7の金型供給拠点の一つになっています。 もう一つ同社の事業転機となったのが、超高張力鋼板という引張強度が高い鋼板への対応でした。早瀬様によると「自動車のセカンドシート部品で、より軽く強度が出るようにと製品開発の依頼がありました。従来は、セカンドシートのシートベルトを車体ではなくシートに取り付けるには、2つの部品を重ねて溶接していました。さらに強度を増すには補強材が加わるため重量が増えることになります。そこで、1枚の板からカーブしたボックス断面を作り出して一体化することで重量が減り強度を格段に上げることができる製造法を開発しました。この超高張力鋼板でファミリーカーのシート技術を確立したことが評価されて、2014年にはトヨタ自動車様から新技術表彰を受けました。今ではいろいろな車種に使われています」と話します。 この技術は工法特許を取得するなど、同社の独自技術として大きな柱になっています。EV化をはじめ、車体重量の軽減が求められる中、超高張力鋼板は高強度と軽量化の両立に大きく貢献する素材であり、その金型はこれからも必要不可欠と言えるでしょう。その他にも、2019年には超高張力鋼板の冷間プレス加工成形品として愛知環境賞を受賞されています。熱を加えなくては変形が困難なものを冷間で作り出したことが、環境に配慮した工法であると評価されました。 同社が製造されるプレス金型において、3次元CAD/CAMのSpace-Eの利用状況を伺うと、第3設計室長の溝端真一様は「当社のほとんどのプレス金型にSpace-Eを利用しています。従来の鋼板に比べ超高張力鋼板のプレス加工はスプリングバックの影響が大きく、どうしてもひねりが発生してしまいます。このスプリングバックの見込変形を行うためSpace-E/Global Deformationを利用しています。形状の補正が容易で、ひねった形状に対して思い通りにモデルを変形できる柔軟性がSpace-Eの操作にあります。その他に解析結果をSpace-Eに反映して確認することも行チヨダ工業株式会社代表取締役社長早瀬 一明 様チヨダ工業株式会社第3設計 室長溝端 真一 様5軸をはじめ、さまざまな最先端加工を行う大型マシンプレス金型の製造を担うSpace-Eの活躍チヨダ工業株式会社【設立】 1962年2月14日【資本金】 9,000万円【所在地】 愛知県愛知郡東郷町春木岩ヶ根1番地 東郷工業団地内【従業員数】 90名(本社)【事業内容】 プレス金型の設計・製作及び試作品製作
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