人とシステム No.104
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5界初の「自動運転レベル3」の機能を搭載した車が登場しました。この自動運転レベル3というのは、一定の条件下ではドライバーに代わって自動運転システムが運転を行います。この「一定の条件下」というのが、運行設計領域ということになります。 先ほど、2030年に自動運転技術がコモデティ化するという話をしましたが、あらゆる道路での完全自動運転の実現となると、そこからさらに10年はかかると見込んでいます。では、その間はどうなるかというと、全ての条件下で完全自動運転を実現することは大変難しいので、運行設計領域を限定してデザインすることにより、今の技術でも自動運転モビリティを実現できる可能性があると考えています。自動運転システムは実用化され使われていくことを通して、技術は揉まれ早く成熟していきますので、新たな産業化のチャンスが見つかるかもしれません。東 ここでいう運行設計領域の一例は、先ほどおっしゃっていた交通手段が乏しい地域の高齢者の移動に限定した自動運転ということですね。このような取り組みは社会貢献にもなり、たくさんの方に喜ばれると思います。また、高齢者の方がどこで乗車して、どこで降車したかという、いろいろなデータを集めることもできます。その他、園児の送迎にも対応できそうですね。中井 これからは共働きの方が多くなるといわれているので、園児の送り迎えのニーズもあると思いますし、そこからやがて万能なロボタクシーへと成長していくかもしれない。少しモビリティとは異なりますが、建設機械や農業など他にも応用ができると思います。トウエアを管理していくかが大事で、ALM(Application Lifecycle Management)が必須となります。特に安心・安全が最優先となる自動車の場合は、ソフトウエアのトレーサビリティーが特に重要となってきますね。中井 そう思います。今後、デジタルツインで学習していく自動運転ソフトウエアは、最新化される都度、コネクティッドで車両に反映しなければならない。そこではソフトウエア管理がより重要となってきますので、ALMで実績のあるNDESに期待しています。東 今後、自動車会社は、品質を担保しながらお客さまのエクスペリエンスに対応できるソフトウエアを探究していくことになると思います。そこをどのように支援していくのかが、私たちNTTデータグループの仕事だと思います。中井 これまで、自動車はハードウエアを主体に考えられていましたが、これからはそのハードウエアにいろいろなソフトウエアが搭載され適宜アップデートされていくことで、もっと面白いことになると思います。ソフトウエアやコネクティッド技術を積極的に援用することで、これまでの技術では実現できなかったエンドユーザー視点で価値のあることが見つかってくると思います。どんどん溜まっていくデータを生かして移動動線そのものをレジャー産業にするとか、そういうイノベーションを可能にする技術をNTTデータグループで研究開発し、その結果、自動車産業のさらなる拡大と発展に寄与できるといいですね。そこでは、クラウド基盤へのコネクティッドは重要な役割を担います。NDESにはZIPC GARDEN開発時と同様に、ご支援いただきたいと考えています。東 今回お話しいただいた内容は、社会貢献という面でも、非常に期待できる取り組みです。自動運転の実現に向け、NDESもNTTデータグループとして協力をさせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。 本日はありがとうございました。伊仙町テスト予定公道伊仙町テスト使用グラウンド鹿児島県徳之島の伊仙町でスタートした自動運転の実証実験。元高校のグラウンドと校舎を利用して、シナリオベースの自動運転実験を実施。2025年を目標に、伊仙町内の公道を走行しながらデータを収集することで、地域限定の自動運転環境実現を目指します。ハードウエアからソフトウエアへ自動運転に重要となるALM東 自動運転を実現する上では、自動車のソフトウエアの更新がポイントになってくると思います。どのようにソフ

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