人とシステム No.108
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楊 量子コンピューターにはまったく興味がなく、よく知らなかったくらいです。大学時代は、新しい技術を社会に出すということに興味があり、機械学習の勉強をしていたのですが、もう少し新しい何かがないかと思っている時に量子コンピューターと出会いました。もともとは、エンジニアとして関わるつもりだったのが、代表として会社を設立することになったのです。東 量子コンピューターで新技術を社会実装するというテーマになったということですね。ところで先ほど伺った企業との共同研究の他に国が進めているプロジェクトにも参画されていますが、どのような活動を行っているのですか。楊 複数の国のプロジェクトに参画しています。例えば、文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)という、経済・社会的な重要課題に対し、量子科学技術(光・量子技術)を駆使して、非連続的な解決(Quantum leap)を目指す研究開発プログラムがありますが、その中の若年層向けの量子人材育成のプロジェクトを担当しています。他には、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)にも参画させていただいています。東 QunaSys様は、量子コンピューターのアルゴリズム開発を推進されていますが、日本のスタートアップ企業として今後はどのようにお考えですか。楊 日本のスタートアップ企業として、今後、当たり前にグローバルで戦っていけるということはすごく重要だと思っています。日本における量子コンピューターの市場は大きいですが、分子の物理法則は全世界同じなので、日本だけで技術が完結するとは考えられません。そのため、米国の量子コンピューターを使ったり、御社のようないろいろなパートナーとも協業をしたりして、国内外の企業と連携しながら技術を作っていかなければならないと考えています。そういうところは本当に重要だと思います。4人とシステム No.108 January 2024Tennin Yanーネットを使って、量子センサーから情報がきて、そこからプロセッシングユニットにデータが転送されるようなイメージです。今は何も実現できていませんが、そういう量子コンピューターを使ってもらうことで、いろいろな人が活用の仕方を考えることになり、新しい世界が広がっていくのだと思います。東 早くそのような新しい世界を見たいですね。ところで、日本の量子コンピューターの開発における強みはどのようなところですか。楊 日本は、世界の中でも理論物理学、理論化学の分野がすごく強いので、世界で戦える技術を作ることができると思っています。その中で、量子力学というツールを使って、物性物理学とか素粒子の振る舞いを解き明かす研究をしてきたメンバーが多くいて、量子力学を使いこなすQuantum Nativeが多いというところが、日本発のスタートアップでSPECIAL REPORT株式会社 QunaSysCEO■■■■■■株式会社 QunaSys ( キュナシス)【創立】 2018年2月【所在地】 文京区白山1-13-7 アクア白山ビル9F【資本金】 1億円【従業員数】 50名(男性44名、女性6名)【事業内容】量子コンピューターを用いたソフトウエア開発量子技術関連コンサルティング■■■■■■■■■■■■■■■東 私たちが使用していた初期のコンピューターでは、メモリ容量が限られており、メモリの割り当て操作をしっかり行わないと、思ったような結果が出力されないという大変な時代でした。今の量子コンピューターもそのような状況なのでしょうか。楊 まさに今はその状況です。私が勝手に言っているのですが、将来的にはノイマン型量子コンピューターを作りたいと思っています。量子メモリが別にあって、量子インタ■■■■■■■■■■■■■■■■

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