にえ災用帽子製の防くくて水に強いダンボール軽く、燃からも、非常用ヘルメットの重要性の認識は高かったものの、保管や携帯の簡便さをかなえるヘルメットは見当たりませんでした。そこで、小学生が使うランドセルにも入る縦30cm×横20cm×高さ5cmのサイズで、衝撃を吸収する防災用帽子を、萩原先生、奈良先生を中心に開発。その後、企業と協力して、段ボール製の防災用の帽子として製品化に成功しまで全安21 同じ形の立体図形(セル)を■間なく並べた構造体をハニカムコアと呼びます。その中の1つである蜂の巣と同じ六角形のハニカムコアは身近な存在ではないでしょうか。六角形のハニカムコアは軽量で強度が高く、防音効果もあるという利点があります。ギリシャ・ローマの時代から、人類はこの構造体のメリットをなんとなく分かっていたようですが、産業化されるのは第二次世界大戦後まで待たなければなりませんでした。産業化のヒントになったのは、日本の七夕の網飾りだったそうで、展張式やコルゲート式といった製法が確立されたことで大量生産が可能となりました。 六角形以外のハニカムコアにも、いろいろな特徴があり有効に活用できます。例えば、展開図から折り畳んだ複数の正四角錐と正四面体(正三角錐)を直方体などの箱に充填すると、強度が増すことが分かっています(寺田耕輔氏考案)。紙製の箱に60kgの荷重を上からかけても破損しなかったという実験結果もあります。 これらの研究や実験の積み重ねから、さまざまな分野への応用が広がっています。その一つが、本稿にご協力いただいている萩原一郎氏、奈良知惠氏が2016年に参加したテレビ番組で生まれた、コンパクトにたためてヘルメット並みに衝撃吸収する最強の防災用帽子です。テレビ放映以降も改良を重ねて市販されました。次号では、実用化されている折り紙工学の中から、大型ドームなどの建築物、自動車の衝突時の衝撃を減らすエネルギー吸収材などをご紹介します。六角形ハニカムコアの製法につながった展張式とコルゲート式正四角錐と正四面体による空間充填を用いたパッキングモデル貼り付ける重ねる広げるコルゲート式貼り付ける有限会社秦永ダンボールの「アウトリーチ防災用帽子」※おもしろサイエンスシリーズ「折り紙の科学」(日刊工業新聞社刊 2019年3月発行) 著者:明治大学 研究特別教授 萩原 一郎 様・明治大学 研究・知財戦略機構 客員研究員 奈良 知惠 様展張式(創作と制作:寺田耕輔氏)人とシステム No.101 January 20222016年当時、防災・減災の観点した。第2回となるリフレッシュコーナーでは、前号に引き続いて折り紙の科学についてお届けします。今回は、複雑な折り紙を作るための設計ソフトや、折り紙のように紙や金属を折って完成品を作る折り紙式3次元プリンターやロボット、軽量で強度が高いハニカムコアの応用例などをご紹介します。ハニカムコアと折りたためる防災用帽子
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