たくさんいましたが、今ではAIを活用するメリットが理解され、労働者不足への対策などにも期待されるようになりました。御社も同じでしょうか。内田 その通りです。CCMが導入される前は、ビーカー染めに1~2週間かかっていたのが最短1日で終わるようになり、今ではなくてはならない存在になっています。東 どのようにして導入の賛同を得たのですか。内田 当社で最も熟練した職人と一緒にCCMの調査を始めました。まず、メーカーから最新のCCMの説明を受けたり、実際に使っている大手の染色工場へ見学に行ったりしました。その職人は、別の染色工場で働いていた30年ほど前にCCMを使ったことがあり、その当時はとても使いづらかったようです。しかし、今のCCMが大きく進化していることが分かったので、これは使えると実感したことが導入につながりました。使う職人がその気にならないと導入しても稼働しませんから、使いづらかった時代の経験者がいて逆によかったと思います。今はこの職人がCCMを主に操作をしています。東 CCMのシステムについて、もう少し詳しくお話しいただけますか。内田 まず、専用のスキャナーで色見本の生地に強い光を当て光の透過で色を分析し、コンピューターが対象となる複数の染料を選びます。次に職人が経験を基にその中から有効と考える染料を選ぶと、コンピューターが自動的に配合割合を算出します。その候補の中から再び職人が最適と考える組み合わせを決めると、自動的に50種類の染料から必要量を計量して調合します。それをビーカーに移してビーカー染めの工程に移るという仕組みです。東 このためには、生地ごとに染料のデータを蓄積して、それをデータベース化しているということですよね。内田 そうです。基礎データを読み込ませる作業は半年以上かかりました。その地道な作業の結果、今があります。東 半年以上にわたってデータを取り込んで、さらに調整されたということですね。AIなども同じですが、このデータの蓄積ができるかできないかが成否の分かれ目です。また、導入後もデータの整備は不可欠です。私たちも地道な作業を多く行っているので、よく分かります。導入までは、従来の作業と並行して行ったということでしょうから、実現されたのはすごいですね。内田 これは、職人の協力があってのことです。ビーカー染めの作業時間を大幅に削減できたことで、新しい製品染めの研究開発にも時間を使えるようになりました。Mitsuharu Uchida4株式会社 内田染工場代表取締役社長内田 光治 様内田染工場が得意とするグラデーション染めをはじめ、さまざまな技法を組み合わせることで、一点物のような製品の量産化を実現。右側は人形の上着。若い職人の可能性を広げるさまざまな環境整備株式会社 内ウチダセンコウジョウ田染工場【創立】 1909年(明治42年)【本社所在地】 東京都文京区白山3-5-2【従業員数】 26名(男性18名、女性8名)【事業内容】 染色加工業すでに縫製済みの衣類を特殊な染色・および脱色法で加工し付加価値を産み出す、彩り鮮やかな活気あふれる会社です。東京の真ん中で営業しておりますので、アパレル様との距離が非常に近く地の利を生かしたスピーディーな対応を心がけております。こだわりの部分には職人として徹底的に手間をかけて作業をします
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