さまざまなエネルギーは変換が可能で、いろいろな発電方式で電気エネルギーに変換されています。環境発電の主なエネルギー源である振動、熱、光、電波、生物に対して、実際に発電を行う運動・温度差・光・電波・バイオを使った環境発電がどう実用化されているのか見ていきましょう。運動や温度差を利用した環境発電 力学エネルギーを利用する運動の環境発電には、人の運動などによる振動発電、押しボタンなどの変形発電、蛇口の水流などの流動発電といった力学運動が使われます。すでに歩行時の振動エネルギーを利用する床発電が開発され、実証実験も行われています。また、水道の水流で発電して赤外線センサや電磁弁を動かす自動水栓も製品化されています。 温度差を利用する環境発電の実用的な事例として、発電鍋や発電キャンプストーブなどがあります。2011年3月11日に発生した東日本大震災以降は、照明、暖房、発電として活(出所:https://www.bioliteenergy.jp/)躍する防災用品として販売されるようになりました。光、電波、バイオを利用した環境発電 環境発電の一つとして太陽光エネルギーは、幅広く用いられ、屋内でも照明光などで発電利用がなされています。実際に屋内光で発電するマウスや、光発電で温度・湿度・照度の他に、気圧や内蔵リチウムイオン電池の電圧値を測定する環境センサなどが製品化されています。 最も古い環境発電の鉱石ラジオは、ゲルマニウムラジオとも呼ばれて電波による発電を利用していました。最近では、電波エネルギーを使って温度・湿度などを計測してデータを送ってくる環境モニターや、インプランタブル(埋め込み)式の医療用デバイスの開発が進められています。 バイオによる環境発電は、微生物、植物、動物、さらに人体からエネルギーを得る発電です。人間の尿を使う尿発電、非常用の塩水電池、レモン電池などのフルーツ発電などもあります。13人とシステム No.108 January 2024赤外線センサ自動水栓キャンプストーブ商品名BioLite(バイオライト)キャンプストーブ2焚火と発電が可能水力発電機制御回路蓄電キャパシタ電磁弁リフレッシュコーナーは今号から2回にわたり“環境発電”をお届けします。環境発電は「身の回りのさまざまな環境からの微小な未利用エネルギーを用いた発電」を意味し、振動、熱、光、電波、生物などがエネルギー源になります。電源配線や電池不要なデバイスが主流となる現在のIoT社会や、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」というSDGsの目標に対して、電気が使えない場所でも役立つ技術として環境発電は注目を集めています。※今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい環境発電の本」(日刊工業新聞社刊2021年11月発行)著者:山やま﨑ざき耕こう造ぞう 様次号のリフレッシュ企画は引き続き環境発電をお届けします。さまざまな応用例や未来の環境発電をご紹介します。エネルギー源とエネルギー変換自動水栓での流水発電(歴史的事例)1980年代にINAX(現 LIXIL)が特許開発身近なエネルギーを有効活用
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