SYSTEM & INTEGRATION17工、工具負荷のどちらを優先するかで加工経路が変わり形状に最適なNCデータの作成が可能です(図4)。大荒取り工程において負荷制御機能を用いると加工時間を短縮できます。図5に示す加工モデルで、従来のインサート式による大径エンドミルの高送り加工とφ10のフラットエンドミルを用いた負荷制御によるNCデータで一般鋼材の加工を行いました。その結果、従来の加工より負荷制御の方が、切屑排出量は約2.7倍増え、加工時間は58%も削減しました。このように加工時間が短くなると、全体的に加工コストを抑えることができます(図5)。割り出し5軸加工に負荷制御を用いると、加工において高い有効性があります。形状側面の深い段差などを加工する場合、3軸加工では工具の突き出しが長くなり加工時間もかかります(図6)。大荒取り工程では加工の歪みを気にすることなく、早くて安全な加工が望まれます。そこで、加工時間の大幅な削減が可能な割り出し5軸加工において負荷制御を用いた大荒取りを行います。短い工具長で加工時間を短縮できるため、工具交換の時間や費用も削減できます。図7に示す加工モデルで割り出し5軸の大荒取り加工を行いました。工具はエムーゲフランケン社のデュプレックスΦ10(図8)トロコイド加工の負荷制御機能を活用した切削加工は近年増えつつあります(図9)。今回ご紹介した割り出し5軸加工では、工具・ホルダ・機械干渉やアプローチ・回避時の事故を防ぐため、CAMでストックをしっかり認識した上でNCデータを作り込む必要があります。5軸加工は加工リスクが3軸加工より高くなりますが、これからのNCデータの信頼性を高めるCAM開発が必要です。さらに、それを使うユーザー側の『進化させる工夫』も必要と考えます。 図5 大荒取り工程の比較(一般鋼材) 図6 荒取りの3軸加工と5軸加工の違い 図7 大荒取り工程の比較(高硬度材) 図8 エムーゲフランケン社の工具を使用し、被削材は高硬度材の焼き入れ硬度HRC44の熱処理材です。1本の工具で大荒取りを完結でき、従来の加工方法よりも短時間で加工することができました。焼き入れ鋼を切削する際は、切削抵抗が大きくなるため剛性の高いホルダで突き出しを短くする必要があります。今回の切削結果は、トロコイド加工の負荷制御機能を用いると切削効率が向上し、工具寿命の延長も可能なため非常に有効性が高いといえます。 図9 5軸加工の切削例負荷制御の有効性負荷制御機能を用いた5軸荒取りおわりに
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