FRESREドン”はトンネル微気圧波ル“トンネ高速列車がトンネルに突入すると、圧縮波が生じて音速で伝搬します。これがトンネル微気圧波で、トンネル出口でドンという破裂音が発生することがあります。その対策の1つが新幹線独自の先頭形状です。その他にも、トンネル出入り口の形でも工夫が施されています。ドン!H20人とシステム No.106 July 2023微気圧波トンネル圧縮波進行方向新幹線独特の先端形状は“トンネルドン”対策1964年の開業から半世紀以上、九州から北海道まで日本列島を縦断している新幹線は、年間の輸送人員が4億人を超え、日本国内での移動手段として欠かせない存在です。列車運転に起因する乗客の死亡事故ゼロという安全性と安定した高速運転は、日本が誇る高度な技術によって支えられています。 列車を走らせると空気抵抗がかかります。この空気抵抗は、時速100㎞未満ではほとんど走行に影響はありません。しかし、最高時速260~320kmになる新幹線では急激に増加するため、先頭形状、車体断面積、車体側面形状、床下機器形状など、いろいろな要素に工夫を凝らすことで空気抵抗の軽減を実現しています。特にトンネル内は空気抵抗が増加するため、出口でドンという破裂音が発生することがあります。いわゆる“トンネルドン”と呼ばれる現象で、車内や近隣への騒音対策としてトンネルドンへの対応が必要です。近年の新幹線で目を引くのが独特の先端形状で、飛行機のように丸みのある鼻の部分が、伸びたり変形したりしてきました。これは、圧縮波が生じないための技術なのです。車両本体の軽量化を支えるアルミ製段ボール形状高速走行を安定させるには、車体の軽量化も重要です。東海道新幹線の開業当時は1両当たり約55トンでしたが、現在はその約8割の約44トンとなり車体の軽量化を達成しています。 その1つが車体材料の見直しで、普通鋼からアルミ素材に変更されました。現在の新幹線の車体は、アルミ素材の特性を生かした中空押出型材、ダブルスキンという段ボールのような材料を採用することで軽量化が大きく進みました。その他にも、車両重量の1/3を占める台車における構造の変更や主電動機の小型化などによる軽量化など、あらゆるところで車両重量の軽減に取り組んでいます。● ● ● ● ●アルミ中空押出型材で構成した車体 700系より採用したダブルスキン構造外観も車両の軽量化も日本の最新技術の粋新幹線の技術➀高速で軽やかに、そして安全に走る日本の新幹線
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