SYSTEM & INTEGRATION13タルツイン」の実現に欠かせない技術が“バーチャルコミッショニング“です。ロボットシミュレーションにおけるバーチャルコミッショニングとは、生産ラインを制御する実際のPLCと、 シミュレーターであるProcess Simulateとを”接続”し、PLCのロジック検証、デバッグを行うことができるProcess Simulateの最新の仕組みの一つです。これまでProcess Simulateの主な適用範囲は、ロボットのシミュレーション、オフラインティーチングでしたが、この仕組みにより、生産ライン全体の「製造のデジタルツイン」の実現を可能にしました。バーチャルコミッショニングの基本的な接続の概念が図4です。Process Simulateおよびバーチャルコミッショニングを導入することで、これまでの仕事のやり方を大きく変えることができ、これまで課題であった、工期短縮やコスト削減につなげることが可能となります。実際にご導入いただいたお客さまの中では、約30%の期間短縮につながったというご報告もいただいております。私たちは、製造業のお客さまに最新の情報とソリューションをご提供することを第一に活動してまいります。ご興味がございましたら、お問い合わせください。 図4 バーチャルコミッショニング 接続の概念図まず、図4の【事前検証時】のフェーズでは、設計の段階で、まだ実際の設備が投入できていない初期、設備検討~設備設計の段階では、実機PLCとProcess Simulateを接続し、信号の確認や制御プログラムの検証、装置の振る舞いなどのデバッグを行います。次に、図4の【実機立上時】のフェーズでは、具体的な振る舞いとして、“実際の設備“の代わりに、”バーチャル空間の設備”がPLCの信号を受けて動作します。これにより、信号の数が一致しているか、信号と設備のマッピングが正しいか、PLCプログラムのロジックが想定通り振る舞うかなど検証できます。実際の設備の製作が進み、工場に投入された段階では、PLCと実際の設備を接続して最終的な確認を行うことができるようになります。バーチャルコミッショニングを導入することで、どのような検証ができるかまとめました(図5)。また、この仕組みにより、バーチャルなシミュレーション■設備間インターロック検証・ 実機と同等の制御ロジックで、設備間インターロックの検証ができます。・ ロボットの動作シミュレーションを含めた、ライン全体のサイクルタイムの検証ができます。 ロボットの動きは、RCSモジュールによる高精度なシミュレーションが行えます。 設備、ワークの干渉チェックができます。・ 繰り返し連続運転における、制御ロジックの検証が行えます。 100回の繰り返しでは問題ないが、10,000回繰り返しても問題ないかなど。・ 不定期に実施されるチップドレスなどの動作検証ができます。 ※チップドレス:スポット溶接のガン先端が一定量摩耗した場合に実行される研磨・洗浄動作■制御システムのテスト・ 異常検出ロジックの動作検証(近接センサーの動作ロジック検証など)・ 安全装置の動作検証(安全柵の開閉による信号検知など)・ 事前に各種の想定シナリオをシミュレーション・ 混流ラインにおける製品切り替え時の動作ロジック検証・ 緊急停止ボタンが押された場合の動作ロジック検証など■トレーニング・ 保守操作トレーニング・ 設備の起動/停止の操作手順・ 異常停止から復帰する際の操作手順など 図5 バーチャルコミッショニングが可能とする検証の中で生産準備の“やりかた“を根元から変えることができます。従来の方法では、設計の段階にデジタルツールを活用することでコンカレントに作業を進めることができる一方、現場では段階的に設備設置、検証・デバッグ、調整を進める必要がありました。この段階で不具合が見つかるとその修正や改造に時間を取られ、設備立ち上げ期間の短縮が困難でした。それに対して、Process Simulateとバーチャルコミッショニングを導入すると、バーチャル工場の中でロボットやPLCを含めた設備の振る舞いを確認できるようになります。その中で、PLCコードの検証やデバッグ、意地悪テストなど、工場設備が揃う前でも可能になるので、事前に十分な検証をして不具合を減らしたうえで、工場での最終調整に臨むことができます。これにより、設備立ち上げ期間を大幅に短縮することが可能となります。Process Simulateとバーチャルコミッショニングおわりに
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