人とシステム No.107
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開する新幹線の技術海外展現在の新幹線における海外展開としては、インドで建設中のムンバイ~アーメダバード間約500km、アメリカで計画中のダラス~ヒューストン間約380kmなどがあります。換気装置における熱交換FRESREH短時間でも完璧な“魅せる”清掃 高速鉄道の運転頻度が世界一である東海道新幹線の東京駅ホームでは、折り返し時間は15分しかありません。さらに東北・上越・北陸新幹線のホームではたったの12分です。そのうち降車に2分、乗車に3分かかります。その残りわずかな時間で、忘れ物チェックとゴミ集め、座席転換、床やテーブルの清掃と同時に窓と座席を整え、必要に応じて座席カバーを交換、並行してトイレ・洗面所の清掃を行い、清潔で快適な車内を準備します。想像を超えるスピードでその作業を終えられているのは、清掃スタッフの技術とチームワークがあるからです。マニュアルに沿った訓練だけでなく、スタッフの提案で小さな改善を積み重ねることで、作業時間の短縮を図り新幹線の快適な旅をトータルサービスで支えています。また、清掃スタッフの明るい色のユニホームから、見せる清掃につながり「乗客を魅せる清掃」を実現しています。気密・空調・換気が快適の秘密 山地が多い日本はトンネルの区間が長くなりがちです。さらに、世界の高速鉄道と比べてトンネル断面が小さいため、トンネル内の気圧変動は激しくなります。そのため、前号(No.106)で紹介した圧縮波で生じるトンネルドン対策に加え、車内の気圧を一定に保つことが快適な旅には重要になります。現在の新幹線がトンネルに突入しても耳がツンとしないのは、車体が気密構造になっているためです。停車時にドアの両脇を見ていると気密を保つロックが外れるのがわかります。 また南北に貫いて走る新幹線は、外気温の変化や乗客からの発熱などに合わせた細やかな温度調節が必要です。その冷暖房などの空調と密接な関係にあるのが換気です。以前の車両では喫煙の煙や臭い、近年は新型コロナウイルス感染症対策もあり効率的な換気が求められてきました。新幹線は1両で毎分30~40㎡の換気を行い、熱交換器の設置による省エネルギーも図られています。12空調装置入気熱交換器換気装置排気● ● ● ● ●強弱を調整。入気と排気を混ぜることなく熱交換して、よりエコで快適な空間を作り出しています。空調電源にインバーターを導入することで日本列島を縦断する清潔で快適な空間“新幹線”新幹線の技術②海外への展開も期待される快適で安全な新幹線

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