SYSTEM & INTEGRATION16ものづくり企業では、生産性向上を目的に5軸加工機を導入したがうまく活用できず、現場の効率化が難しくなっているのが現状ではないでしょうか。その課題解決の一助となるべく、私たちとMold Future Space – OKINAWAは、切削加工の効率化を図るために工具、機械メーカーとさまざまな開発に取り組んでおり、その中から今回は「負荷制御を活用した5軸荒取り」をご紹介します。エンドミルの代表的な加工方法としてトロコイド加工があります。側刃を使い円弧軌道で径方向に移動する加工方法となり、直線加工より振動や折損が少なく、送り速度・回転速度・切り込み量の要素を最適化することで高速加工が可能になります(図1)。また、工具と被削材の接する範囲が狭いため切粉側へ熱が伝わり工具寿命を延ばすことができ、切屑の色により工具の摩耗具合や送り・回転速度の最適な条件設定も決めることが可能です。面積を一定にすることで工具負荷が減少し、安定した高速加工を実現できます。単純な一方向の加工であれば径方向の切り込みを一定にした経路を作成しますが、コーナー部などがある場合は加工負荷が高くなり工具が破損する可能性があります(図3)。負荷を一定にして高速加工を実現するには負荷制御を搭載したCAM機能が必要です。そこで、負荷制御機能としてエンドミルを使い効率的に荒取りできる加工モードを搭載したSpace-E/CAM 2022がリリースされました。高速加一般社団法人 ものづくりネットワーク沖縄伊佐 和彦 図2 トロコイド加工と負荷制御 図3 加工負荷が異なる経路 図4 負荷制御機能NTTデータエンジニアリングシステムズのMold Future Space - OKINAWAと協業する、ものづくりネットワーク沖縄様による5軸加工の技術情報を4回連載でお届けします。今回で最終回となります。 図1 トロコイド加工切り込み量が同じでも、削る箇所によっては被削材との接触角度(エンゲージ角)が変わるため、それを一定にする負荷制御が必要になります。図2に示すように負荷制御を行うとアプローチから放物線を描くような軌跡になり、接触トロコイド加工と負荷制御はじめにSpace-E/CAM 2022の負荷制御機能5軸加工 技術情報 連載vol.4 負荷制御を活用した5軸荒取り
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