5ます。東 熟練技術というのは、技術者自身が持っているものなので、生かす期間が限られています。後進に残す技術として熟練技術のデジタル化ができれば、ずっと残る技術にできますので、私たちは、後継者の育成に役立つお手伝いを行っていきたいと思っています。平田 日産自動車では、若手社員の育成に訓練用の金型づくりを実施しています。これまでは、製品用の金型を先輩社員と一緒に作りながら学んでいたのですが、製品だと教える側も失敗ができないので作業させづらいところがありました。しかし、失敗して人は成長するといいますので、現場のアイデアから訓練用の金型を作ることにしたところ、若手社員がうれしそうに「失敗していいですか」と聞いてくるのが新鮮でした。今は、多くの若手社員が積極的に取り組むことができ、失敗できる場の提供は大切だと感じています。東 おっしゃる通りです。若者には失敗を経験させて、それを克服していくことが成長につながります。それが意外と楽しいのですよね。 それでは最後に、型技術協会の会長として、今後の金型業界に対してメッセージをいただけますか。平田 測定技術や加工技術などが急速に進化しています。これはいいことではありますが、その技術を使いこなす人たちをどのように育てていくかというのが肝心だと思います。日本の強みになる熟練技術の領域をどのように伝承していくかは、金型メーカーが一社、一社で取り組むというよりは、業界全体で考えていかなければいけないと思います。また、その訓練体系、体験施設または環境なども整備していく必要があると思います。 まず、2023年度は対面でのイベント開催を予定していますので、ぜひともご参加をお願いします。東 今後の型技術協会のイベントを楽しみにしています。本日はありがとうございました。型技術者会議2023、2022型技術ワークショップ2022、2021<型技術協会の主な取り組み>・型技術者会議毎年6月に東京で開催。型づくりに関する技術・研究・管理の論文発表や最先端技術の講演・展示を行う。・型技術ワークショップ毎年11月に金型産業を主要産業とする地域で開催。1日目に研究発表、2日目に見学会を実施する。・型技術セミナー最新の話題や戦略をテーマに年に4~6回開催。技能やノウハウの伝承・継承などのテーマも取り扱う。・基礎講習会金型技術設計・製作に関わる技術者を対象とする講習会。若手技術者ばかりでなく、今一度、基礎や理論を学びたい中堅技術者にも適した内容となっている。・技術交流会(企業見学会)金型メーカーや工作機械メーカー、金型ユーザーなどを見学。技術や管理手法、経営戦略などについて質疑応答も実施する。年に4回実施する。・型技術シンポジウム金型に関する様々なトピックをテーマとするシンポジウム。金型メーカーや金型ユーザー、工作機械メーカーといった企業の経営者・技術者などが講演する。・型技術協会誌『型技術』の編集企画日刊工業新聞社が発行する型技術協会の協会誌『型技術』の編集企画を、同協会の編集委員会と同新聞社が共同で行う。<型技術協会の表彰>・型技術協会賞功績賞/技術賞/型技術論文賞/奨励賞/功労者賞・型技術学生優秀研究発表賞型技術協会 第139回「技術交流会」「鍋屋バイテック会社 美濃工園 止まらない工場」を見る~IoT 技術を駆使した多品種少ロットでの自働鋳造システムと安全快適工場~ ◆開催日時:2023年7月27日(木) ◆見 学 先:鍋屋バイテック会社 美濃工園 〒501-3772 岐阜県美濃市楓台60-1 本交流会を通じて、会員の皆様と活発かつ有意義な意見交換の場となることを期待しております。
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