人とシステム No.105
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SYSTEM & INTEGRATION部を示します。モデルの大きさや加工の難易度により結果は異なりますが、計算時間は一定の範囲内に収まり、加工時間も妥当な結果となりました。自動中取りの検証として実加工を行いました。まず、金型の小物部品では、CAMの作業時間を従来の割り出しと比べると自動中取り機能の方が1/8程度になりました(図4)。計算時間は自動中取り機能の方が2倍もかか 図4 小物部品の実加工(検証)りましたが、割り出し方向を検討する時間や補助面張りなどの作業は不要になります。また、今回の自動中取り機能の検証では、取り残しが一部あり、実加工でも同様な残り量でした。加工が均一でない部分は、取り残しストックを確認して追加パスを作成しますが、エリアを絞った割り出し方向や工具選定ができるため、簡単に追加パスを作成できました。自動中取り機能を使用すると、CAM初心者でも加工工程が決まっていれば中取りまでのパスを作ることができます。次に複雑な形状加工として、シーサーモデルでの検証を行いました(図5)。シーサーの口の中の削り残りを除去するために追加パスを作成しました。面張りやエリア設定が不要なため、手動で割り出しパスを作るよりも少ない手数で中取りまでの加工ができました。放電加工や加工工数を削減できる5軸加工は、加工側の負担削減とコスト削減が実現できるメリットがあります。ただし、NCデータの作成時間は、加工工程を検討する知識や経験が必要になります。また、5軸NCデータの作成時間は3軸に比べて約3倍近くがかかり、熟練したCAM作業者の時間と労力が必要です(図6)。今回ご紹介したSpace-Eの自動中取り機能は、生産性の向上や自動化を目指す上で必要な機能と考えています。データベースとして熟練者のノウハウを工程パレットに集約することで、だれでも簡単に5軸の加工データを作成することができます。13 図6 3軸加工と5軸加工の作業時間の比較Space-Eの自動中取り機能を活用した場合、CAM作業者が日中に複数の中取りのデータ作成を行い、夜に計算処理をさせると、翌朝には全体的な加工時間を把握できるので、加工スケジュールの調整が容易になります。また、NCデータの処理をまとめることで5軸加工機の稼働率や加工側の事前準備の作業効率を向上させるメリットがあります。このように自動割り出しを中取りまで用いると短縮されたデータ作成時間は仕上げパスの作成時間を増やし、5軸加工機の稼働率向上とCAM作業の効率化を図れます(図7)。 図7 自動割り出し(中取りまで)を用いた生産 図5 シーサーの実加工(検証)自動中取り機能による実加工の検証5.自動中取りを活用した生産性メリットおわりに

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