9 NDESへの希望を伺うと、片山社長は「ITや生成AIがどんどん進歩する中でも人間でなければできない部分は多いと思います。これから金型技術のトレーニングを実施する上で、人間が行うべきもの、CAD/CAM、ロボット、コンピューターでやるべきものをきちんと区分けしながら開発を進めていってほしいですね」と話します。 山本一幸様も「Space-Eの機能強化にも期待していますが、それを超えたAIの活用をお願いしたいと思います。例えば、支給された3次元モデルから金型に展開するときに見込み変形を行いますが、面が荒れたときの対処法をいくつか提案してもらえると解決するまでの時間が短くて済みます。また、CAMの方も荒取りはトロコイド加工でざっと取って仕上げはこれでというような提案をしてもらいたいと思います。会社ごとに特徴があるのでその傾向をAIが判断してSpace-Eの操作性を高めるアドバイスが得られると助かります。その他、コールセンターにもAIを導入して時間外でも対応を可能にするなど、NDESだからこそできる、技術的な進歩に期待しています」と話します。 「金型内製化の技術を蓄積していくことで、自動車部品だけではなく、まったく異なる産業製品を量産するとき、この金型技術を生かすことができます」と片山社長は他分野への応用を話します。既に片山テクニカルセンターには、自動車以外の産業からも金型づくりの依頼がきているそうで、金型技術者の育成には大きな期待が寄せられています。今後について山本大地様は、「技術者として成長すること、それと効率良く作業を行って残業時間を削減することも目標にしています。昔から金型の設計・製作は長時間労働になりがちですが、技術力を付けることで納期を守りながら労働時間を短縮してワーク・ライフ・バランスのとれた働き方改革につなげていきたいと思っています」と目標を話します。 グローバルな事業を展開する片山グループですが、海外拠点でも日本企業として培ってきたノウハウをそのまま持ち込んでいるとのことです。片山社長によると「米国でも日本式で経営しています。一度もレイオフを行ったことがありませんし、日本と同じように社員を大事にしています。米国は、リストラやレイオフの経験がある社員が多いので、危機意識を持って仕事をしてくれています。 一方で、日本では、そこまでの危機意識が薄いことが心配です。社員には安心して働いてほしいですが、製造業の激しい競争の中、この先もずっと安泰だとは限りません。その意識を持って、全社員が個人レベルを上げていくために、常に勉強することが大事だと思っています。その一つが、今回お話した金型プロジェクトを中心とする金型の内製化や新しい事業への取り組みです」と言います。 金型に興味を持ち、やってみたいと思う若者が意外と多いと聞きました。今後も金型技術者を目指す若者が魅力ある片山工業様から増えていくことと思います。私たちNDESは、片山工業様の成長にお役に立ちますよう努力を続けます。金型プロジェクトの中核となるSpace-EAIの進歩によるNDESへの期待今後について
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