人とシステム No.102
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7の干渉とクリアランス不足を確実に検知して不具合をなくそうとSpace-Eによる3次元設計に取り組みました」 特に力を入れたのは、Space-E/Moldの部品カタログと干渉チェック機能を利用した3次元設計の促進だと古屋様は言います。「当社の設計は3次元と2次元が混在しているので干渉の確認に漏れが出やすい状況でした。混在している要因は、2次元の方が作業のレスポンスがよく、規格データも配置が簡単で作図工数を短くできるということ、さらに社内の後工程への展開やお客さまへの図面提供があることなどから、部分的な3次元化にとどまっていたためです。そこで干渉などのミス削減、工数低減、効率アップを目指して取り組んだのが、Space-E/Moldの機能である部品カタログの見直しでした。設計部門の全員が部品カタログに登録したユニット部品を使って3次元設計を行い、Space-Eで干渉チェックすることで設計のトータル的な工数削減につながります」 佐野様は、以前から取り組んでいた3次元設計の見直しとQC活動との連携を説明します。「2006年にCAD/CAMシステムをGRADEからSpace-Eに置き換えた際、3次元設計を目指して部品カタログが整備されました。それから15年以上経過して、業務改善の一環として部品カタログの見直しが始まっていたので、今回のQC活動と連携させることで冷却穴の課題も解決できると確信しました」 同社では、ガイドピンやエジェクタピンなどの単体の部品と、複数部品を独自に組み合わせたユニット部品との合計で1000を超えるアイテムがSpace-E/Moldの部品カタログとして登録されていました。各部品の整理ができず全体の把握ができなくなった部品カタログの見直しについて、設計技術グループ係長の小川淳樹様は次のように説明しま株式会社 駿河エンジニアリング設計技術グループ 課長古屋 英一 様冷却穴の不具合の種別(2016~2021年)以下の干渉が77%を占める。1.穴干渉(締付ボルト、ピンなどが穴に干渉)2.部品干渉(リフトコア、入子などの彫り込みに干渉)3.形状干渉(形状、外周PLなどに干渉)株式会社 駿河エンジニアリング設計技術グループ 係長小川 淳樹 様インジェクション金型の冷却回路(左:金型写真 右:Space-E金型モデル)金型内には約200℃の樹脂を充填するので金型に熱が伝わりやすい。金型全体を均一に冷やす冷却回路が必要になる。その冷却回路に水を穴に通すことで、金型全体の温度をコントロールする。インジェクション金型は部品点数が多く、冷却回路はその部品を回避しながら冷却穴の位置や形の変更を繰り返して設計する。株式会社 駿河エンジニアリング設計技術グループ 係長佐野 智和 様3次元設計と冷却穴の干渉への取り組み自社の設計思想に合わせたユニット部品を目指して株式会社 駿河エンジニアリング【設立】 1966年9月 【資本金】 69,146,700円 【所在地】 静岡県富士市今泉花の木     652番地の1【従業員数】 81名【営業品目】 インジェクション成形用金型、SMC・BMC用FRP金型、SPM・ISM用金型、コンプレッション用金型、各種樹脂成形用金型

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