人とシステム No.104
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2人とシステム No.104 October 2022SPECIAL REPORTAkifumi Nakai気圏を脱出するための1段目のロケットが、無から発明する基礎研究だと考えています。次の2段目のロケットで、発明成果を踏まえ具体的なソフトウエアプロダクトを開発し事業化します。そして3段目のロケットで、そのプロダクトをNTTデータのグループビジネスに展開し、スケールを出して産業貢献したいというのがARCの考え方です。 この研究開発を支える人材として、博士号取得者が研究開発スタッフの2割以上を占め、情報工学はもちろんのこと、物理や宇宙、量子力学の博士号を持ったスタッフも在籍しています。2022年4月発行の日経ビジネスには、NTTグループが取り組む自動車に関した記事が掲載されており、その中でARCは、未来のモビリティの安全性をかなえる理系エリート集団ということで紹介されました。株式会社NTTデータ オートモビリジェンス研究所代表取締役社長中井 章文 様NTTデータグループ自動車分野組織で研究開発に特化したARC東 NTTデータグループの中でもARC様は、次世代自動車ソフトウエアに関する研究開発を専門にした独自の立場で事業を展開されていますが、本日は、どのような研究開発を行い、ビジネスに展開しているのかを、お伺いしたいと思います。まずは会社概要からご紹介ください。中井 NTTデータには、自動車分野を専門にした組織がいくつかあり、そこにARCやNDES、他にも自動車業界のソリューションを得意とするグループ会社が多数所属しています。その中でも自動車分野のお客さまに尖ったソリューションを提供するため、より研究開発に特化した役割を果たす組織が必要だということで、2020年12月にキャッツ株式会社から株式会社NTTデータ オートモビリジェンス研究所(ARC)に社名を変更しました。ARCが行う先端研究の成果をNDESも含めたNTTデータグループの自動車分野組織に還元し、さらにその結果、自動車産業のお客さまのお役に立つことを目指しています。研究開発の拠点は、横浜に2カ所、それ以外に福岡県、沖縄県にもあり、2022年9月に4カ所目の研究拠点を鹿児島県徳之島伊仙町に開設しました。ARCはミッションとして、“Digitalize human intelligence, Improve automated mobility“を掲げ、「人間の知能・知識をデジタル化し、結果、これから自動化されていくモビリティ社会に貢献する」ことを目的としています。東 最新技術を取り込んだ先端研究の成果をビジネスに結び付けるには、困難も多いかと思いますが、どのように取り組まれているのでしょうか。中井 研究成果をソフトウエアビジネスに発展させていくことは、多段ロケットを飛ばすイメージで進めています。大V字からI字へプロセスを変えるZIPC GARDEN®東 2022年4月には、自動運転システム検証ソフトウエア「ZIPC GARDEN Automation」の提供開始を発表されました。私たちNDESもご協力させていただいたシナリオベースで自動運転の検証を行うソリューションですが、こち株式会社NTTデータ オートモビリジェンス研究所(ARC:NTT DATA Automobiligence Research Center Ltd.)【創立】 1973年11月14日【本社所在地】 横浜市港北区新横浜3-1-9 アリーナタワー3F【事業内容】●次世代モビリティに必要なソフトウエア技術の研究開発●MBD・数理・AIソリューションおよびツールの開発および販売、コンサルティング●車載・組込ソフトの開発●オフショア・ニアショアテスティングヒトが持つ高度な知恵を駆使した自動化ソフトウエア技術を発明・提供することで、消費者にとって便利で豊かになる次世代モビリティ社会を支える研究機関となることを目指します。自動車分野のお客さまへ尖ったソリューションを提供します

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