SYSTEM & INTEGRATIONVUCAの時代と呼ばれ、経済環境が目まぐるしく変わる昨今において、世の中に新しいものを提供し、イノベーションを起こすことは、誰もが考えるべき経営課題となりました。お客さまにおかれましても、新しいものを世に出すべく粉骨砕身されていらっしゃるかと思います。その中で、(MB)SE(Model Based Systems Engineering)が重要だと耳にされた方も多いのではないでしょうか。事実、本誌99号の一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)様における当社の(MB)SEの取り組みの記事は大変ご好評をいただいており、お客さまからの期待が大きいことを改めて認識いたしました。一方で現在までに広がりを見せている(MB)SEには難解な言葉や概念が多くあり、調査してもまず何をどうしたらよいかがわからないとのお声を多く拝聴します。そこで、本誌にて私たちの(MB)SEに対する理解を解説することにしました。今回は記念すべき第一回としてSEの対象である「新しい仕組みに変革するために必要な考え方」について解説することで(MB)SEを適用する際に気を付けるべき前提のご理解へのご参考にしていただければ幸いです。本稿には、過去に筆者が寄稿した記事[1]の一部を利用して執筆していることについてあらかじめご留意ください。DX(Digital Transformation)の概念は、2004年にErik Stolterman氏によって提唱された概念といわれており、デジタル技術が人々の生活のあらゆる側面をよりよく変革していくこと[2]を示唆しています。人々の生活を便利にすることは、企業に対しても圧倒的な事業の効率化やコスト削減などの術をもたらすことにつながります[3](図1)。James McQuivey氏は、デジタル技術を用いることで、これまでの破壊的イノベーションが加速され、経済環境はより劇的な変化を遂げる可能性を示唆しています[4]。ここで、トランスフォーメーションとはどういうことなのか考えてみたいと思います。トランスフォーメーションは本来、昆虫の完全変態(図2)を指します。完全変態は幼虫からサナギになり、成虫となる変化のことです。サナギの中はドロドロの液体状になっており、幼虫という既存の組織から成虫という新しい組織に変わっていきます。つまり、トランスフォーメーションするためには既存の組織構16システムズエンジニアリングについて3回連載でお届けします。今回は連載Vol.1です。 図1 DXのイメージ株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ新事業企画室 企画部加藤 智之, Dr. Eng. 図2 昆虫の完全変態はじめに改革(Transform)の本質システムズエンジニアリング 連載vol.1 新しい仕組みに変えるとは
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