SYSTEM & INTEGRATION5軸加工には、回転軸を固定する「割り出し5軸」と軸を同時に動かす「同時5軸」があります。割り出し5軸加工は、あらかじめ2軸(A:傾斜角、C:回転角)を固定した3軸(X/Y/Z)加工のため、同時5軸加工より簡易的で1回の段取りで多面加工が可能です。一方、3次元曲面の加工やアンダーカットの加工ができる同時5軸加工は、NCデータの作成が難しく、軸とツールの関係を制御する高性能NC装置を備えた5軸加工機が必要です。どちらも3軸加工と比べると、CAM作業者による補正や修正に時間を要します。近年では5軸加工の普及のため、CAMメーカーでソフトウエア開発が進んでいます。各工程の定義とSpace-E/5Axis 2022(以下、Space-E)のCAM自動化における進捗を図1に示します。荒取り工程で加工歪を取り出す対処で残り量を0.5mmまで加工し、中取りで残り量を0.1mmまで均一に加工することで、仕上げに要求される精度や面品位の向上を図るため、各工程の自動化への開発が進められています。本稿では、割り出し5軸加工におけるSpace-Eの「自動中取り機能」についてご紹介します。従来の割り出し5軸加工のNCデータ作成では、割り出し方向や、使用する工具を考慮しながら補助面などのデータを作ってやり直すトライ&エラーの作業でした。Space-Eの自動中取り機能は、割り出し方向と工具を標準化でき、さらに補助面の作成が不要となるため、CAM作業時間の短縮が可能になります。しかし、従来の自動割り出し機能では、自動荒取りでのストックが次工程に引き継がれず、パスの重複が多く、その上計算時間や加工時間が長時間となり実加工は困難でした。今回改善された自動中取り機能では、パスの重複がなく、Φ10~Φ0.6までの自動中取り加工が実現できました(図2)。図3に、24モデルで行ったNCパスの検証結果の一12NTTデータエンジニアリングシステムズのMold Future Space - OKINAWAと協業する、ものづくりネットワーク沖縄様による5軸加工の技術情報を4回連載でお届けします。今回は連載Vol.3です。一般社団法人 ものづくりネットワーク沖縄エンジニアリング事業部 次長 伊佐 和彦 図1 各種定義とSpace-E/5Axis 2022自動化の進捗 図3 計算モデルでの加工時間・計算時間の確認 図2 自動割り出し機能の改善CAM自動化機能はじめに自動中取り機能の改善5軸加工 技術情報 連載vol.3 CAMの自動中取りと3+2の有効性について
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