Satoru KoideSPECIAL REPORT技術者の思考と親和させ、現場で使いこなす必要があります。今はまだ人が一生懸命頑張って自動化しているところですが、そこを人に頼らなくても自動化できるような取り組みを進めていきたいですよね。ことができれば、個人の持つ手法や技術を、新たな差別化につなげられる可能性も出てきます。小出 製造工程を標準化するには、その標準のプロセスをきちんと表現する必要があります。今までやってきたことが、作業者の癖なのか、会社の癖なのか、本当に必要な作業なのか見いだしていくことが重要ですし、その表現のためにもAIをうまく活用できるように思います。東 私たちはCAD/CAMをクラウド上で提供していますが、その特性とAI技術とを活用し、お客さまの了承のもと作業プロセスを収集、分析して可視化することも将来的に可能になるのではないかと考えています。そうすることで、標準的な手法を皆さまに提供できるほか、誤っている作業や困っていそうなことを察知して解決を示せる可能性も見込めます。クラウドサービスによってお客さまが蓄積されたデータをいかに価値ある情報としてフィードバックしていけるか取り組んでいきたいです。各社の技術や手法を公開できるか、公開可能な範囲と不可能な範囲の判断も含めて、すぐに進まないかもしれませんが、一つの業界内の連携になり得るかと思います。小出 確かにそうですね。例えば、そのプロセスで本来必要のない作業をした時に注意メッセージが出るだけでも大きな効果です。自分たちにとっては習慣的な作業でもロスや無駄が生まれている可能性がありますが、そうしたこと金型年金会館6階一般社団法人 日本金型工業会 会長株式会社 小出製作所 代表取締役小出 悟 様4人とシステム No.101 January 2022一般社団法人 日本金型工業会【所在地】 東京都文京区湯島2-33-12 【URL】 https://www.jdmia.or.jp/【設立】 1957年11月【設立の目的】プレス用金型、プラスチック用金型、ダイカスト用金型、鋳造用金型、鍛造用金型、ゴム用金型、ガラス用金型等に関する各種の事業を行うことにより、金型工業及び関連産業の健全な発展を図り、もって我が国経済の繁栄と国民生活の向上に寄与することを目的とする。これからは各社が横断的に手を組み今までのやり方を積極的に変えていく仕組みが大切です標準化による業界全体の底上げと自社の強みの向上東 ものづくりの現場で、AIに関する理解を得て導入を進めるのはなかなか難しいと感じています。極端な話、AIで全てやればいいとすると、どの金型メーカーも画一的になってしまいます。白瀬会長もおっしゃるようにものづくりには正解はなく、また、各社の特色豊かな金型製造では、画一化はあり得ません。小出 実は、製造工程をひも解くと、どの会社でも同じように行っている作業が全体のおよそ6~7割を占めると見て取れます。そうした作業を業界全体で手を組み、AIを活用するなどして標準化し、自動的にこなせるようにすれば、残りの3~4割の各社独自の領域にもっと注力でき、個社そして金型業界としての競争力向上が期待できます。白瀬 標準化には、他社との差別化が図れなくなる心配はあるものの、全体を一定の水準まで底上げできるメリットがあります。また、その水準やさらに熟練者の手法を示す
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