人とシステム No.102
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11SYSTEM & INTEGRATIONータ受け渡しや、組図を部品ごとに分割しての作業へスムーズに移行できます。断することもできませんでした。Ver.5.10では加工に使用したい工具の場所(接触位置)を設定するだけで、最適な傾き角度が自動的に算出・設定されます(図6)。 この機能は、テーパーバレル工具やレンズ工具などの異形状工具にも対応しているため、工具の利点を最大限に有効活用する傾き角度が全自動で設定できます。<高品質な加工を短時間で行う異形状工具>異形状工具はボール工具よりも大きなRで加工できるため、ピッチを大きく設定しても同一のカスプハイトを保つことができ、加工時間を短縮できます。例えば、図7の底面部はボール工具の加工に対して約6.3倍のピッチでテーパーバレル工具の加工を行っていますが、カスプハイトは同等であり、大きなピッチでも高品質な仕上げ加工ができます。実際の加工と比較すると、テーパーバレル工具を活用した場合、ボール工具のみで仕上げ加工を行うよりも76%加工時間を短縮できました(図8)。ものづくり業界では、人材不足やDXなど多様な課題に直面しており、その対応のために皆さまも苦労されていることかと存じます。「最高の加工品質」と「自動化」を目指すSpace-Eが課題解決の手段の一つとなれば幸いです。 図5 モデル上を切削 図7 異形状工具とボール工具の比較(ピッチ) 図8 異形状工具とボール工具の比較(加工時間) 図4 「円弧を使用」機能・工具接触位置を利用した傾き角度の自動設定5軸加工の難点の一つに、最適な工具姿勢(傾き角度)の設定が挙げられます。この難点の解決策として、加工物との「接触位置」によって工具の傾き角度を自動設定する機能を追加しました。この機能を利用すると、5軸加工の経験が浅い作業者でも短時間で最適な傾き角度を設定できます。従来は、傾き角度を大まかな数値で設定し、作成した経路を確認して修正するといったトライ&エラーの手法がとられてきました。この手法では、傾き角度の設定に時間を要するだけでなく、算出した傾き角度が最適な値であるか判 図6 傾き角度の自動設定Space-E/5Axisおわりに・ピック動作の強化5軸機能のピック部設定に「円弧を使用」機能を追加しました。ピック部設定の幅を広げることで、さまざまなケースに対応した最適な経路を作成できます。「円弧を使用」機能を用いてピック時に円弧でリトラクト・アプローチする経路を作成することで、ピックによる加工痕の残らない高品質な加工を行えます(図4)。品質よりも加工時間を優先したい場合には、モデル上を切削(G01)でピックする経路も作成でき(図5)、お客さまの利用シーンに合わせた理想的な加工が行えます。

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