備とボディマウント構造設貯雪車両の下部まで一体で成形し、その内部に床下機器を搭載するボディマウント構造です。さらに、列車や除雪作業車両で除雪した雪を落とす貯雪スペースを設けることで、雪害対策を施しています。ボディマウント構造床下機器の底板は車体の一部を構成貯雪予想線(��年確率)21豪雪対策の車両構造が空気抵抗を軽減 南北に長く延びる島国であり山国でもある日本は、北国や山間などでの大雪も心配されます。東海道新幹線の関ヶ原付近は山あいの降雪地帯で運行に影響が出ることもあり、東北から北海道へと北へ延び、上越・北陸と日本海側に延伸することで、さらに雪害対策が重要となります。 車両側の雪害対策の1つとして、床下機器を車体と一体にして覆うボディマウント構造が着雪防止に役立っています。特に上越新幹線の豪雪地帯で大きな効果がありました。さらに空気抵抗の軽減にもつながり、安定した高速走行を実現しています。また、上越新幹線などが走る豪雪地帯では、線路に温水を散布する消雪設備を設けるなど、それぞれの地域の気温、雪質、降雪量に応じて最適な対策が施されています。そのため、よほどの豪雪でない限り、新幹線が雪で運休することはありません。着雪防止構造が地震の時にも活躍 2004年10月26日、新潟県中越地方を震源とする最大震度7の中越地震が発生しました。時速約200㎞で走行中の上越新幹線「とき325号」は非常ブレーキが作動すると同時に10両中8両が脱線しました。しかし、連結を保持したまま線路から大きく逸脱せずに停止したことで、死傷者はゼロでした。その後の調査では、着雪防止対策として採用したボディマウント構造により車両全体が覆われていたことで、飛行機が胴体着陸するようにレール上を滑走したことがわかりました。 現在の新幹線の車体では、中越地震での事故を教訓として脱線しても線路から逸脱しない対策が施されています。例えば、台車にL字型のガイドを取り付けて逸脱を防止するL型車両ガイドは、2011年3月11日に発生した東日本大震災でも機能し、逸脱を免れたという実績があります。次号では、新幹線がきれいな車内環境や快適性を保つためにどのように工夫されているのか、そして、見つけると幸せになれるという都市伝説がある黄色い新幹線「ドクターイエロー」など、日本が誇る新幹線の楽しさをお伝えします。床下機器コンクリートスラブ主電動機駆動装置軸箱L形車両ガイド脱線防止正常時脱線時L形車両ガイドリフレッシュコーナーの新しいテーマは“新幹線”です。世界初の高速鉄道である新幹線について、「トコトンやさしい新幹線技術の本」で紹介されている内容から、日本の新幹線ならではの安全性や安定した高速運転、快適性など、誰かに教えたくなるような情報を今号から2回にわたってお届けします。※今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい新幹線技術の本」(日刊工業新聞社刊2021年5月発行)著者:辻つじ村むら 功いさお 様新幹線は日本の風土に適応した安全技術の結晶
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