FRESREH100年以上前から使われていた環境発電 大規模な自然エネルギー発電である風力発電、地熱発電、太陽光発電など一般的な系統接続は、環境に優しいエネルギー源として活用されてきました。一方で、より身近な微小エネルギーを用いる環境発電の歴史も古く、20世紀初頭となる100年以上前の鉱石ラジオをはじめ、1936年の自転車のダイナモ発電ランプ、1970年代のソーラー電卓やソーラー腕時計などに使われてきた技術です。 環境発電の利用にはいくつかの条件があり、①近くに系統電源がないこと(海上や過疎地など)、②運動する物体で配線が困難なこと(腕時計など)、③微少な電力でまかなえること(間欠的な利用や消費電力の少ない機器利用など)、④コスト的に配置作業や配線作業をなくしたいとき(長距離に及ぶ高速道路の監視など)、⑤危険回避のため機器の保守管理をしたいが作業はなくしたいとき(火山観察など)といった状況での活用が期待されています。環境発電の特徴と仕組み 環境発電の特徴は、独立した電源と無線を使った通信です。基本的なシステムとしては、環境発電で動くセンサ部とそれを制御する外部装置とは無線通信でつながります。センサ部の電源は環境エネルギーを利用することで、外部電源とつなげたり電池を利用したりする必要がありません。制御装置とも有線で結ばないことで、メンテナンスがほとんど不要となります。また、破棄する電池も出ない地球環境に優しいシステムです。 しかし環境発電システムにもいくつかの課題があります。まず、微小な環境エネルギーを用いた電源なので、小電力で動くデバイスにしか対応できないことです。さらに、運転しないときに小さな電力を集めて、間欠的な運転で短時間に電力を使うため、それに対応できる蓄電池デバイスが必要になります。消費電力が小さい無線装置の開発も必要となります。12● ● ● ● ●20世紀初頭1936年1970年代1980年代1990年頃2000年代鉱石ラジオ(無電源ラジオ受信機)自転車のダイナモ発電ランプソーラー電卓、ソーラー腕時計トイレの水流発電(手洗い用水栓) 旧 INAX振動発電、体温発電の腕時計 セイコー、シチズン無電源ワイヤレススイッチ エンオーシャン(独)技術革新(微小消費電力回路 高効率蓄電)によるいろいろな環境発電の進展スマートホームスマートカースマートシティスマートインフラスマートグッズスマートセンサその他2010年代2020年代以降IoTでのいろいろな環境発電の発展エネルギー独立自立電源メンテナンスフリー配線不要多量の電池の破棄不要移設が容易環境発電機器環境小電力デバイス必要蓄電装置必要無線での信頼性、安全性の確保無線通信制御装置など環境発電の歴史未利用エネルギー利用の無給電システム環境発電システム環境情報センサマイコンその他無線環境発電システムの特徴独立電源と無線通信利点課題微小なエネルギーを利用して機器を動かす環境発電①地球に優しく現代社会に欠かせない発電
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