15SYSTEM & INTEGRATIONラクティスの出版物や研究から得たものです。SENSEIの概要を図1に示します。濃い青色で示された範囲はSENSEIがカバーする領域であり、薄い青色で示された範囲はよく見られるエンジニアリングITツールがカバーする領域を示しています。SENSEIのアーキテクチャを構成するものは以下の通りです。◉統合基盤(Integration Foundation):システムズエンジニアリングのためのデータ統合、開発プロセス統合、API管理など、システムズエンジニアリングの実現を目的に、より専門的な項目のための基本的な統合処理を提供します。具体的にはデータの流れや保管をする機能、データのやり取りの機能が挙げられます。◉システムズエンジニアリングデータ統合(SE Data Integration):データを統合するための項目についてまとめられています。トレーサビリティを担保する技術であるリンクトデータや、単語集(Ontology)を整備することでクロスドメインの統合など、システムズエンジニアリングのためのデータ統合の機能を提供します。◉プロセスインテグレーション(Process Integration):開発プロセスは、企業にとってデータと同じくらい重要な資産です。開発プロセスマネジメントは、開発プロセスの効率的な実行と同時にコンプライアンス遵守をサポートし、さらに継続的な改善の基盤となります。◉API管理(API Management):複数のエンジニアリングITツールを接続し、有効なシステムズエンジニアリングのための環境の構築をサポートします。このアーキテクチャをもとに私たちはTSFアーキテクチャを構築しています。 SENSEIアーキテクチャの「システムズエンジニアリングデータ統合」をもとにした構築中のソリューションをご紹介いたします。このソリューションは、セマンティックな検索を可能にすることを目的としています。セマンティックな検索とは、検索ワードから推論して対象を導き出す検索のことを指します。分かりやすく例えると、SNSで自分と友達になっているユーザーの友達になっている別のユーザーも友達である可能性が高いことを示す機能です。これは、基礎となるグラフ(図2)を定義することで可能となります。グラフは一つ一つのオブジェクト(図2中、丸で表現されたもの。専門的にはノードと呼ぶ)とオブジェクトをつなぐ線(図2中、丸と丸をつなぐ線のこと。専門的にはエッジと呼ぶ)によって表現されます。エッジはノードとノードの関係性を表現しています。先ほどのSNSの例で言えば、ノードがユーザーであり、エッジが友人関係を示しています。グラフで表現することにより、関連するオブジェクトを推論して見つけることができます。このような仕組みをベースに組み込むことで、個々のユーザーのニーズに合わせた検索を実現し、大量に存在するデータから要求するものを取り出すことを支援します。本稿では、MBSE・MBDソリューションのためのリファレンスアーキテクチャとそれが提供できるサービスの一例としてセマンティック検索ソリューションについてご紹介いたしました。複雑化する製品開発において、私たちのソリューションがお客さまにとって非常に有効であると考えております。SENSEIアーキテクチャを含めた私たちのソリューションにご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。[1]「人とシステム」No.99 モデルベース開発における制御系モデル情報交換システムの構築-日本自動車工業会(JAMA)様における取り組みについて-:https://www.nttd-es.co.jp/magazine/backnumber/no99/no99-JAMA.html[2]SENSEI – Systems Engineering aNd Scalable Enterprise Integration:https://de.nttdata.com/insights/whitepapers/sensei-systems-engineering-and-scalable-enterprise-integration参考文献 図2 セマンティック検索ソリューションの検索結果 ([2]より抜粋)SENSEIアーキテクチャをもとにした TSFソリューションおわりに
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