人とシステム No.101
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SYSTEM & INTEGRATION12昨今、労働人口減少に伴う人手不足、働き方改革による労働の効率化が問題になって久しく、個別受注製造業に従事される皆さまにおいては、いかに効率良く時間をかけずに製品を設計するか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。今回は、2021年7月にリリース発表したDelight-Spaceについてご紹介します。ここでいう個別受注型製造業とは、顧客から注文を受けてから製品設計および生産手配をする業態の製造業を指します。例えば、仕様が異なる同種の製品を扱う工作機械業界やバルブ・ポンプ業界などです。個別受注型製造業が抱える問題は、顧客ごとに要件が異なり、設計部門の業務負荷が高くなるという点にあります。商談の際に、顧客の要件を既存の製品仕様で満たすことができるのか、要件に合わせて特殊設計が必要なのか、その場で決めてくるのは容易ではありません。そのため、製品を熟知した設計者が同行し、商談を進める企業が多いのではないでしょうか。しかし、商談のたびに設計者が駆り出されると本来の設計業務に専念できず、また顧客の要件が変わるたびに、見積部品表の作成も負担となります。設計者の負荷が増えることで出図が遅れてしまう、部品表の精度が悪く後工程へ影響が出てしまう、コストがかさみ採算がとれないといった案件につながります(図1) 。では、どうすれば設計負荷低減と精度の高い設計を両立し、顧客の要望に応えることができるのか。解決策の一つを次にご紹介します。設計モジュール化技法とは、株式会社 経営システム研究所が提唱している業務変革技法です。多様化・多品種化する製品バリエーションに対して、既存図面のモジュール化を行い、そのモジュールを組み合わせることで製品を定義して受注仕様を決定し、設計・出図、生産計画・調達計画にわたるビジネスプロセスを効率良く回すことを目的としています。設計モジュール化技法では、モジュールごとに機能が異なるバリエーション(図面)をあらかじめ用意することで、多様な顧客の要求仕様に対応できます。例えば、製品構成を精査した結果、AからDの4つのブロックに分けられました。次に、Aブロックを機能単位に分割すると4つのモジュール構成であるとします(図2)。各モジュールに機能の異なる10のバリエーションを用意することで、「10×10×10×10=10,000通り」の対応が可能になります。 図1 設計者の業務負荷増大による弊害株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズビジネスインテグレーション事業部 第一営業部 第二営業課田村 全顕 図2 標準化(設計モジュール化技法)の考え方個別受注型製造業が抱える課題はじめに設計の効率化をもたらす設計モジュール化技法個別受注型製造業向け仕様選択コンフィグレータ Delight-Space®のご紹介

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