FRESREH1930年代から取り組まれる腸内環境の改善 「プロバイオティクス」という言葉が世界で使われ出したのは1990年代頃からで、腸内フローラとともに一般的になりました。「私たちの健康に良い働きをしてくれる乳酸菌やビフィズス菌」として日本でも広く認知されています。 学術的には、プロバイオティクスは「十分な量を摂取することにより宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。日本では、1930年代にヤクルトの創始者でもある医学博士の代シロ田タ稔ミノル博士が、乳酸菌シロタ株(学術名:ラクトバチルス カゼイ シロタ株)の純培養に成功し、安価な乳酸菌飲料が誕生しました。腸内の環境改善は、この頃からすでに取り組まれていたのです。 プロバイオティクスには、さまざまな疾患の予防や病状の改善作用が期待されています。善玉菌を増やすためのエネルギー補給も有効 プロバイオティクスと並んで「プレバイオティクス」の研究も世界中で進められています。これは、「腸内で有益な作用をもたらすビフィズス菌のような微生物の増殖(活性)を特異的に促進することで生体に有用な働きを発揮する、難消化性の食物成分を指す一般名称」です。 プロバイオティクスが、私たちの健康に良い善玉菌を増やすことに対して、プレバイオティクスは善玉菌を元気にするエネルギーと言えるでしょう。ビフィズス菌の増殖や機能を促進するオリゴ糖類が、代表として挙げられます。 また、プロバイオティクスとプレバイオティクスの併用を「シンバイオティクス」と言います。善玉菌の補充とともにそのエネルギーも同時に取り入れるもので、腸内フローラの改善や感染性合併症の発病を予防するという研究結果が発表されています。特に、消化器外科、小児外科などで臨床研究が進んでいます。プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス16効果因子乳酸菌やビフィズス菌など各種オリゴ糖などビフィズス菌とオリゴ糖の組み合わせプロバイオティクス十分な量を摂取することにより宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物プレバイオティクス宿主微生物により選択的に利用された結果、宿主の健康上の利益をもたらす物質シンバイオティクスプロバイオティクスとプレバイオティクスの併用腸内フローラに適したもち麦著者の野本先生が着目してい腸内環境の改善に適したもち麦● ● ● ● ●定義る主食穀物に、“もち麦”があります。大麦は、お米と同じように“うるち性”と“もち性”に分かれています。うるち麦ともち麦の違いは、デンプンの1つであるアミロースの量にあります。うるち麦にはアミロースが2割ほど含まれていて、栄養として吸収されます。一方のもち麦は、アミロースがないか著しく少ない麦になります。もち麦の食物繊維含量はうるち麦より高いという特徴があり、食後の血糖値上昇を抑える、満腹感が続くなどの効果があります。②心と体の健康に大切な腸内環境の改善プロバイオティクスとプレバイオティクス腸内フローラの科学
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