人とシステム No.105
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が同社の強みとなっています。 北九州はものづくりの街として、さまざまな場面で職人が大きな役割を担ってきましたが、リーマンショック以降は鋳物や木型作りをはじめ、多くの仕事が海外にシフトし、職人を育てようとする環境が途絶えていったといいます。そこに危機感を持った弥栄木型製作所様では、定期的に若手社員を採用して育成に取り組みます。 彌榮社長は「20年くらい前から、毎年新卒を一人ずつ採用してきました。先輩職人が新人の指導担当となり、マンツーマンで職人技を教えて身に付けさせました。木型作りにも向き不向きがあり、そこを見極めながら指導して、現在は一人前に育ってくれた職人が10名にまで増えました」と話します。 どのような人が応募してきているのかを伺うと「木にまつわる仕事がしたい、木を加工する技術を身に付けたいという人が応募してきています。父親が大工、あるいはタンスや仏壇を作る木工職人で、その後を継ぎたいと思っても海外に仕事を取られて採算が取れないという人もいました。私たちが製作する木型は、産業機械メーカーなどが製品を製造し続ける限り必須となる仕事で、手に職を付けることができます。当社のすべての職人が木を加工することが好きで、誇りを持って仕事をしています」と彌榮社長は話します。 同社の人材育成の取り組みは、ものづくりの街である北九州でも認められ、地元の福岡ひびき信用金庫が主催する2022年の“第28回福岡ひびき経営者賞”を受賞しました。その受賞理由としては『日本の中小企業の伝統的なものづくりの強みを活かす人材育成をしてきました。その特徴は、若い世代の職人と高齢者の熟練職人とをペアーにしたOJT方式にあります。北九州独自の伝統的職人気質の新たな伝承システムを形成している点が評価されました(一部抜粋)』とのことです。 木型職人には、精密な加工が求められる手作業の技術に加えて、2次元図面から立体的なイメージができる技能が重要だといいます。その上、精密な大物木型を製作する同7有限会社 弥栄木型製作所代表取締役彌み榮え 英雄 様熟練職人、若手職人が共に木型や発泡スチロール型を製作しています。有限会社 弥栄木型製作所工場長彌み榮え 政義 様北九州独自の伝統的職人気質の新たな伝承システムと認められて地元の信用金庫から表彰を受けました。熟練と若手の組み合わせで伝統的な職人技を伝承有限会社 弥みえ栄木型製作所【設立】 1975年(昭和50年)11月4日【資本金】 300万円【所在地】 福岡県北九州市八幡西区陣原3丁目18-7【従業員数】 14名【事業内容】 木型製造業

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