人とシステム No.104
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SYSTEM & INTEGRATION11東台精機の5軸加工機は、HEIDENHAIN社のTNC640を搭載し、高速精密加工を実現しました。HEIDENHAINは、データベースで工具を管理しているので、工具を交換した時点で、登録された工具補正が自動的にかかります。また、測定プログラムは標準で装備され、穴あけや面削・ポケット加工などの固定サイクルに対して対話式で使用できます。オプションには、DCM(Dynamic collision monitoring)設定機能があります。機械の3Dモデルと工具の内部情報からA/C軸の動きに対して干渉を回避することで、機械干渉のリスクを削減します。5軸加工機における精度を東台精機GT-630とA社の日本製5軸加工機で確認するために、位置決めと割り出しの精度、3D形状の加工を実施しました。表2に示すように特有の割り出し精度は両社とも十分満足できる内容でした。5軸精度を維持するための5軸キャリブレーション(回転軸を計測し結果を機械パラメータへ反映させる)機能がおのおの「回転軸計測サイクル」(ファナック製)、「KINEMATIC-Option」(HEIDENHAIN製)が提供されています。このキャリブレーション機能を定期的に実施し、機械精度の維持管理を行っています。表2 東台精機GT-630とA社日本製5軸加工機の比較間の結果が表3になります。東台精機GT-630では、トレランスによる面精度誤差と加工時間が得られているのに対し、A社日本製においてはともに変化がありません。A社日本製は点群データに対し忠実に制御されていますが、GT-630ではトレランスに追随した補間制御が行われており、トレランス制御に応じた精度と加工時間が得られました。リフレクターモデル(精度)加工モデルサイズ100×100×30(mm)の上面に一辺が4mmの三角形(△形状)をプリズム状に配置したリフレクターモデル(図7)を用いてトレランスを変化させた加工結果(三角形の面精度)を図8に示します。トレランス0.005では、GT-630で輪郭が明瞭であるのに対し、A社日本製では輪郭がぼやけた加工結果となり、仕上げ工程でもトレランス設定による効果が現れることが示されました。東台精機のGシリーズは高精度・高剛性で作業効率の向上を目的とし設計され、多種多様に対応できる5軸加工機として利便性が高く信頼できる機械です。上質な面品位と加工時間の短縮を図るため、機械の特性を生かした各工程におけるトレランス設定を最適化する必要があります。今後もMold Future Space - OKINAWAの取り組みの一環としてテスト加工を実施し、5軸加工技術の蓄積に取り組みます。人とシステム No.104 October 2022 図6 極小点段差モデル(右:上から見た図)表3 実測値(最大誤差、加工時間) 図8 リフレクター加工面の結果 図7 リフレクターモデル東台精機/HEIDENHAIN における優位性加工精度試験と評価結果今後について極小点群制御(加工時間、面精度)加工同時5軸加工における軸制御誤差が発生し減速が繰り返されるため、極小点段差を設けたモデル(図6)を用いテスト加工を実施しました。加工時の面精度(誤差)と加工時

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