Eを中心に設計を担当する技術部「修正工数を削減するという会社の大きな取り組みがあり、修正履歴を必ずExcelにまとめています。依頼された部品に対してどのような修正があって、どういう対応をしたのかを記入しています。各作業者が修正履歴により情報共有することで類似品の依頼がきたとき、過去の修正内容を事前に織り込むことができます。例えば5回の修正を1回にすることが可能となり、修正工数を削減できます」。 このような取り組みの効果について岩本孝様は「10年前に比べて、初回の精度で85%、良い場合には95%という成果が得られていて、確実に金型品質は向上しています。また、最終的に微調整しながら100%に近づけていくこともノウハウとして蓄積されています」と説明します。Space-Eで作成する加工経路通りに対応するのではなく、その結果を人間が判断して対応を決めることです。解析シミュレーションはツールであって、利用するのは人間だということです。この解析結果と修正履歴により、修正工数を抑えながらより高い精度の金型を製作することができます」と岩本孝様は説明します。 さらに、工場の設備について岩本孝様は「当社は加工や組み立て、テストが十分に行えるマシニングセンター、放電加工機、プレス機など充実した設備を工場内に整えています。最近であれば、2020年に導入した大型のマシニングセンター、ここ5年の間に3台の小型の加工機、1000トン油圧プレスも導入しました。この設備も利用しやすいようにカスタマイズして、設備能力を最大限生かしていければと考えています」と同社の強みを強調します。設計の初期段階で活用する解析シミュレーション今後の取り組みについて

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