SPECIAL REPORTKazuhisa Higashi3らのご紹介をお願いします。中井 ZIPC GARDEN Automationは、自動運転の検証に必要な運転シナリオを自動生成するクラウド型のソフトウエアとなります。車を運転すると「道路脇に歩行者が立っていたらどうするのか」、「雨が降っていたらどうするのか」といったさまざまなケースに出くわします。安全な自動運転を確立するためには、発生しうる全てのケースをソフトウエアに教え込み、しかも、テスト検証した証跡にもできるシナリオが必要となります。このケースのバリエーションが膨大になるためシナリオ作成は大変な作業であり、これを自動で行えるソリューションがZIPC GARDEN Automationです。ベースとなるクラウド基盤をはじめとするシステム構築は、知見のあるNDESにご支援いただきました。東 自動運転を実現するには、検証シナリオ作成以外にも、多くのデータ収集や、検証作業の必要がありますが、今後のZIPC GARDENシリーズのリリースについては、どのように計画されていますか。中井 2023年には、自動運転車両開発の自動化・仮想化を推進するバーチャルシミュレーション機能を備えたZIPC GARDEN Simulator、2024年には、実際の車両の稼働状況をモニタリングして設計開発にフィードバックするZIPC GARDEN DevOpsをリリースしていく予定です。これで、シナリオ生成、シミュレーション検証、デリバリー後のモニタリングという3つのプロセスが、クラウド上でリンクできることになります。東 ZIPC GARDENシリーズで、自動車開発の未来を変えていこうということですね。このZIPC GARDENの名前の由来は何からきているのですか。中井 自動車ソフトウエア開発においてのV字プロセスは、大きく分けて要求、実装、試験という3つのフェーズで構成されます。それぞれでZIPC GARDENを使用することで3つのフェーズが短縮でき、V字からI字に近づいていきます。これがちょうどジッパーファスナーを閉めていくようなイメージとなるため、キャッツ時代からのZIPCブランドを掲げることにしました。GARDENという名称には、さまざまな自動運転システムを、高品質でありながら素早く開発し成長させ花を咲かせていきたいという、この研究をリードしてきた当社CTO渡辺の想いが込められています。東 自動車会社としても、開発工程をV字からI字にできるというのは大変興味深いことだと思いますし、自動車開発の考え方も変わってきますね。人とシステム No.104 October 2022NTTデータエンジニアリングシステムズ代表取締役社長東 和久次世代車両開発・運用プロセスを実現するZIPC GARDEN®の概要シミュレーターの実績から自動運転車両の研究開発に取り組む中井 旧来の自動車会社の新型車開発は、実車を試作してテストコースを走らせながら繰り返し問題を解決していくやり方が主体でしたが、自動運転シナリオを全て検証するには、コストも時間も多くかかり、そもそも事故シーンを自動運転ではソフトウエアのトレーサビリティーが重要となります
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