楊 そうですね。量子コンピューターは、今のスーパーコンピューターのように、社会を裏から支える技術だと思うので、量子コンピューターを皆さんが直接使うというよりは、社会の中で知らないうちに使用しているようになると思います。東 最後に、QunaSys様の今後の目標をお聞かせください。楊 量子コンピューターは、2030年の実用化に向けて世界中の研究者が尽力しています。QunaSysとしては、2025年か2026年くらいまでに、すごくニッチでもいいから、何か面白い使い方ができないかと考えています。いつも例えているのが、弾道計算のために開発されたENIACの計算機です。そういう特殊用途でもいいから何か一つ実用例を作ることができれば、そこから2030年の実用化を見据えることができるようになると思います。また、私たちは「未来を描いて、今作れるものを作ろう」という理念を掲げています。なぜなら、量子コンピューターの未来を作る時に、量子コンピューターのアルゴリズムだけを作っていても達成できないと思っているからです。私たちは、量子コンピューターのテクノロジーを作るだけでなく、どうやって量子コンピューターが活用される社会を作っていくかということをよく話しています。でも自分たちだけで実現するには限界があり、実業務のシステム開発で知見を持っていらっしゃる御社のような企業と協力をしながら、量子コンピューターの実用化に向け開発を進めていく必要があると考えています。東 私たちも、お客さまが量子コンピューターを使用して新しい技術開発や製品開発に活用していただける未来に向け、QunaSys様と取り組んでいきますので、これからもよろしくお願いいたします。本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。Kazuhisa HigashiあるQunaSysの強みです。また、先ほどお話した若年層向けの国のプロジェクトに参加しているのは、出会う機会が少なく不思議と思われている量子に興味を持って物理学を学んでもらい、さらに大学に入学してからも量子の分野に進んでもらえるような活動が必要だと思っているからです。新しい技術は作るだけではなく、いろいろな人が活用して初めて広がるというところがあるので、そこまで取り組んでいくことが重要だと思っています。東 それは、知らないうちに社会の皆さんが量子コンピューターを使っているようなイメージでしょうか。SPECIAL REPORT5Qamuy/量子化学計算クラウドサービス量子アルゴリズムを用いて量子化学計算を行うクラウドサービス。Qamuyの用途・量子コンピューターで量子化学計算を実行 ・量子コンピューターのパワーを評価・カスタムの量子ワークフロー構築QPARC/量子コンピューターの活用に取り組む企業コミュニティー世界に先駆けて量子コンピューターの活用に取り組むための企業コミュニティー。講義とプログラミング演習を通して、量子コンピューターのハードウエアとアルゴリズムを深く学びます。さらに、学んだアルゴリズムなどを実際に動かし、どのように量子コンピューターが活用できるかを共同で検討します。人とシステム No.108 January 2024NTTデータエンジニアリングシステムズ代表取締役社長■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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