社では、木型をパーツに分けて作り、最終的に組み上げられるように作り上げていく能力も求められます。 彌榮社長は「平面図を見て頭の中で立体化すること、さらに、分割したパーツを最終的に組み上げて完成させるまでには10年以上の経験が必要です」とその難しさを説明します。さらに、工場長の彌榮政義様も「図面だと、上からと横から書かれているだけで、斜めや下は分かりません。特に、ねじれながら滑らかにつながる部分は、経験値を持った職人が頭の中で想像して作り上げていきます」と話します。 その他にも木の性質を生かす作り方が必要だと彌榮社長は言います。「最終的には、何十年と木型を作り続けてきた手のひらの感覚が一番です。木目を手で触って、削る。その滑らかさは機械では真似できません。さらに木は、雨の日は膨らみ、晴れの日は縮み、暑さが続くと割れてしまいます。その木の性質を見極めて製品を10個取る木型であればこの材料、100個、200個になればこの材料と、それに合った材料を選びます」 弥栄木型製作所様では、2020年にSpace-E/ModelerとSpace-E/CAMを各々2ライセンス導入しました。さらにマシニングセンター2台を設置し、デジタル活用による効率化にも取り組みます。以前導入した2次元CADや他の3次元CADは、お客さまのデータを確認する用途で使われていました。Space-Eの導入について彌榮社長は次のように話します。「マシニングセンターで本格的に木型製作に入ろうとSpace-Eを導入しました。Space-Eは曲面がきれいに作成できるし、NCデータの作成も簡単にできます。すでに3次元形状を頭の中で組み立てることができる私たちにとって、Space-Eの基本操作が分かれば、3次元モデルは容易に作成できます。導入して2年ですが、受注の60%はSpace-Eとマシングセンターで製作するようになりました」 彌榮工場長からも「導入後、Space-Eの講習は2日間受講して実務に入り、現在は3名の職人がSpace-Eを使っています。また、困ったときはNDESコールセンターに電話すると問題を解決することができるので、よく利用しています。さらに、NDESの営業もいろいろな情報をこまめに共有してくれるので助かっています」との言葉をいただきました。今後は、より多くの職人がSpace-Eを扱えるようにしていきたいとのことです。 最近は、木型だけでなく発泡スチロール型も増えてきて82次元図面を元にSpace-Eで3次元モデルを作成して加工データを出力しています。2ライセンスのSpace-Eを導入。2台のマシニングセンターとSpace-Eとの連携で効率化を実現しています。導入2年で実現したSpace-Eと職人技の融合
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